全米の法廷が新しいハイブリッドな現実を受け入れる中、司法機関のリーダーには、さまざまな司法サービスの体験を向上させ、司法へのアクセスを拡大するためのテクノロジー利用法を理解することが求められています。 このガイドでは法廷の未来を取り上げ、明日の世界にふさわしい法廷を作り上げる方策で役立ちそうな業界の情報やヒントについてご紹介します。
法廷の未来 - ハイブリッド法廷とバーチャル法廷
- 01 審理中のバーチャル法廷 - Jumplink to 審理中のバーチャル法廷
- 02 変化する時代から得た教訓 - Jumplink to 変化する時代から得た教訓
- 03 有望なハイブリッド法廷モデルの実現 - Jumplink to 有望なハイブリッド法廷モデルの実現
- 04 最新の法廷を作り出す工夫 7 案 - Jumplink to 最新の法廷を作り出す工夫 7 案
- 05 司法業務向けに設計されたプラットフォーム - Jumplink to 司法業務向けに設計されたプラットフォーム
- 06 評決下る: ハイブリッド法廷は定着する模様 - Jumplink to 評決下る: ハイブリッド法廷は定着する模様
この数年の間に、法的手続きで完全なパラダイム シフトが起きました。 従来型の対面プロセスがデジタル化されていき、その動きに伴って州、地方、連邦の司法機関が、テクノロジーを活動継続のためのソリューションとして認めるようになりました。 閉ざされた法廷で行われていたプロセスが、人々のアクセスしやすいバーチャルの領域に突如として拡張され、より多くの人々が出廷できるようになり、しかも費用を削減し、迅速に情報を共有できるようになりました。
世界各地の組織が対面アクティビティを再導入している今、このデジタル トランスフォーメーションが司法制度の向上にどのように貢献するか、またバーチャル コラボレーションのどの側面を今後も司法制度の一部として使用するかの検討が重要です。
このガイドでは、法廷でのコミュニケーションと実務に対面式とオンライン式の両方を組み込むことで、最終的に公共サービスの向上につながるように、ハイブリッド法廷を構築するために必要なものについて検討します。
2020 年に起きた出来事は、私たちの働き方、学び方、暮らし方に及ぶすべてを変えてしまいました。 どの部門も大きな混乱を経験しました。政府も例外ではありません。 連邦政府、州政府、地方政府はオンライン業務にすばやく移行する必要がありました。時には時代遅れとも呼ばれる従来型のプロセスやテクノロジーが幅を利かせる組織にとって、これは並大抵のことではありませんでした。
司法制度でこのような急速なデジタル トランスフォーメーションを実現するには、単にミーティング用のバーチャル空間を導入するだけでは、不十分でした。 裁判所の職員は、あらゆる社会経済的立場の人々が簡単にアクセスし、利用することができる、安全でインクルーシブな環境を作り出すことができる技術を採用する必要がありました。 さらに司法機関には、あらゆる立場の人々が司法サービスを利用できるように設計されたアクセシビリティ機能を提供するソリューションが必要でした。 つまり Zoom が必要になったのです。
Zoom の採用により、連邦、州、地方の裁判所は、継続的に司法サービスを提供できるようになり、この新たな形態がよりよい体験を生み出すこともわかりました。 突然、法廷がより公平な場所になったのです。 物理的な障壁は問題ではなくなり、以前は対面で裁判所に出廷するために費やしていた費用も削減されました。 また出廷者がよりよい条件で出廷できるようになり、緊張が緩和され、すべての関係者がより積極的に参加するようになって、法廷での福祉も向上しました。
司法へのアクセスという観点で、多くのメリットを実感しています。 養子縁組裁判では、ビデオで家族のサポートを受け、家族全員で養子縁組の日を祝うことができます。これは新しい親子の愛情を確認するうえで、非常に重要な要素となっています。
Conference Technologies, Inc 司法部門ディレクター、Adam Lofredo 氏
詳細情報これまでに [体験した 26 回以上の陪審裁判で] わかったのは、どの裁判でも参加率が高まっていることです。通常、郡の陪審員裁判の出廷率はざっと見積もって 40% です。バーチャル陪審では、参加者数が実際に増えており、参加率が 60%、70%、80% にまで高まっています。
David Slayton 氏(テキサス州司法運営事務局事務局長)
詳細を読む世界が一段階上の働き方に移行しつつある中で、あらゆる組織が従業員と顧客のサポート向上につながるハイブリッド アプローチを取り入れようと模索しています。 司法制度についても、リーダーはバーチャル / ハイブリッド法廷と完全に物理的な法廷を比較し、どちらでの審理が優れたサービスを人々に提供できるか判断する必要があります。
この取り組みをどこから始めるか検討中の司法機関リーダーには、もっとも出席率が高く、目の前の問題に適していると感じられ、より多くの人々に貢献できる形式を最初にご検討ください。 たとえばバーチャル審理の最有力候補の 1 つは、行政審問です。交通違反チケットの審問はごくシンプルであるため、手軽な Zoom での短時間セッションで事足りるでしょう。
さらに従来、緊張が強いられる離婚訴訟の手続きでは、ビデオ テクノロジーを利用することで緊張を緩和する効果を期待できます。また利用者の心に寄り添った専門的な環境を構築するブレイクアウト ルームやバーチャル背景などのコラボレーション テクノロジー機能が、家族問題の審理でプラスに作用する場合もあります。
ハイブリッド戦略は、裁判所の職員にもメリットがあります。裁判所長などの判断でバーチャルでの審理が決まるたび、裁判官、弁護士、通訳者が対面裁判に出席するためにかかったはずの時間と費用も節約できます。
裁判官からすれば、裁判所で審理するとなると、必ず多くの人々の移動を伴います。当裁判所の裁判官の 1 人は、テキサス州西部に住んでおり、審理のある日は 4 時間かけて移動しています。バーチャル法廷なら当然、サインインするだけで出廷できるため、4 時間の移動は必要ありません。弁護士からすれば、15~20 分ほどで終わる担当ケースの審理に出るために、事務所を出て裁判所まで移動し、駐車場を見つけ、開廷まで数時間も待機しなくてはならないこともあります。ビジネス オーナーからすれば、もちろん手痛い出費となり、時間の有効活用どころではありません。
David Slayton 氏(テキサス州司法運営事務局事務局長)
詳細を読むリモートのメリットがある審理はどれかを判断した後は、参加者がどこから参加しても、まとまりのある法廷環境を作り出すことが大切です。 具体的な実現方法については、以下をご覧ください。
ハイブリッド モデルはまだ新しい領域かもしれませんが、ベスト プラクティスを活かせば実現できます。Zoom は、行政機関、司法機関、幅広い一般市民の誰もが弊社のプラットフォームを使用してそれぞれのニーズを満たすことができるように、使いやすい機能を満載し、アクセシビリティの高いプラットフォームを提供しています。
未来にふさわしい法廷体験の構築のご参考になることを願い、Zoom プラットフォームを利用したハイブリッド法廷構築に関する主な工夫案をご紹介します。
- 必要なアクセシビリティと通訳機能の実装: Zoom Meetings は、多様なアクセシビリティ機能と通訳機能を搭載しており、サードパーティの設定や連携も利用できるため、誰でも手軽に Zoom プラットフォームを利用できます。話す言語が異なる人々や障害を抱える参加者の公平な司法アクセスをサポートする目的で、司法機関の職員が Zoom ネイティブの自動生成字幕、手動字幕、サードパーティの字幕サービスとの連携を展開することもできます。現在、自動生成字幕は商業用 Zoom で 11 言語をサポートしています。弊社は Zoom プラットフォームを最新のスクリーン リーダーに対応させるため、最新のアクセシビリティ標準にも準拠しています。
- 適切な環境を構築: 自宅と法廷の間の障壁を緩和する方法として、出廷者が Zoom Meetings の機能を利用すれば、すべての参加者が公平な立場で同じ土俵に立つことができるようになります。ミーティング開始前に、一貫した法廷内の外観と雰囲気を醸し出すプロフェッショナルなバーチャル背景の展開と Zoom のバックグラウンド ノイズ抑制機能の使用について参加者全員の同意を得ておけば、気を取られるような周囲の刺激が減り、審理への集中が途切れにくくなります。
- スムーズな情報共有や証拠の提示: ミーティング ホストの設定に応じて、参加者はミーティング内チャットでの画面共有やリンク送信により、すばやく情報や証拠を提示することができます。また、関係者は Zoom Whiteboard を活用してリアルタイムのインタラクティブなコラボレーションを実現でき、Zoom Team Chat で審理後にメモやドキュメントを共有できます。Zoom 向け DocuSign eSignature(現在、商業用 Zoom で利用可能な戦略的連携アプリ)を展開すると、証拠に関する手続きも円滑に進む場合があります。eSignature アプリを利用すると、参加者は安全を確保して契約書の共有、確認、署名ができます。
- 割り込みや中断の回避: 議論が熱くなりすぎたり参加者が私語をしたりするようなら、ミーティング オーナーが特定の機能を利用して、ミーティング体験を管理することもできます。ミーティング ホストは、入室時に参加者をミュートすること、ミュートした参加者に、会話に参加するときは挙手機能を使用するよう依頼すること、ミーティング内チャットを無効にすることができます。これらの機能は、審理における現状や感情がどうあれ、互いを尊重しあうプロフェッショナルな環境の維持に役立ちます。
- 適切なスピーカーをハイライト表示: Zoom のスポットライト ビュー機能を展開することで、司法に関するセッション期間で適切なスピーカーに注目が集まるようにしましょう。この機能では、最大 9 名のミーティング参加者を主要なアクティブ スピーカーとして設定し、ほかの出席者にはこれらのスピーカーのみが表示されます。これは裁判官、被告、原告、証人に注目を集めるには効果的な方法です。スポットライト ビューは画面共有中に使用でき、Zoom デスクトップ クライアント、Zoom モバイルアプリ、Zoom Rooms で有効にできます。また、スポットライト ビューは管理者によるフル カスタマイズ / 設定が可能です。その他のオプション: 自動 / 手動で参加者をバーチャル シーンに配置できるイマーシブ ビューも利用できます。また、ホストは参加者を任意のシーン(法廷など)へ移動させる操作も、参加者の画像を自然な形でサイズ調整する操作も簡単にできます。
- 法廷の安全維持: 指定された参加者のみをバーチャル法廷に表示することが重要です。待機室、パスコード、ミーティング内のセキュリティ コントロールなど、Zoom がフル装備しているセキュリティ機能をミーティングへの入室者や参加者の管理に活用しましょう。
- テクノロジー完備の物理スペースの構築: ハイブリッド法廷を実現するには、物理的な施設でテクノロジーを完備する必要があります。在宅勤務職員もいれば、オフィス勤務に戻る職員、またその両方を活用するハイブリッド型の法廷職員が混在する中で、対面式で働く職員にはリモート スタッフ(同僚、弁護士、一般市民など)と簡単に連絡を取ることができるスペースが必要です。最新機能を備えた法廷を構築するには、カンファレンス ルーム ソリューション(Zoom Rooms など)の使用に必要なハードウェアのタイプを確認してください。まずはシームレスな体験を実現するために必要となるルーム内のオーディオ ソース、カメラやその他の必須設備のセルフチェックを行いましょう。その結果を踏まえ、Zoom プラットフォームでハイブリッド体験全体を作り出すために必要なハードウェアを提供する Zoom パートナーを見極めてください。
Zoom は使いやすく優れたプラットフォームです。インターフェースがすっきりとしていてわかりやすく、多様なデバイスからアクセスできる点は、非常にすぐれた特長です。ルーム内の関係者がオーディオ フィード(着信と発信)を利用してバーチャルでつながり、ビジュアルとオーディオの両面で同じ体験を共有できます。
Matthew Maierhofer 氏(フルトン郡政府 CIO 補佐官)
詳細情報人々に効率的な裁判を提供する責任を伴うため、今日の司法組織には有意義なサービス提供と成果の向上を可能にするアジャイルかつ高度なコミュニケーション プラットフォームが必要です。Zoom と行政機関向け Zoom はどちらも、この特定のニーズに対応するように設計されています。
米国では、Zoom は連邦政府のセキュリティ要件に準拠するように設計された行政機関向け Zoom とよばれる別のプラットフォームを提供しています。行政機関向け Zoom は、米国の連邦、州、地方自治体のお客様、および政府のお客様をサポートする、政府の認可済み請負業者、インテグレーター、教育機関が利用できます。行政機関向け Zoom プラットフォームは米国用で、米国民だけが運用できます。
行政機関向け Zoom は、商業用 Zoom と同様の直感的で安全な体験を提供します。どちらのバージョンのプラットフォームも拡張性と柔軟性にすぐれ、目標の達成に必要なテクノロジーを今日の公共機関に提供するとともに、重要な情報の保護にも役立ちます。
行政機関向け Zoom は以下のものを取得しています。
- インパクト レベル「Moderate(中)」の FedRAMP 認定
- 米国国防情報システム局(DISA)からの国防省(DoD)の影響レベル 4(IL4)の暫定認定(PA)
- 空軍からの IL4 ミーティングを実施するための Authorization to Operate(ATO)
- インパクト レベル「Moderate(中)」の StateRAMP 認定
プラットフォームのコントロールでは、次のコンプライアンス要件もサポートしています。
- HIPAA
- CJIS
- CMMC
変化は避けられませんが、人々は常に適応するものです。 社会が新しい暮らし方、働き方、学び方の波に適応しつつある今、この先の変化に常に機敏に対応し続けるために必要なサポートとリソースを確保することが重要です。
ハイブリッド アプローチは一時の流行ではなく、今日の人々のニーズに対応するための新しい任務です。人々は以前よりも多様な課題に直面し、デジタル領域を通じて新しい機会を見出し、公平かつ公正なサービスを必要としています。 ハイブリッド法廷は、人々と法律との関係を強化し、社会の従来型の体制を魅力的な体験に変えてくれます。 公正な裁きが下されたのです。