ソート リーダーシップ AI

AI、リーダーシップ、ワークプレイスでの「信頼の文化」の構築に関するインサイト

AI のインパクト、信頼の重要性、優れたリーダーのマインドセットについてPwC ワークフォース トランスフォーメーション プラクティス部門責任者である Toni Cusumano 氏との Q&A から学びましょう。

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更新日 May 31, 2023

公開日 June 17, 2024

AI のインパクト、信頼の重要性、優れたリーダーのマインドセットについて、PwC ワークフォース トランスフォーメーション プラクティス部門責任者である Toni Cusumano 氏との Q&A から学びましょう。
Lauren Reed
Lauren Reed
コンテンツ戦略家

AI 機能の飛躍的な拡大と導入からグローバルな外部要因に至るまで、今日のビジネス リーダーは絶えず変化する情勢課題に直面しています。しかし、従業員が組織のもっとも重要なアセットであることに変わりはありません。従業員の体験とエンゲージメントに対する注目度の高まりは、従業員が活躍できる文化を雇用主が築くことに対する重要性を示しています。

PwC のワークフォース トランスフォーメーション プラクティス部門責任者である Antonia(Toni)Cusumano 氏は、世界中の組織と連携して従業員の潜在能力を活用することで、ビジネス目標を達成しています。氏は最近、Zoom の最高執行責任者である Aparna Bawa と働き方改革サミットで対談し、ワークフォース ダイナミクス、従業員エンゲージメントの低下による実質的なコスト、今後のリーダーの成功に必要なスキルについて話し合いました。

以下に掲載する Toni 氏との対談では、以下の点を掘り下げています。

  • 組織内で新たに「信頼の文化」を構築する方法と一度失った「信頼の文化」を再構築する方法。
  • 従業員パフォーマンスのみに頼らない、従業員のステップアップの評価・促進方法。
  • AI が働き方を形成する仕組み、組織が AI 導入を成功に導くための考慮点。
  • 一連の固有課題の解決と、世界を形作るメガトレンドへの対応に必要となる優れたリーダーのマインドセット。

以下では Toni 氏のインサイトをご紹介します。

 

信頼は組織の文化において重要な役割を果たしますが、各企業はどのように「信頼の文化」を構築しているのでしょうか?

どの組織も「信頼の文化」を求めていますが、それを実現する万能のアプローチはありません。まず組織の戦略、運用、文化が相互補完しながらビジネス目標をサポートするよう、これらの要素全体の一貫性を確保することが重要です。

次に、その文化を支える行動に優先順位を付け、各行動に関する組織全体での明確で一貫した期待事項を設定しましょう。

積極的な意見収集チャネルを確立して、うまくいっていること、そうでないことのリアルタイム フィードバックを収集する必要もあります。また、リーダーは特に新しいポリシーや変更を導入する際、従業員への信頼が伝わるようにしましょう。組織の意思決定の背景にある明確な理由を伝えることで、リーダーは信頼を育み、従業員の生産性とモチベーションを堅持できます。

 

従業員の信頼が失われている組織の場合、どのようにして信頼を再構築すればよいのでしょうか?

組織が従業員の信頼を失う経緯としては、1 度で組織全体の信頼を損なう大きな出来事、または見過ごされがちな小さな出来事の積み重ねという 2 パターンが考えられます。

信頼を損なう出来事はビジネス リーダーが思うより頻繁に発生しており、このような出来事についての認識が経営幹部と従業員で異なる場合もあります。PwC の調査によると、「自社が信頼を損なう出来事が起きた」と回答した企業経営幹部はわずか 20% でしたが、従業員については半数以上(54%)に上っています。

信頼を損なう大きな出来事が発生した場合、一番の解決策は責任を取って謝罪することです。責任転嫁したり、受け身になったり、スケープゴートを仕立てたりするのは厳禁です。問題の出来事の原因を明確にし、ポリシー、運用、行動を変更する方法を決めて、再発防止に努めましょう。

経営幹部は、従業員にとってもっとも重要な、個々人の日常体験に寄り添うことで、一つひとつは小さいものの積み重なるうちに信頼を損なう出来事を回避できます。偏見や不当な扱いが生じる可能性のあるシーンを特定し、従業員から積極的に意見を聞き、あらゆるレベルの従業員にフィードバック提供を促しましょう。

 

パフォーマンスとステップアップの違いは何ですか?雇用主が従業員のステップアップを促すには、どうすればよいですか?

パフォーマンスは、過去に起こった出来事、そして現在の従業員の行動にフォーカスが置かれています。ステップアップは未来の要素、つまり従業員が時間をかけて成しうることにフォーカスが置かれています。

PwC では、従業員が現在のレベルで期待されている行動を評価することでパフォーマンスを測定しています。ステップアップを評価する際には、従業員が今後のレベルで期待されている行動にフォーカスします。

雇用主が以下の方法で従業員のステップアップを後押しできます。

  • 従業員の現在のスキルと希望するスキルに応じて、複数の具体的なキャリアパスに取り組めるような柔軟性を残しつつ、明確に定義されたキャリアパスを複数、示します。
  • 従業員、組織、マクロ経済の動向に即した継続的な学習と能力開発の機会を提供します。
  • 従業員の昇進の仕組み、特定の役職への昇進の可能性について、事前に明確な期待事項を規定します。このくらい透明性が高いと、従業員は自身のキャリアパスについて深く理解でき、長期的なステップアップにフォーカスする方法を選択するに当たり、十分な情報に基づいて意思決定を下すことができます。
  • 一貫したコーチング ミーティングを繰り返します。PwC では、2 プラス 2 コーチング モデルを採用し、従業員が四半期ごとにリレーションシップ リーダー(キャリア メンターに相当)とコーチング ミーティングを繰り返し、各年の能力開発における従業員の強みと重点分野を特定できるようにしました。
  • 従業員が昇進するために示すべき行動に対して、タイムリーな評価とアワードを提供します。PwC では Rewards Central という一元的なプラットフォームを介してこのような行動を奨励しており、従業員には年間を通じてリアルタイムで、ステップアップ関連の行動に対するアワードを獲得するチャンスが与えられます。

 

企業が従業員の日常業務に最大の効果 / メリットをもたらしている AI 導入方法とは、どのようなものでしょうか?

AI が従業員の日常業務にメリットをもたらす方法は多数あります。大まかに言うと生成 AI は、コンテンツやデータの作成、要約、変換、クエリ、もちろんチャットにも使用されています。

従業員の視点からは、とっさによい文章が浮かばないとき、AI を使用していると、何か叩き台となる文章が作成・提示されるなどのメリットがあります。AI は最初の下書きやブレインストーミングをサポートしてくれる存在であり、反復的なタスクメモ作成やデータ入力など)を自動化し、従業員がより有意義な業務にフォーカスできるようサポートします。AI は大規模なデータセットやコンテンツを分析して貴重なインサイトを生成できるため、従業員はより迅速に情報に基づいた意思決定を下せます。

企業が AI を導入する方法で特に目を引くのは、以下のような方法です。

  • 生成 AI チャットボット(Chat-GPT など)に関する企業固有のプロセスを実装し、従業員が各自に合った安全な方法でコンテンツを作成、要約、拡張できるように、企業固有のナレッジソースを提供します。
  • AI 固有のアプリケーションを開発または実装して、運用、データ分析、コード作成を自動化します。
  • 現在のエンタープライズ アプリケーション(Salesforce など)に組み込まれた AI 機能を展開します。
  • AI 対応のチャットボットバーチャル アシスタントを活用して、従業員のスケジュール作成、リマインダー、タスク整理をサポートし、生産性を高めます。

 

企業が AI(または新しい革新的テクノロジー)を導入する際によくある間違いや失敗には、どのようなものがありますか?これらの落とし穴を回避するためのアドバイスはありますか?

AI または新しい革新的テクノロジーを採用する際に企業が犯しがちな間違いの 1 つに、徹底した戦略の欠如があります。ビジネス目標に合わせて AI の取り組みを調整して、誤った取り組みやリソースの浪費を避けることが重要です。AI に投資する理由、達成すべき目標、AI が従業員にもたらしうるメリットを明確にしなければなりません。

さらに、AI に頼り切って人間の目で確認しなくなると、偏った結果や誤った結果につながるおそれもあります。リスクを軽減し、意図した価値を実現するには、AI 利用と責任ある行動を規定するパラメータの確立が不可欠です。

もう 1 つの間違いは、初期のユースケースを構築する際にアーキテクチャの将来性を確保しないことです。拡張性と柔軟性を初期段階から考慮することで、将来的に高額なシステム変更を回避できます。

最後に、システム管理における変更を過小評価し、倫理やプライバシーに関する懸念を見落とすと、導入が成功しないおそれがあります。従業員がこのプロセスに関わり、リーダーが AI の利用状況を理解、サポートし、倫理的な考慮事項に対処することが、上述の課題を解決するカギです。

 

今日のビジネス リーダーが直面する最大の課題は何ですか?本当の意味で優れたリーダーにはどのような特徴がありますか?

今日では多くの企業が独特な一連の課題に直面しています。これらのメガトレンドのインパクトは大きく、企業は存続と成功のため、改革の断行を迫られています。AI、ローカライズ、気候変動などのメガトレンドで、あらゆる組織の基本的な想定や運用ルールは変わりつつあり、新たな形の価値創造、信頼構築、リスク管理を迫られています。弊社のクライアントも全体的な運用モデル、価値提案、想定事項の改革が求められており、各社のリーダーシップはその改革プロセスの中心となる存在です。

この大規模な改革を成功させる組織には、変革の本質を把握し、変革をリードできるリーダーが存在します。

改善を目指す組織には、変革をもたらすリーダー、つまり次の能力を備えたリーダーが必要です。

  • 今日の複雑なシステムで組織が価値を創造する仕組みを再定義する基盤として、世界の情勢を理解します。
  • 革新的な目標を定め、この目標を達成するために、重要な問題への対処に尽力し、組織に根本的な変革の断行を迫ります。
  • システムの再構築に自ら関与し、組織が今までの手法から脱却して目的を果たせるようにして、期待どおりの成果を達成します。
  • 変革の触媒として行動し、取り組むべき課題の解決に必要となる多様な能力と才能を備えた従業員を集め、統率します。
  • リーダーとチームが変革プロセス全体で活力を維持し、成長と発展を続けられるように、組織に力を与えます。

 

従業員のエンゲージメントと文化に関するその他のインサイト

Toni 氏と Aparna の対談をオンデマンドでご覧いただけます。また別のセッションでは、多世代にわたるワークフォース ダイナミクスとテクノロジーが従業員体験に与える影響を探っており、併せてご視聴をおすすめします。

該当する地域を選択してレコーディングをご視聴ください。

 

 

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