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更新日 January 04, 2023
公開日 January 03, 2023
お客様に、親しみやすいサービスをすばやく効率的に提供する最善の方法は何でしょうか。 顧客サービス エージェントにリソースやベスト プラクティス、権限を与えて、業務しやすい環境を整えることです。 この概念を「エージェントのエンパワーメント(権限委譲)」と呼びます。
エージェントへの権限委譲は一見、簡単なことのように感じますが、 多くの企業では成功に必要なツールをエージェントに提供するのに実のところ苦慮しています。
今回はベストセラー作家でカスタマー サポートの専門家である Jeff Toister 氏に、エージェントのエンパワーメントを進めるためにサポートチームができることについて詳しいお話を伺いました。
エージェントのエンパワーメントがこれほど大事だと思った理由はいくつかあります。
まず、私自身が顧客サービスのエージェントであること。 この仕事で最も歯がゆく感じる瞬間の 1 つは、お客様にとって最適なサービスをご提供できないときです。 今まで何千人もの顧客サービス エージェントのトレーニングをしてきましたが、多くの人が同じことを言います。
次に、私は顧客でもあります。 最高の顧客サービスを提供してくれる従業員は、たいてい素晴らしいサービスを提供する権限を与えられているものです。 一方、対応にイライラさせられるのは、その担当者の権限やリソース、明確なプロセスがないためにサービスが制限されるときです。
最後に、エージェントに権限を委譲することでビジネスにも好影響があります。 権限のある従業員はもっと効率的になる傾向があります。 それに、離職率も低く、 お客様をつなぎ止めるのも上手いんです。
『The Service Culture Handbook』について研究していたとき、顧客重視の組織がエンパワーメントを単なる権限委譲と捉えていないことを知り驚きました。つまり、エージェントが必要と感じる独自の対応をしてもらうこと、私はそれがエンパワーメントの従来の定義だと考えています。しかし、これは実際に成功を収めた企業によって定義されたものではなく、これらの企業はエンパワーメントを 3 つのポイントから成る「カスタマー サービス エージェントが最適なサービスを提供できるようにする要素」と捉えていました。
1 つ目は、権限です。
プロセス、つまり手順が 2 つ目の構成要素です。 言い換えれば、たいがいの場合に上手くいくことが分かっていて、より簡単に素晴らしい仕事ができる標準的なやり方です。
3 つ目は、適切なリソースが与えられていることです。 つまり、実際にエンパワーメントを推進していくために必要なツールやリソース、アクセス権です。
何年か前に、我が家の犬が死んでしまいました。 その数日後、ペット用品会社の Chewy から、定期便で注文していたドッグフードやおやつが届きました。 もちろん、もうそのドッグフードもおやつも要りません。 そこで妻が Chewy に電話をして「返品と返金をお願いできますか?」と尋ねました。
サポート担当者は、「返品していただく必要はありません。もしよろしければ、地域の動物保護施設に寄付してください」と言いました。まさに見事な対応でした。
この担当者には、システムにアクセスして返品されないドッグフードとおやつの返金手続きをする権限がありましたし、 そのプロセスも整備されていましたが、 そうした権限があったことだけが素晴らしい対応につながったのではありません。お客様に素晴らしい体験を提供することを第一に考え実践できた結果です。
マネージャーたちによると、大きな理由は 3 つあります 1 つ目は恐怖心です。 エージェントが余計な物まで提供し過ぎないか、お客様に悪用されかねないのではないか、と考えるわけです。
次に、時間です。 顧客サービス エージェントに権限を委譲するには、少なくとも事前にかなりの時間がかかります。 最終過程で時間を節約するつもりでも、エージェントが何をすべきかを正確に示すための時間が足りないと感じることがよくあります。
3 つ目は一貫性です。 特に大企業では、エージェントがおのおの自分流のやり方をすると、サービスレベルを一貫させることが難しくなります。
ここで驚くことが分かったのです。 これまで話した多くのコンタクト センターのトレーナーが、エージェントに権限を委譲するトレーニングはしてはいないと言うのです。 一度、自分がどのようにエージェントをトレーニングしているか考えてみてください。 さまざまなシステムの使い方、ポリシー、手順、それに通話やチャット、メールの流れを教えることに注力しているのではないでしょうか。 こうしたことは、エージェントが「お客様から見た素晴らしいサービスとは何か」を理解するためには全く役立ちません。
田舎に住んでいる私の友人は、家の暖房にも料理にもプロパンガスを使っています。 ある年の冬はひときわ寒さが厳しくて、いつもよりもたくさんプロパンガスを使用していました。ですがプロパンガスの配達トラックが予定日になっても到着しないので、彼はカスタマー サポートに連絡したのです。
カスタマー サポートでは取引について特に注目し、「しまった、配達し忘れたのか。後日配達するようスケジュールを組み直して取引し直そう」と思ったのです。これでその会社は万事収まったと思うでしょうが、本当の問題はそこではありません。顧客である友人にとっては、プロパンガスが切れては困るのです。寒いし、料理もできません。
実際友人はプロパンガスが切れてしまい、他の会社にガスの配達を頼みました。 そしてもちろん、ガス業者を変更しました。 どんな顧客体験でも最も苛立つ瞬間の 1 つは、言わずとも明らかにわかること、たとえば冬場に家を暖かくするプロパンガスを確実に手に入れる必要があることを、従業員が実現してくれないときです。
今まで見てきた中で最高の例は、『The Service Culture Handbook』の中にも書きましたが、フロリダにある地方のケーブル会社 Brighthouse Networks(後に他のケーブル会社により買収)のものです。 Brighthouse では、管理職の社員が高額のクレジットの承認に費やしている時間を分析しました。
その承認プロセスによって、会社は 2 つの代価を支払っていました。 1 つ目は、管理職社員が承認のために費やす時間です。そして 2 つ目は、大きな事案の解決に時間がかかればかかるほど、顧客の怒りが増していくということです。 つまり、クレジットはますます増えていきます。
そこでこの会社では、エージェントが承認を得ずにクレジットを与えることを許可しました。 そして、250 ドル以上のクレジットの発行については監査しました。 6 か月後、発行すべきでないクレジットは 1 つも発行されていないことが分かりました。
ここにビジネスケースがあります。 お客様の不満の原因を減らすことにもなり、ビジネスの損失のリスクも回避でき、結局は承認されるものの承認に管理者が費やす時間を大幅に節約します。 エージェントにやらせてみない手はないでしょう?
権限を委譲された従業員がより良い体験を提供してくれた最近の例をお話しします。 妻と一緒に新しくできたアイスクリーム ショップに行ったときのことです。 レジでの会計を待つときに、店のオーブンで焼いていた一斤のパンについて妻が尋ねました。
珍しい光景だったからです。 アイスクリーム ショップにパン焼きオーブンって?なぜパンを焼いているの?
店員が言うには、この店では「アイスクリーム パン」なるものを試しているんだそうです。溶けたアイスクリームでできたパンです。 説明するとすぐに、店員はこの最新アイデアのサンプルをくれました。
小さな行動のようですけど、客とつながりサンプルを渡す権限があることで、この新しい店との深いつながりが生まれます。 絶対にまたこの店に行きたくなりますよ。
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