
Zoom on Zoom: 顧客体験を内側から改革する方法とは
Zoom は、自社開発した Zoom AI チャットボットを使用して、毎月 97% のセルフサービス率および約 2,000 万ドルのコスト削減を実現しています。その方法をご確認ください。
更新日 August 02, 2023
公開日 June 28, 2023
顧客体験(CX)を向上させるには、チャットボットだけに頼るのではなく、カスタマーサービスを真に強化するAI活用が不可欠です。
チャットボットは今や、AIによるカスタマーサービスの代名詞となっています。AIを活用したチャットボットは、定型的な質問への回答、24時間アクセス可能な情報提供、多言語対応などを通じて、チームの対応力を高め、顧客体験全体を向上させます。
しかし、カスタマーサービスにAIを活用する方法は、従来のチャットボットにとどまりません。企業はAIを活用したテクノロジーをカスタマーサービス業務全体でさまざまな形で導入し、良質なサービスをさらに優れたサービスへと進化させることができます。
AIを活用したカスタマーサービスは業務全体を改善し、顧客とエージェント双方にシームレスな体験を提供しながら、効率的でコスト効果の高いワークフローを実現します。AIは人間を置き換えるのではなく、日常的な業務を担うことでエージェントが戦略的で創造的、そして人に寄り添う対応により多くの時間を割けるように支援します。
AIを活用することでカスタマーサービスサポートが得られるメリットの一例をご紹介します:
1. 詳細なインサイト
AIは、大量のデータストリームを人間よりはるかに高速で分析できます。さらに、カスタマーサービスやコンタクトセンターが生成する膨大なデータに圧倒されて見逃されがちなパターンや傾向、異常値を検出することも可能です。AIを活用すれば、分析の時間やコストを大幅に削減しつつ、ビジネス全体で活用できる精度の高いインサイトが得られます。
2. エージェントのアシスト
AIは必要なときに最適な知識を提示することで、エージェントがより効果的に業務を遂行できるよう支援します。Retrieval-Augmented Generation(RAG)などの先進技術により、エージェント支援システムはカスタマーサービスでのやり取りをリアルタイムに分析し、膨大なナレッジベースから最適な情報を即座に引き出し、エージェントをサポートできます。これにより課題解決のスピードが上がるだけでなく、認知的負荷も軽減されます。特に新任のエージェントにとっては、自信を持って業務に取り組めるようになる効果があります。
Zoomが委託した a Metrigyレポートによると、エージェント支援を使用する企業の64%で平均処理時間が28%短縮され、42%でエージェント離職率が29%低下しました。
3. 会話分析
会話型アナリティクスは自然言語処理(NLP)を用いて、バーチャルエージェントとのやり取りを含む顧客インタラクションからデータを取得します。音声会話を文字起こしし、感情分析を適用することで、企業はお客様が体験にどう感じているか、ブランド全体への印象をより深く把握できます。これらのインサイトは満足度の度合いを示すだけでなく、リーダーが課題を特定し、エージェントのパフォーマンスを評価し、追加のコーチングや再トレーニングが必要な領域を見極めるのにも役立ちます。
4. セルフサービス
セルフサービスは拡大しています。Zoomが委託したMorning Consultの調査によると、チャットボットやボイスボットを使ってうまく対応できた経験を持つ人の約80%が、人を介さないサポートを「常に」「よく」「場合によっては」好むと答えています。
従来のチャットボットはある程度セルフサービスの選択肢を提供できますが、AIはより賢くお客様の課題解決を支援できるようになっています。AIエージェントの新たな進化により、チャットボットは人の行動パターンを理解し、やり取りを記憶し、推論し、行動を起こすことが可能となり、人のエージェントによるサポートは最小限で済むようになっています。
5. AI搭載バーチャルトレーニング
AIはFAQやドキュメント、ナレッジベースを自動的に取り込み、会話フローを構築することでバーチャルエージェントのセットアップを効率化します。さらにAIは顧客とのやり取りをシミュレーションし、応答をテストしてパフォーマンスを最適化します。これにより、実際に稼働する前にバーチャルエージェントが現実の顧客リクエストに対応できる準備が整います。
AI と ML は、大規模なデータ ストリームを短時間で分析できます。その速さたるや、人間は到底敵いません。さらに、こうしたテクノロジーは、カスタマー サービスやコンタクト センターが生成する膨大な量のデータで手一杯の人間には発見できないようなパターン、トレンド、異常を特定することができます。カスタマー サービス向け AI を活用すれば、エージェントは生産性を向上させ、重複した作業を排除し、コストを管理できます。
AI と機械学習は、エージェントの作業効率化を直接手助けしてくれます。たとえば、AI はカスタマー サービスのやり取りを分析し、カスタマー サポートのエージェントが問題解決に必要とする情報をすぐに見つけ、コンピュータの画面に表示できます。
このような形で AI をカスタマー サービスに応用すると、エージェントの時間の節約につながり、顧客からの問い合わせを迅速に解決できるようになります。 また、エージェント(特に新人エージェント)が、より有能に、より少ないストレスで作業をこなす手助けにもなります。
会話分析は、自然言語処理(NLP)を使用して、人と人との会話からデータを取得します。 このテクノロジーは、皆様のブランドに対する顧客の印象や満足度について、さらなるインサイトを提供します。 また、エージェントのパフォーマンスを評価して、もう一度トレーニングする必要がある分野を突き止める点においても役立ちます。
AI は、顧客とのやり取り中のエージェントが必要とする情報に素早くアクセスできるようサポートするだけではなく、エージェントにとって時間を取られるタスクを代わりにいくつか処理することも可能です。 AI を活用したロボット プロセス自動化は、記録の更新やフォローアップの生成といったシンプルなタスクを遂行してくれるため、人間のエージェントは次の電話への対応に移ることができます。
Deloitte のアンケートによると、RPA を導入した組織は 12 か月未満で ROI を達成したそうです。しかも、このソリューションは平均でフルタイム相当の能力の 20% をもたらしたといいます。 また、RPA を導入した企業の 90% は品質と精度が向上したと報告し、86% は生産性が向上したと報告し、59% はコストが削減したと報告しています。
最高の顧客体験(CX)を提供する方法をご検討の場合、新しいカスタマー サービス エージェントを適切にトレーニングすることが重要です。しかし、これは基本的に時間のかかるプロセスです。しかも、エージェントが受ける最初の問い合わせがイレギュラーな内容となる懸念も拭えません。AI を活用すると、音声読み上げ機能を使用したトレーニング プログラムを作成し、新人エージェントがよくあるご質問に基づいたテストシナリオで演習を行い、自立して業務を開始する準備が整っているか評価できます。
自動化によって業務プロセスは最適化されますが、AIはそれだけでなく、従来の対応手法では実現が難しかったレベルで顧客体験全体を高めることも可能です。以下にAIの活用例を紹介します。
1. ユーザー体験をパーソナライズ
AIはデータを迅速に分析し、顧客一人ひとりに最適化された対応を行えます。たとえば、AIは顧客の所在地を特定し、その地域で利用可能な製品やサービスの提案を行うことができます。個々の顧客データも分析でき、さらに高いレベルのパーソナライズを実現します。
2. お客様との対話の質をさらに向上
AIは、カスタマーサービス担当者がより効果的に業務を行えるようサポートも行います。AIを活用すると、引き継ぎの際にはやり取りを要約し、すばやく状況を把握して課題を迅速に解決できるようになります。さらに、AIのバーチャルエージェントが大半の問い合わせに対応することで、エージェントはお客様に優れたカスタマーサービス体験を提供するための自身のスキル向上に集中できます。
AI はデータを迅速に分析し、顧客一人ひとりに合わせて対応できます。 たとえば、AI を使用すると、カスタマー サービスは顧客がいる場所を考慮に入れて、地元で入手可能なプロダクトやサービスを提案できます。 AI はまた、個々の顧客のデータを分析して、より高度にパーソナライズすることも可能です。
カスタマー サービス向け AI は、人間のカスタマー サービス担当者がさらに効果的に業務をこなすための手助けもします。AI は、エージェントへの引き継ぎから情報を収集し、問題を迅速に解決できます。さらに、AI チャットボットが基本的な問い合わせに対応すれば、エージェントはさらに複雑な問題に集中できるので、優れたカスタマー サービス体験の提供が可能になります。
AIはエージェントの業務をサポートし、より働きやすい環境づくりにも貢献します。AIには、次のように役立ちます:
1. バーンアウトの防止
カスタマーエージェントの仕事は、長く続く対応待ちや解決時間のプレッシャーで、強いストレスがかかります。ストレスの多い状態が続くと、燃え尽き症候群につながるおそれがあります。AIはセルフサービス機能を提供することで待ち時間を短縮し、エージェントの燃え尽きを防ぐことにもつながります。
2. ワークフローの効率化
カスタマーサービス向けのAIは、最適なサポート体験をより簡単に提供できるようにします。たとえば:
カスタマー サービス担当者というのは、ストレスの多い仕事です。自分のサポートを待っている顧客の長い行列を抱え、かと思えば解決時間を記録する時計の針に追われています。 そして、過度にストレスを感じる時間の積み重ねが燃え尽き症候群につながります。 AI は、顧客にセルフサービスというオプションを提供することで、待ち行列を短縮し、エージェントの燃え尽き症候群を防ぐことができます。
AI がタスクを自動化して、エージェントが必要な情報に素早くアクセスできるようになると、それぞれのやり取りがより迅速かつ効率的になります。 顧客は待ち時間を短縮でき、エージェントは迅速に解決できるようになります。
AIはカスタマーサービスに多くのメリットをもたらします。最終的に効率と生産性を高め、顧客体験を向上させます。 4人に3人の消費者が、サポートにおける良い体験や悪い体験を他人に伝えていると回答していることからもわかるように、AIを活用したカスタマーサービスによって良好なやり取りを提供することが、企業にとって重要な差別化要因になりつつあります。その結果、企業は恩恵を受けています。具体的なAIカスタマーサービスのメリットは次のとおりです。
1. コストの削減とリソースの最適化
AIを導入することで、時間を節約し、セルフサービスを可能にし、担当者が残業する必要性を減らしながら、優れたカスタマーサービスを提供できます。さらに、新たに担当者を採用するよりも、AIテクノロジーで拡張するほうがコスト効率に優れています。長期的には、多くの雇用が失われることもありません。景気後退によって需要が減少した場合でも、企業はAIを縮小することで従業員の解雇を避けることができるからです。
2. 24時間体制のサポート
お客様は一日中いつでも質問して、すぐに回答を得ることを期待しており、サポートを受けるのに、企業が営業を開始するまで待ちたいとは思っていません。AIは24時間稼働でき、電話、ウェブサイトのチャットボット、ソーシャルメディア、Facebook Messengerのようなアプリを通じて利用できます。お客様は自分にとって最も都合のよいときに回答を得ることができます。カスタマーサービスにおけるAIは、担当者が午前9時の問い合わせ集中を避けるのにも役立ちます。
3. 予測的インサイト
企業はAIを活用してプロジェクトの進捗状況、プロセスの案内、製造や配送における品目の所在などの状況を把握します。しかし記述的分析にとどまらず、AIは予測的なインサイトも提供でき、企業全体のCX戦略に組み込むべきです。たとえば、AIは表面的なレポートを超えて顧客データに潜むパターンを明らかにし、解約の初期兆候を示し、起こり得る結果を提示します。これによりリーダーは、パフォーマンスと顧客満足度を向上させるために、より迅速かつ賢明な意思決定を行うことができます。
4. プロアクティブなサポート
AIを活用することで、カスタマーサービスチームは対応戦略を受動的なものから能動的なものへと転換できます。実際にAIは、顧客が購入した製品や受けたサービスに基づいて、必要となる可能性のある情報に関するインサイトを提供できます。このデータは、顧客がカスタマーサポートに連絡しなくても行動を起こせるよう、リマインダーを自動的に送信することができます。たとえばAIは、顧客に対して「まもなく製品がなくなるため再注文の時期です」と知らせるアラートを送信できます。
こうした小さな瞬間が、大切にされていると顧客に感じさせ、顧客とのやり取りを平凡な体験から忘れられない体験へと変えるのです。
5. 顧客の意思決定
消費者は、質問に答えたり簡単な作業を手助けしたりする従来型のAIバーチャルエージェントに慣れています。しかし、AIプラットフォームの進化によって、バーチャルエージェントはより複雑な問い合わせも解決できるようになり、さらに顧客の意思決定をサポートし、満足度の高い購入や、自分に最適なサービスを選べるよう導くこともできるようになりました。
AI を導入すると、優れたカスタマー サービスを提供しながら、時間を節約し、セルフサービスを可能にし、エージェントの残業の必要性を減らすことができます。 さらに、AI テクノロジーを使用したカスタマー サービス機能の拡張は、新しいエージェントを雇用するよりも費用対効果が高く、景気後退によって需要が減少したとしても企業は AI を縮小すればよく、従業員を解雇せずにすみます。
質問がある顧客やサポートが必要な顧客は、営業時間になるまで待ちたくないものです。AI は 24 時間体制でサービスを提供できるうえ、顧客は電話、ウェブサイトのチャットボット、ソーシャル メディア、アプリ(Facebook Messenger など)からアクセスできます。カスタマー サービス向け AI があれば、顧客がもっとも都合のよいタイミングで回答を入手でき、さらにエージェントも始業直後の大混雑を回避しやすくなります。
企業は AI や ML を利用して、プロジェクトの現状、プロセスにおけるガイダンス、製造や出荷の進捗状況といった、現在の状況を把握しています。一方、AI や ML は記述的な分析のみならず、予測的なインサイトも提供可能なことから、お客様の CX 戦略全体に取り入れるとよいでしょう。たとえば、AI は営業チームのためにデータを検索してリード ジェネレーションを行ったり、顧客とのやり取りに介入することなくインタラクションを分析して顧客離れとなる兆候を探ったり、インテリジェントな意思決定ができるようにビジネス リーダーに予測結果を提供したりできます。
AI を取り入れたカスタマー サービスチームは、リアクティブな対応からプロアクティブな対応へと軸足を移すことができます。 実際、AI は顧客が購入したプロダクトや利用したサービスに基づいて、顧客が必要とする可能性のある情報についてのインサイトを提供できます。
カスタマー サポートチームに連絡してくる顧客を待つ必要は、もうありません。 カスタマー サポートチームは、顧客とのやり取りを開始してコントロールできるので、確実に素晴らしい顧客体験を届けることができます。
ユーザーにとって、質問への回答や簡単なタスクの実行をサポートしてくれる AI 搭載のバーチャル アシスタントは身近な存在となっています。AI プラットフォームの機能が拡大するにつれて、バーチャル アシスタントは、顧客がもっとも満足できる買い物をしたり、製品の修理か買い替えかを判断したり、ニーズに最適なサービスを選択したりする際の意思決定をサポートできるようになります。
AI カスタマー サービス プラットフォームの価格はさまざまですが、その多くは SaaS(Software as a Service)モデルで提供されています。企業側の設備投資は不要で、代わりに月額料金が請求されます。
もちろん、各企業はAIで解決するにあたっての問題点や予算を考慮する必要がありますが、カスタマーサポートの総所有コストを考慮し、その他の選択肢(従業員の増員など)とAIソリューションのコストの比較検討を必ず行いましょう。AIは、コスト面でも有利になる可能性があります。
AIをカスタマーサービスに導入するには、入念な計画が必要です。まずは、AIに任せる業務と、ナレッジベースやカスタマーサービス管理システムとの連携を含む、プラットフォームのトレーニングに必要なデータを見極めましょう。
適切なAIカスタマーサービスプラットフォームの提供パートナーと連携することで、導入プロセスがスムーズになり、成功に向けたガイダンスとサポートを受けることができます。
Zoom Virtual Agentは、AIを取り入れたカスタマーサポートを実現するための大きな前進です。AIエージェントフレームワークを基盤としたセルフサービスソリューションとして、常に稼働し、先回りして対応することで、お客様の課題を的確に解決します。さらに、Zoom Virtual AgentはCRMやチケット管理システム、CCaaSプラットフォームとシームレスに連携し、スマートな統合コミュニケーション環境を構築できます。
AIの導入で、カスタマーサービスを次のレベルへ引き上げましょう。