AI Companion

法律・コンプライアンスにおける Zoom AI Companion の活用ガイド

組織への AI Companion の導入をご検討の場合、データ保護とプライバシーの機能、およびそれらが組織のデータ ガバナンス要件に適合する仕組みについて理解することが重要です。

更新日 November 22, 2024

公開日 November 13, 2024

法律・コンプライアンスにおける Zoom AI Companion の活用ガイド
Cheree McAlpine の画像
Cheree McAlpine
最高法務責任者

Cheree McAlpine は、最高法務責任者としてグローバル テクノロジー企業で培った 25 年以上にわたる法務経験を Zoom で活かしています。

 

Zoom 入社前、Cheree は AI / 顧客ソリューション企業である Intercom の上級副社長(SVP)および法務顧問として、経営幹部(法務)の役職を数多く歴任していました。それ以前は、Lumileds Inc. の最高法務責任者兼事務部長を務めていました。Lumileds に入社する前は、Avnet Americas と Wyse Technology の法務顧問を務め、同企業の Dell への売却を成功させました。

 

彼女は、アラバマ大学で学士号、Suffolk University Law School で法務学位を取得しました。現在はベイエリアに拠点を置いています。

組織が生成 AI ツールを活用した大幅な生産性強化について検討する場合、データ処理、プライバシー、コンプライアンスに関する組織固有のニーズについてバランスをとる必要もあります。目まぐるしく進化するテクノロジー、その進化に対応する法律やコンプライアンスを取り巻く今日の状況において、弊社は、お客様にスマート AI アシスタントの Zoom AI Companion を Zoom Workplace 全体に安心して実装いただけるよう、必要な情報とツールを提供する義務をはたすべく尽力しています。

組織の意思決定者には、AI Companion のデータ保護とプライバシーの機能、およびそれらが組織のデータ ガバナンス要件に適合する仕組みについてのインサイトが必要になります。本ブログでは、お客様が AI Companion 体験を調整して、法律、コンプライアンス、プライバシーに対するお客様固有のニーズを満たす一般的なアプローチを説明した実践ガイドをご紹介します。

AI Companion がデータを処理する仕組み

 

Zoom では、弊社独自の AI モデルと厳選されたサードパーティ AI モデルを組み合わせたフェデレーテッド アプローチにより AI Companion を強化しています。また、ご利用の機能とシステム全体のステータスに応じ、パフォーマンスと可用性に基づいて使用されるモデルを動的に調整することで、お客様のニーズを満たしています。モデルの使用、データ処理、データ保存について詳しくは、Zoom AI Companion のセキュリティとプライバシーに関するホワイトペーパーをご覧ください。

お客様のデータとプライバシーに関する弊社の基本理念は明確です。

  • Zoom は、お客様のオーディオ、ビデオ、チャット、画面共有、添付、その他のコミュニケーション関連のカスタマー コンテンツ(投票結果、ホワイトボード、リアクションなど)を使用して Zoom またはサードパーティの AI モデルをトレーニングすることはありません。

  • Zoom の従業員は、カスタマー コンテンツが生成される Zoom プロダクト / サービスをホスティングするアカウント オーナーまたはアカウント管理者から許可されない限り、または法律上、安全上、セキュリティ上の理由により要求されない限り、ミーティング、ウェビナー、メッセージ、メールの内容などのカスタマー コンテンツ(具体的には、オーディオ、ビデオ、ファイル、ミーティング内ホワイトボード、メッセージ、メール コンテンツ)、またはそのほかのコラボレーション機能(ミーティング外ホワイトボードなど)の一部として生成 / 共有されるコンテンツ、あるいは AI Companion によって生成されるコンテンツに対してアクセスすることも使用することもありません。

AI Companion 機能では、サービスの提供に特定のコンテンツを使用する必要があります。ただし、上記のコミットメントに従い、Zoom はモデルのトレーニングを目的として、あるいはお客様へのサービス提供以外にカスタマー コンテンツを使用しないことをお約束します。Zoom は、独自のコンプライアンス ニーズを抱えるお客様のために、カスタマー マネージド キーもサポートしています。これにより、お客様は Zoom クラウド プラットフォームに保存されたコンテンツに対応する独自の暗号鍵を管理できます。CMK は AI Companion 1.0 でご利用いただけます。AI Companion 2.0 対応の CMK は、近日リリース予定です。

ユーザーが AI Companion を操作すると、データはユーザーから Zoom モデルまたはサードパーティ モデルに送信されます。たとえば、チャット作成を使用して Team Chat で返信の下書きを作成すると、選択したチャット スレッド、チャット参加者名、プロンプトなどの関連コンテンツが対象のモデルに送信されます。詳しくは「How AI Companion features use your data(英語)」をご覧ください。

お客様のデータ処理に関する弊社のコミットメントは、Zoom が収集、使用、保存、共有する個人データについて説明したプライバシー ステートメントおよびデータ処理補遺に準拠します。サードパーティ モデルがお客様のデータを処理する方法については、弊社のサブプロセッサに関するページをご覧ください。このページでは Zoom がサードパーティ モデル プロバイダーに課す要件について詳しく説明しています。

データの保存・保持の期間

データの処理方法だけでなく、データが保存・保持される期間を把握することも重要です。組織が法律上・コンプライアンス上の理由から、データの保存・保持についてきめ細かく管理しなければならない場合、Zoom にはこのような管理を行う方法がいくつか用意されています。

まず、データ保持に関する透明性に注目してみましょう。保存・保持の設定に関する各機能の情報については、プライバシーとセキュリティのホワイトペーパーをダウンロードしてご確認ください。通常、Zoom は AI Companion サービスを提供するためにカスタマー コンテンツを保持することがあります。Zoom は、サポートとデバッグを目的として、インプット(AI Companion がミーティング要約の提供に使用したオーディオ文字起こしなど)を最大 30 日間保持します。さらに、適用法で義務付けられている場合にのみ、そのデータを長期間保持します。また、サードパーティ モデル プロバイダーは、信頼性と安全性の観点から、カスタマー コンテンツを最大 30 日間保持する場合があります。

お客様が AI Companion 機能(ミーティング要約など)の強化に使用するオーディオ文字起こしの保持期間の調整を希望される場合、ミーティングの文字起こしの保持とアクセスの設定が有効であれば、この期間のカスタマイズが可能です。さらに、一部のお客様は、法律上・コンプライアンス上の理由に基づき Zoom のゼロデータ保持(ZDR)オプションを選択できます。これにより、AI Companion のミーティング要約が作成された後、その要約の提供に使用されたインプットがすぐに削除されます。ZDR の使用を選択した場合、組織内のユーザーは Docs と AI Companion 2.0 の一部機能を使用できなくなります。

AI Companion の可用性とデータ処理が行われる場所

組織の法律上・コンプライアンス上のニーズによっては、AI Companion がデータを処理する仕組みだけでなく、処理される場所を把握することが重要になる場合もあります。

現在、AI Companion は米国でホストされているお客様がご利用いただけます。米国外(オーストラリア、カナダ、ヨーロッパ、インド、シンガポールなど)でホストされているお客様は、Zoom モデル完結型(ZMO)を使用し、アカウントに対するデータ ローカライズ設定と連携することで、特定の AI Companion 機能を利用できます。これにより、データ処理を特定の地域内で行う必要があるコンプライアンス要件が課されたお客様は、対象の地域で Zoom のデータ処理機能を活用できます(該当する場合)。Zoom モデル完結型オプションの場合、Zoom はサードパーティ モデルを活用して関連する AI Companion 機能を強化することはありません。代わりに、データは Zoom モデルに送信されて処理されます。また、サードパーティ モデル プロバイダーのサポート対象とならない一部地域のお客様や、特定の業界のお客様には、一定の制限が適用されます。

AI Companion がサードパーティ コンテンツを活用する仕組み

Zoom とサードパーティ モデル プロバイダーによるコンテンツの保存・保持は、AI Companion の実装方法を検討する組織にとって特に関心の高い分野です。組織が法律上・コンプライアンス上の理由から、データの保存・保持についてきめ細かく管理する必要がある場合、Zoom を活用すれば複数の方法でこのような管理が可能です。テクノロジー スタック内でアクセスや利用の対象となるデータの可視性を維持し、組織固有のデータ ガバナンス プライオリティに沿ってデータアクセスを調整する柔軟な設定の活用がカギとなる今日のデジタル環境において、Zoom はお客様を強力にサポートいたします。

最近リリースされた次世代型 Zoom AI Companion の AI Companion 2.0 では、プロンプトに対する回答を取得するために、サードパーティ サービス(Microsoft や Google など)に保存されている組織固有のメール、カレンダー アイテム、ドキュメントを活用するよう AI Companion を設定できるようになりました。この強力な機能により、接続されたメール、ドキュメント、スプレッドシートなどからの情報を統合することで、より背景情報が充実した回答がユーザーに提供されます。

お客様にとっては、アカウント内で AI Companion がアクセスできる情報を把握したうえで制御する必要があることから、AI Companion はアカウント管理者とユーザーが関連設定を柔軟に制御できるように設計されています。たとえば、アカウント管理者はウェブ設定で上記のサードパーティのカレンダー イベント、メール、ドキュメントへの AI Companion によるアクセスを管理できます。つまり、組織によるアカウント レベルおよびグループレベルの設定に基づき、これらのデータソースのすべて / 一部選択をすることも、まったく選択しないことも可能です。また、サードパーティ アカウントで AI Companion を利用するには、[プロフィール] ページで対象アカウントの Zoom への接続を完了している必要があります。さらに、ウェブ コンテンツを制御する個別の設定も利用可能です。この設定では、AI Companion に一般的なナレッジについての質問のウェブ検索や、ローカル ファイルのアップロードを許可できます。これにより、ユーザーが自身のデバイスから AI Companion のプロンプトにファイルを追加できるようになります。

AI Companion システムは、上記の設定と権限に基づき、サードパーティのデータや、Zoom アカウント全体で利用可能なそのほかのデータソースを活用してインデックス化し、ユーザーの基本的な権限に沿ってユーザー プロンプトへの回答を提供します。引用や情報元には、ユーザー プロンプトへの回答が追加され、ユーザーが回答の提供に使用されたデータソースを把握できるようにしています。

AI Companion の稼働に関するユーザーへの通知方法

AI が使用されるタイミングについての透明性をユーザーに保証することは、「責任ある AI」の重要ポイントです。そこで、Zoom は AI Companion をオンにする明確な方法を示し、ミーティングでユーザーに AI が稼働するタイミングをわかりやすく通知するよう本機能を設計しました。ミーティングの場合、ホストは自身の方針やミーティング参加者のリクエストに応じて AI Companion をオンにできます。

ミーティング中にホストが AI Companion をオンにすると、ミーティング参加者に通知バナーが表示されます。電話で参加するミーティング参加者には、Zoom AI Companion がミーティングで有効になったことを知らせるオーディオ通知が流れます。また、ユーザーは Zoom Workplace デスクトップ アプリ内でクライアントの右上にある AI Companion マーク(ダイアモンドの形)をクリックすると、AI Companion のサイドパネルを表示できます。

AI Companion マーク(ダイアモンドの形)は、Zoom Workplace 全体で使用されており、AI 機能を利用できる場所を示しています。こちらのアイコンは、Zoom Docs、Team Chat、Whiteboard などに表示され、ユーザーは AI Companion を利用できる場所を簡単に特定できます。

ミーティングで AI Companion をオンにした後も、引き続きこちらのダイアモンド マークが表示され、AI Companion がオンであることが全員に通知されます。参加者はこのマークをクリックして、ミーティングで有効になった AI Companion 機能、アクセスされているコンテンツ、AI Companion がデータを処理する方法の詳細を確認できるオプション、ホストに AI Companion 機能のオフを依頼するオプションを表示できます。

また、AI Companion に関するそのほかの通知が表示される場合があります。たとえば、AI Companion のサイドパネル下部には、「AI は間違った情報を提供する場合があります。必ず情報の正確性をご確認ください」というリマインダーが表示されます。また、AI Companion にミーティング内質問をすると、「この会話は、ほかの参加者に表示されません」というメッセージが表示されます。

AI Companion の設定を最適化

ミーティング内の AI Companion 機能のオン / オフを制御

AI Companion では、特に Zoom Meetings 機能について、多くのカスタム オプションを使用できます。

ミーティング ホストは、ミーティング内の AI Companion 機能を有効 / 無効に設定できます。管理者が許可すれば、参加者はホストにこれらの機能を有効にするようリクエストできます。また、機能が有効な場合は無効にするようリクエストすることもできます。

さらにミーティング ホストは、必要に応じてワンクリックでミーティング内のすべての AI Companion 機能をオフにすることも、AI Companion のミーティング アセットを削除することもできます。

ミーティング要約の設定

ミーティング要約は、もっとも人気のある AI Companion 機能の 1 つです。Zoom では、本機能のユーザー設定をカスタマイズする以下のオプションを用意しています。

  • ミーティング要約をミーティング開始時に自動でオンにする。またはホストがミーティングごとに有効にする。
  • ミーティング要約の共有先を選択する(ミーティング ホストのみ、社内の予定参加者、またはすべての予定参加者)。
  • ミーティング要約を共有する方法を選択する。例: 継続的なミーティング チャット / メールのみで共有する(リンクを設定するか、メール本文に概要を記載する)。
  • ミーティング要約を削除するタイミングを選択する。
  • 追加コンテンツ(共有画面のコンテンツやミーティングのチャット メッセージなど)をミーティング要約の背景情報として提供するかどうかを選択する。

組織で機能をもっとも厳格に制限する場合、まずミーティング ホストとのみ要約を自動共有(またはリンクのみを送信)するよう設定し、保持期間を短くします。また、追加のコンテンツ オプションを使用してミーティング要約の内容を充実させるのではなく、オーディオ文字起こしのみを適用することもできます。

Zoom では、ホストと参加者に送信されるミーティング要約のメールを組織でカスタマイズする方法も用意しています。アカウント管理者は、これらの自動送信メールに会社のブランディングと必要なポリシー言語を追加できます。これらのメール テンプレートは、アカウントの [ブランディング] セクションにある [メール] タブにあります。

ミーティング内通知をカスタマイズ

Zoom には、AI Companion が有効な場合に、ミーティング参加者に知らせるミーティング内通知をアカウント管理者がカスタマイズできるオプションがあります。固有のコンプライアンス ニーズやそのほかの特別な事情を抱える組織は、組織とそのユーザーにとって最適な通知用言語を設定できます。これは、外部のオーディエンスとやり取りするときに、ブランドや組織固有のポリシーに関する情報を追加する場合などに有効です。Zoom Meetings と Zoom Webinars のアラートと通知の設定については、こちらから詳しくご確認ください。

AI Companion が法律・コンプライアンスに関するニーズを満たす仕組みを詳しく確認

上記のとおり、お客様は Zoom AI Companion の実装について、きめ細かく制御できるよう設計された一連の柔軟な設定と機能をご利用いただけます。さらに詳しい情報については、以下の内容をご確認ください。

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