AI インサイトとトレンド

AI に関する 3 つの主要な疑問に Zoom の CTO が回答

Xuedong Huang(Zoom CTO)が Nick Thompson 氏(The Atlantic CEO)と共に公平なミーティング、創造性、社会的なつながりにおける AI の影響について取り上げます。

4 分で読める

更新日 May 13, 2024

公開日 January 17, 2024

働き方改革サミット(2024年1月)- XD Huang と Nick Thompson 氏の対談

携帯電話ユーザーが 1 億人になるまでには 16 年、インターネット ユーザーが 1 億人になるまでには 7 年の歳月を要しました。これに対し、ChatGPT はわずか 3 か月で 1 億人のユーザーを獲得しました。

生成 AI の革新と導入はかつてないスピードで伸びています。このため組織は、責任を持って迅速かつ戦略的にこの新しいテクノロジーを評価し、採用しなければならない立場にあります。とはいえ、AI が従業員や生活にどのような影響を与えるのかなど、AI については未だ多くの疑問が残ります。

先日開催された Zoom 働き方改革サミットでは、こうした未知の課題を解きほぐし、AI をめぐる議論を解明するよう努めました。AI が社会に与える影響をテーマに掲げ、Zoom の最高技術責任者である Xuedong "XD" Huang と The Atlantic の Nick Thompson CEO が対談しました。以下に、基調講演でのディスカッションから得たインサイトをご紹介します。議論の全容については、働き方改革サミット(オンデマンド)をご覧ください。

AI は世界の公平性を向上できるか

この数十年、テクノロジーの進歩の多くが、選ばれし一部の人たち(テクノロジーに精通し、新しいテクノロジーを学んだり手に入れたりする余裕のある人、あるいはハイブリッド ワークなどを活用できる仕事やライフスタイルを持つ人など)に恩恵をもたらしてきました。AI には、これとは逆のはたらき、つまり知識や生産性の向上をより公平に届けられる可能性があります。

「私がもっとも関心を寄せている疑問のひとつは、AI は世界の公平性を向上するのか、それとも不公平性を増大させるのかという点です」と Thompson 氏は言います。同氏は、職務上のミーティングに出席するあるグループの状況を取り上げました。経営幹部にはメモを取るアシスタントがいるでしょう。印刷した資料を配布してもらえる人もいるかもしれません。その一方で、個人の貢献者の中にはそのようなリソースがないまま、自分でメモを取らなければならない人がいる可能性もあります。同氏は「AI を使えば、もう少し民主化されるでしょう。誰もが AI のミーティング要約を読むことができるからです」と述べました。

一方、AI ツールにかかる費用が原因で、企業による全従業員へのアクセス権付与が難しいケースもあります。XD は「ある大企業の CTO は、高額な費用が原因で会社の経営幹部用にしかライセンスを購入しないと言っていました。これでは従業員の不公平感が増し、憤りさえも生み出します」と述べています。同氏は、追加費用なしで利用できる Zoom AI Companion* により、あらゆる規模の組織が AI をより身近なものにし、多くの従業員が AI を利用できるようになるとも付け加えています。

AI のメリットを活用すれば、別の視点からも従業員の活躍の場を平等にできます。XD が指摘したように、言語の壁はチーム同士の効果的なコミュニケーションを妨げることがあります。

「公平性とは多次元的なものです」と XD は言います。「異なる言語を話す人々とミーティングする際、AI Companion はそのギャップを埋め、円滑なコミュニケーションを後押しします。」

AI Companion が提供するリアルタイム翻訳や、33 種類の言語でミーティング要約を受領したりミーティングについて質問したりできる機能を生かせば、グローバル チームにさらなる包括的な体験を提供しやすくなります。また、ミーティングで話されている言語を自動的に検出し、その言語でミーティングの要約を生成したりミーティングに関する質問に回答したりする AI Companion の機能(近日公開予定)により、さらに容易により公平な体験が実現します。

AI は人間の創造性を高められるか

AI イノベーションの専門家である Pascal Bornet 氏は、かつて AI は反復的なタスクを人間の代わりに処理し、創造性の追求に費やす時間を増やすことができると指摘しました。一方で、現在 AI はこれまで人間が創造力を働かせて行ってきた文章や画像の生成に頻繁に活用されています。このような AI 搭載型ツールがすべて自由に使用できるようになった今、果たして AI は人間の創造性を高めるのでしょうか?それとも創造性を狭めるのでしょうか?

「AI の優れた要約テクノロジーや、全員が後れを取らないように支援する能力、ミーティングでの公平性が、生産性の向上のみならず、創造性の向上につながる可能性はあると思いますか?」とは、Thompson CEO からの質問です。

その答えは、AI のアウトプットそのものではなく、創造性を開花させるために AI が提供できる条件にあるかもしれません。

「創造性を生み出すには、快適な環境を整えることが大切です。人々が真につながることが可能で、見逃していたものに気付けるようになるからです」と XD は述べます。「要するに、生成 AI に何ができるかというと、そのギャップを埋めて人々を結びつけ、共にイノベーションを起こせるようにすることなのです。」

AI は人間の社会的なつながり方に影響を与えるか

AI は、これまで人間が時間を費やしていた作業の多くを肩代わりしたり、改めたりしています。AI が生成したミーティング要約があれば、ミーティングのメモを取る代わりに議論そのものへの集中度を高め、より充実した時間を過ごせるようになるかもしれません。メールを自分で下書きする代わりに、AI Companion に指示を出し、メッセージの下書きを自動作成することもできるかもしれません。しかし、AI はどの時点で、社会的生物としての人間のつながり方に影響を与えるのでしょうか?

Thompson 氏は、ミーティング要約によって、人々が自分の一日について雑談したり、余談を楽しんだりするなどといったやり取りが妨げられるかもしれないという事実を指摘しました。同氏は「すぐに仕事に取りかかれるという点ではいいことになるでしょうし、社会的なつながりが少し減るという意味では悪いことかもしれませんね」と述べています。

ミーティング要約、チャットやメールの作成、スマート レコーディング、その他多くの AI 機能が時間の効率化に役立っている中、同氏は AI が完全にミーティングに取って代わることが可能かどうかについては疑問を呈しました。

「人間は社会的動物だと思います」と XD は回答しました。 「人と……生身の人間とつながるという能力と贅沢、これは特権です。 私たちはその瞬間を大切にしなければなりません。」

AI の解明に向けた議論を継続

AI が世界に与える影響と従業員が得るメリットに関するインサイトについて詳しくは、別の働き方改革サミット セッション(オンデマンド)をご覧ください。AI 革命の最前線で活躍するアナリストや、組織で AI テクノロジーを導入した実際のお客様からの意見をご確認いただけます。

 

* 注: Zoom ユーザー アカウントに有料サービスが割り当てられている Zoom のお客様は、Zoom AI Companion を追加料金なしでご利用いただけます。AI Companion は、地域や業種によってはご利用いただけない場合があります。

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