時間帯 / 営業時間ルーティング

このガイドでは、時間帯ルーティング(別名: 営業時間ルーティング)の標準的な導入手順をご説明します。このルーティングは、営業時間内と営業時間外を区別する必要のあるコンタクト センター環境(月~金曜日の午前 8 時~午後 8 時はエージェントが対応する場合など)でよく使用されます。

時間帯 / 営業時間ルーティング

プロダクト

前提条件

コンタクト センターの着信通話を Zoom Contact Center で処理していること

概要

時間帯ルーティングを構築するために使用される主要コンポーネントは、以下の 3 つです。

  • 営業時間

    営業時間(Operating Hours)構成要素では、コンタクト センターの営業時間を設定します。[営業時間] には、以下の 2 つのサブコンポーネントがあります。

    • 営業時間帯(Business Hours)- 通常の標準的な営業時間帯(例: 平日の午前 8 時~午後 8 時)。
    • 休業日 - 休日や計画的な休業など、1 年のうちの特定の休業日(例: 毎年 1 月 1 日)。

    Zoom Contact Center では、複数の [営業時間] スケジュールをアカウント レベルやキューレベルで作成できます。

  • キュー

    キューは、エージェントにつなぐ必要のある通話を処理します。キューには、独自の営業時間スケジュールを設定できます。これは、複数の部門 / キューで営業時間帯が異なる場合に便利です。

  • フロー

    フローには、コンタクトセンターのビジネスロジックの大部分が含まれます。 これには、あらかじめ録音された(またはテキストから音声に変換された!)プロンプトで発信者を迎えたり、IVRメニューを発信者に提示したり、発信者をキュー(最終的にはエージェント)にルーティングしたりすることが含まれます。 フローはまた、営業時間をチェックし、コンタクトセンターが開いているときに何をするか、コンタクトセンターが閉まっているときに何をするかを決定する役割も担っています。

要約

[営業時間] コンポーネントは営業スケジュール / 営業時間を判定し、フローは営業時間スケジュールに従って処理方法を判定します。時間帯ルーティング / 営業時間ルーティングの場合、営業時間チェックを行うのはフローの役割です。

フローは以下の 2 つの方法で時間帯ルーティングを実装できます。

アカウント レベルの営業時間スケジュールをチェックする

アカウント レベルの営業時間スケジュールを使用する場合、フローは [条件] ウィジェットを使用して営業時間をチェックします。この設定では、[条件] ウィジェットが使用する営業時間帯 / 休業日を選択します。ウィジェットは、デフォルトのアカウント レベルの設定から選択することも、特定のアカウント レベルの営業時間帯 / 休業日を選択することもできます。この時間帯の適用は、特定のキューの選択よりも前に行われる可能性があるため、この構成ではキューレベルの [営業時間] 設定はすべて無視されます。この設計では、ウィジェットはキューレベルの設定に関係なく、特定の [営業時間] 設定を指定します。

Operating Hours Example

上記のアカウント レベルの [営業時間] 設定は、時間帯チェックのもっとも簡単な実装方法であり、フロー(部門)全体の営業時間が同じ場合に適しています。ただし、部門によって営業時間帯が異なる場合は、キューレベルの設定を使用できます。

キューレベルの営業時間スケジュールをチェックする

キューレベルの営業時間スケジュール設定は、キュー / 部門によって営業時間帯が異なる場合に適しています。以下の例では、フローに接続した発信者がキューのメニューを選択します。選択後には、時間帯ルーティングがキューレベルで行われます。[条件] ウィジェットは、[キューデータを取得] チェックを使用して特定のキューを選択し、キューに設定された営業時間帯を適用します。

Checking Queue level Operating Hours schedule

上記のフローの例に示すように、フローによる営業時間スケジュールのチェック結果は、以下のいずれかになります。


  • 対応可能 - [対応可能] の一般的なフロー構成では、発信者を「営業時間内」ロジック(IVR メニューやキュー / エージェントへのルーティングなど)にルーティングします。
  • 対応不可 - [対応不可] の一般的なフロー構成では、発信者を「営業時間外」ロジック(営業時間外メニューやボイスメールなど)にルーティングします。

営業時間はアカウント レベルやキューレベルで設定できますが、営業時間の処理方法は常にフローが判定します。

したがって、フローに営業時間ロジックを設定することが重要です。フローで [条件] ウィジェットを使用して営業時間チェックを実行しない場合、時間帯ルーティングの設定が完了しません。

アカウント レベルとキューレベルの両方の営業時間スケジュールを組み合わせる

営業時間スケジュールの適用はフロー構成で行われるため、時間帯ルーティングの処理方法を柔軟に選択できます。適切な営業時間帯ロジックを実装するために、必要に応じて、アカウント レベルとキューレベルの両方の条件チェックを併用できます。

設定の手順

時間帯ルーティング / 営業時間ルーティング機能の設定については、[営業時間] 機能を使用して営業時間帯を構築します。次に、フローで時間帯ルーティング チェック / ロジックを適用するように設定します。

アカウント レベルの営業時間

このセクションでは、デフォルトのアカウント レベルの営業時間を設定し、フローに適用します。この設定では、大まかに以下の手順を実行します。


  1. アカウント レベルの営業時間を設定する
  2. フローを更新して、アカウント レベルの営業時間を適用する

営業時間

  1. Zoom Contact Center 管理ポータルで、[コンタクト センター管理]、[環境設定] の順に移動します。
  2. [環境設定] ページで、[営業時間] タブをクリックします。
  3. まずは、[営業時間帯] のスケジュールを確認します。デフォルトでは、24 時間年中無休の [デフォルト時間] のスケジュールのみが表示されます。コンタクト センター全体で共通の営業時間帯をスケジュールする場合は、デフォルト時間のスケジュールを編集して通常の営業時間帯を設定します。複数の部門があり、ほとんどの部門で営業スケジュールが同じ場合も、デフォルト時間のスケジュールを使用できます。ただし、時間帯ルーティングを適用するのはフローの役割であるため、フロー / 部門 / 電話番号によって営業時間が異なる場合は、後ほどフロー構成で設定できます。この例では、デフォルトの休日スケジュールを編集し、営業時間を月~金曜日の午前 8 時~午後 8 時に設定します。

Add Business Hours

 

次のステップでは、標準の営業時間帯スケジュールに優先する必要がある休日または計画的な休業の [休業日] を作成します。必要に応じて、複数の休業日スケジュールを作成できます。[+ 休業日を追加] ボタンをクリックし、会社の適切なスケジュールに従って休業日を作成します。この例では、米国の一般的な複数の休日に準じる [会社の休業日] という単一の休業日を作成しています。[アカウントのデフォルトの休業日に設定する] にチェックを入れているのは、これがビジネス全体に使用される休業日設定であるためです。

 

Add Closures

上記のアカウントのデフォルトの休業日についての特記事項: デフォルトの休業日スケジュールは、キューレベルの設定を含むアカウント全体に適用されます。したがって、特定の部門 / キューに独自のスケジュールがある場合は、デフォルトの休業日を設定する際に考慮することをおすすめします。

特定のユースケースの例として、365 日営業しているキューがある場合は、デフォルトの休業日を設定しないでください。キューにデフォルトの休業日スケジュールに優先する方法はありません。

  1. これで [営業時間帯] と [休業日] の両方を設定し、[営業時間] の設定を完了しました。

フロー

フローで実装する設定により、時間帯 / 営業時間ロジックのチェック / 適用を行うかどうかが決定されます。フローに営業時間チェックを追加するには、[条件] ウィジェットを使用する必要があります。

  1. 営業時間チェックを実装するフローを開きます。
  2. フローに新しい [条件] ウィジェットを追加します。
    1. タイプ: [営業時間] を選択
    2. 営業時間帯: 先ほど設定した適切な営業時間帯スケジュールを選択 / 設定します。
    3. 休業日: 先ほど設定した適切な休業日スケジュールを選択 / 設定します。

 

Settings

 

  1. [条件] ウィジェットの [対応可能] 終点を適切なフローロジック(キューや営業時間メニューへのルーティングなど)に接続します。
  2. [条件] ウィジェットの [対応不可] 終点を適切なフローロジック(営業時間外メニューやボイスメールへのルーティングなど)に接続します。

 

お疲れさまでした。これでアカウント レベルの営業時間 / 時間帯ルーティングの設定は完了です。複数のフローがある場合は、すべてのフローの営業時間 / 時間帯ルーティング設定が適切であることを確認してください。すべての部門の営業時間スケジュールが同じ場合は、すべてのフローの設定が完了した時点で時間帯ルーティング設定も完了したことになります。ただし、一部の部門 / キューのスケジュールが異なる場合は、次のセクションの設定に従ってキューレベルの時間を処理します。

キューレベルの営業時間

前のセクションでは、すべての部門のスケジュールが同じ場合に適しているアカウント レベルの営業時間を設定しました。このセクションでは、特定のキューの営業時間帯 / 休業日スケジュールがデフォルト以外の場合に適しているキューレベルの営業時間について説明します。

このセクションでは、キューレベルの営業時間を設定し、そのスケジュールを特定のキューに適用します。この設定では、大まかに以下の手順を実行します。

  1. 特定の部門 / キューの新しい営業時間スケジュールを設定する
  2. 営業時間スケジュールをキューに適用する
  3. フローを更新して、キューレベルの営業時間を適用する

営業時間

  1. Zoom Contact Center 管理ポータルで、[コンタクト センター管理]、[環境設定] の順に移動します。
  2. [環境設定] ページで、[営業時間] タブをクリックします。
  3. [+ 営業時間帯を追加] ボタンをクリックします。この例では、テクニカル サポート部門の新しい営業時間帯スケジュールを作成します。この部門の営業時間はデフォルトとは異なるため、独自のキューレベルの設定が必要です。
  4. スケジュールした新しい [営業時間帯] に適切な時間を入力し、[保存] をクリックします。

 

Add Business Hours

 

  1. これで、[デフォルト時間] と [テクニカル サポート] の両方の営業時間帯が表示されました。ただし、テクニカル サポート部門の営業時間帯スケジュールを作成しても、[使用先] 列に表示されているとおり、このスケジュールはまだ割り当てられていません。割り当ては、後ほどキュー構成で行います。

 

Preferences

 

  1. 次のステップでは、休日を処理するための [休業日] を作成します。この例では、テクニカル サポート部門の休業日スケジュールは設定しません。この部門は 365 日営業しているためです。休業日を適用する必要がある場合は、要件に応じて [休業日] 設定を追加できます。

    注: 365 日営業している部門がある場合、デフォルトのアカウント レベルの休業日は設定されていないことを確認してください。この休業日は、キューレベルの設定に適用されます。


  2. これで [営業時間帯] を設定し、[営業時間] の設定を完了しました。

キュー

上記の営業時間を設定したら、次に営業時間をキューに適用する必要があります。この例では、テクニカル サポート部門の営業時間は、社内の他部門と異なっています。そのため、[テクニカル サポート] の営業時間帯を [テクニカル サポート] キューに割り当てます。他のすべてのキューに関しては、デフォルトで設定された [デフォルト時間] を使用します。したがって、この [キュー] セクションは、デフォルト以外の営業時間帯 / 休業日を使用するキューにのみ必要になります。

  1. Zoom Contact Center 管理ポータルで、[コンタクト センター管理]、[キュー] の順に移動します。
  2. テクニカル サポート部門が使用するキューをクリックし、下の [営業時間] セクションまでスクロールします。[営業時間帯] 設定から、先ほど作成した [テクニカル サポート] の営業時間帯スケジュールを選択します。

 

Operating Hours

 

  1. [保存] をクリックします。次にフロー構成に移動し、キューレベルの営業時間スケジュールを適用します。

フロー

フローで実装する設定により、時間帯 / 営業時間ロジックのチェック / 適用を行うかどうかが決定されます。フローに営業時間チェックを追加するには、[条件] ウィジェットを使用する必要があります。


  1. キューで使用されている適切なフローを開きます。この例では、テクニカル サポート部門の通話をルーティングするメインフローを開きます。構成内の適切なフローに以下の設定が適用されていることを確認する必要があります。
  2. [フローエディタ] ページで、フローに新しい [条件] ウィジェットを追加します。
    1. タイプ: [キューデータを取得] を選択します。
    2. キュー: <適切なキューを選択します。この例では [テクニカル サポート] キューを使用します。>
    3. キューデータ: [営業時間の対応可否] を選択します。

  1. [条件] ウィジェットの [対応可能] 終点を適切なフローロジック(キューや営業時間メニューへのルーティングなど)に接続します。
  2. [条件] ウィジェットの [対応不可] 終点を適切なフローロジック(営業時間外メニューやボイスメールへのルーティングなど)に接続します。

 

Settings

 

お疲れさまでした。これでキューレベルの営業時間 / 時間帯ルーティングの設定は完了です。キューが複数のフローを使用している場合は、すべてのフローに営業時間 / 時間帯ルーティング設定が適切であることを確認してください。

別の設定

このキューレベルの例では、営業時間スケジュールを作成してキューに適用し、[条件] ウィジェットの [キューデータを取得] 設定を使用してキューの営業時間をチェックしました。別の方法として、[条件] ウィジェットの [営業時間] 設定を使用し、適切な営業時間帯 / 休業日を指定することもできます。

まとめ

今回の記事では、Zoom Contact Center の時間帯ルーティング / 営業時間ロジックの概念と設定について説明しました。アカウント レベルとキューレベルの設定方法を取り上げ、どちらの設定でも、フローが実際の時間帯ルーティングを実装するために、[条件] ウィジェットを使用してアカウント レベルまたはキューレベルの営業時間をチェックすることを説明しました。営業時間内 / 営業時間外の処理方法の判定はフローの役割です。

上記は基本的な例であり、この記事で学習した概念を利用して、ご自分のフローに適切な設定を適用し、ビジネス要件に応じて時間帯ルーティング / 営業時間チェックを実装できます。