AI

AIエージェントとその仕組み

9 分で読める

公開日 April 15, 2026

顧客の待ち時間を短縮するためにコールルーティングを利用するビジネス

ドキュメントの要約、メールの作成、データの合成など、ここ数年生成AIの活用が注目を集めてきましたが、企業ではこれらの個別のAIボットからAIエージェントシステムへの移行が進んでいます。

この変化は、98%のビジネスリーダーが人工知能が成長に不可欠であると認めており、多くの人が単に要約や問い合わせへの回答以上の役割を期待している中で起こっています。

AIエージェントは、ビジネスの意思決定、タスクの実行、人間の介入を最小限に抑えた複数ステップのワークフローの自動化を支援します。目標は人間を置き換えることではなく、人間の仕事の効率を何倍にも高めることです。

このガイドでは、AIエージェントの定義、ほかのAIモデルとの違い、その仕組み、そしてすでに多くの業界で変革を起こしている方法について順を追って説明します。

AIエージェントとは

AIエージェントとは、計画し、推論し、自律的に行動して、共通の目標を達成できる自律型AIシステムを指します。

従来型のAIは一度に1つのタスクに焦点を当てますが、AIエージェントは1つ以上のエージェントを調整し、目標に向けて推論を行い、大きな目標を小さなステップに分割し、意思決定を下し、ほとんどまたはまったく人間の介入なしにアクションを実行します。「エージェント」という用語は、これらのモデルが最小限の人間の監視の下で、自発的に行動し、自律的に動作する能力を指します。

次のように考えてみてください。従来のAIツールは、たとえば在庫レベルが一定のしきい値に達したときに通知を送信するような単純なタスクを処理するのが関の山ですが、AIエージェントシステムは、欠品や在庫不足の商品をチェックし、サプライヤーの遅延に気づき、代替サプライヤーを探し、新しいサプライヤーにメールで見積もりを依頼し、価格を予算と比較し、発注します。正しく設定されていれば、問題が発生したことに気づく前に、これらすべてを実行してくれます。

AIエージェントは、大規模言語モデル(LLM)上に構築されているため、生成AIのように自然にテキストを読み、理解し、生成できます。しかし、生成AIとAIエージェントの根本的な違いは、後者が提供する計画、行動、そして自己修正の能力にあります。そのため、ワークフォースが増えたかのように機能するのです。

ZoomのAIに対するフェデレーテッドアプローチは、Zoom独自の小規模言語モデルと高度なオープンソースおよびクローズドソースモデルを組み合わせて、ドメイン固有のパフォーマンスを向上させ、速度を上げ、高い費用対効果での実行を可能にします。無料のデモを予約して、Zoom AI Companion 3.0のエージェント機能で成果を上げる方法をご確認ください。

AIエージェントと従来型AIの比較

AIエージェントと従来型AIを比較した図。

AIエージェントと従来型AIは、同じ意味で使われることがよくあります。実際、AIエージェントの意味に関するGoogle検索のほとんどは、この混乱に起因しています。

両者とも「人工知能」という同じ領域に属していますが、その違いは表現方法に表れています。

生成AIを含む従来型AIは、シンプルな質問に回答し、一度限りのプロンプトを実行できる旧型のチャットベースのAIモデルを指します。反応的で、直接的な指示があってから行動を起こします。

一方、AIエージェントは、1つまたは複数のエージェントを調整して、推論し、行動し、共有された目標を実行します。エージェントは単一のヘルパーというよりも、自己主導型のチームのようなものです。AIエージェントはプロアクティブで、ほぼ自律的であり、単純な質問と回答のやり取りにとどまらず、複数のステップからなるワークフローを実行します。

その違いを理解することで、単純な自動化が必要なのか、それとも真の運用上の自律性が必要なのかを判断できるようになります。

 

AIエージェント

従来型AI

自律性

独立して行動し、人間が絶えずプロンプトで指示しなくても目標を追求できる

反応的で、ユーザーがトリガーした場合にのみ応答する

計画

目標と環境に基づいてリアルタイムでプランを立てる

事前に定義されたルールと意思決定ツリーに従う

アクション

デジタル環境または物理的環境内でアクションを起こす

通常は人間が行うアクションをテキスト出力で応答する

目標志向性

長期的、高度で複雑な目標に基づく

短期的、迅速かつ特定のタスク向けに設計されている

適応性

動的、エージェント学習は、システムが過去のやり取りとフィードバックループから学習するのに役立つ

静的、データや状況が変わった場合には手動での指示が必要

タスクの複雑さ

複雑でオープンエンドなタスクに最適

出力が予測可能な、シンプルで直線的な作業に最適

ユーザーのロール

低、人間の介入を最小限に抑えてエンドツーエンドの計画、推論、実行を処理する

高、各段階で人間による入力が必要

AIエージェントの仕組み: 6つの主な特徴

AIエージェントの6つの特徴とその仕組みを分解した図。

たとえば、非常に有能なリモート勤務の従業員を新たに採用したとしましょう。会社のオフサイトミーティングを計画し、予約するよう依頼します。どのマウスボタンをクリックするか、どのウェブサイトにアクセスするかは指示しません。自分で判断できると信頼して任せます。新しい従業員は、カレンダーをチェックし、フライトの価格を比較し、CEOが早朝の出発は苦手なのを思い出し、チケットを予約します。

要するに、これがまさにAIエージェントが機能する仕組みです。これらのシステムは、6つの主要な特徴を中心に構築された、洗練されたアーキテクチャに依存しています。

1.認識

従来のコンピュータがバイナリーコードを認識するように、AIエージェントは、テキスト、ビジュアル、構造化、非構造化などあらゆる形態のデータを使用し、ナレッジベース、センサー、API、ユーザー入力などの複数のソースを基に環境を認識します。

情報に基づいてシグナルを解釈し、それらを取り巻くコンテキストを形成します。その状態が推論と行動の基盤となります。

2. 推論

コンテキストが構築されると、AIはLLMを用いて主要なタスクを分析します。

人間の入力は曖昧な場合があるため、エージェントは内部思考プロセス、つまり「エージェントの内部モノローグ」と呼ばれるものを用いて目標を理解します。これは、AIエージェントが文字通り内部で問題について話し合ってから行動することを意味します。

そのために、思考連鎖(CoT)推論、思考ツリー(ToT)、ReAct(推論+行動)などの1つ以上の推論フレームワークを使用して、反復的に考え、仮説を検証し、再考することで、人間の問題解決を模倣します。

目標が曖昧な場合、ヒューリスティックや確率的推論を用いて自律的に推論を行い、不足している部分を補完することもできます。このステップの要点は、一つの方針に絞り込む前に、さまざまな行動がもたらしうるすべての結果を考慮することです。

仮に「会社のオフサイトミーティングを計画する」というタスクをAIエージェントシステムに委任したとすると、推論の内容は以下のようになるでしょう。

「目標は、来月の会社のオフサイトミーティングを計画し、予約することです。まず、チームのカレンダーの空き状況を確認しなければなりません。経営幹部全員が予定が入っていない唯一の枠は、15日から17日までだとわかりました。次に、15,000ドルの予算内で50人を収容できる会場を見つけなければなりません。「マウンテンリゾート」は予約できますが、料金は18,000ドルします。「レイクサイドイン」は12,000ドルですが、車で3時間かかります。なんとしても予算内には抑えなければならず、移動時間4時間のポリシーの制限内であるため、予算内であることを優先し、レイクサイドインを選択することにします。その後、シャトルバスがないか探します」

この対立する情報を比較検討し、論理を使って解決策を導き出す能力こそが、エージェントとスクリプトを区別する違いです。

3. 目標設定

次に、システムは上位の目標をより小さい論理的なステップに分解し、それを達成するための最適な順序を決定します。

オフサイトミーティングの例を続けると、エージェントは旅行プランをサブタスクの依存関係グラフに分解します。

  • タスク1: 旅行日のチームのカレンダーをチェックして予約する。
  • タスク2: 15日~17日にレイクサイドイン会場を予約する。
  • タスク3: 従業員50名のためのシャトルバスを手配する。
  • タスク4: 食事制限の情報を収集し、メニューを確定する。
  • タスク5: 部門責任者と連携してワークショップのスケジュールを埋めるよう調整する。

タスクが大きすぎて一度に実行できない場合、AIはサブ目標とマイルストーンを設定します。

繰り返しになりますが、この積極的な行動により、システムはタスクやステップを自律的に調整して、新しいプロンプトを待たずに結果に到達できます。

4 意思決定

この段階では、エージェントはもっとも効果的な行動方針を特定する必要があります。そのため、最適な結果を得るために、効用関数、優先順位に基づく意思決定モデル、および確率的意思決定モデルを組み合わせて使用します。

障害に遭遇した場合は、経路を再計算し、リアルタイムで意思決定を行います。

仮にタスク3を実行しようとしたところ、シャトルバス会社が満席であることが判明したとします。するとAIエージェントは即座に新しいサブ目標(電車のスケジュールを調べ、グループのUberバウチャーを手配するなど)を設定し、新たなプランに沿って続行します。

このステップでは、自律性がもっとも重要です。エージェントは互いに推論し合い、決定を下し、次善のオプションへと自己修正します。

5. 実行

プランが設定され、あなたの代わりに決定が下されると、ワークフローを実行するために必要なツール(API、コードインタープリター、ブラウザアクション)を決定します。

AIエージェントは、管理者がインストールした外部ツールのプラグインにアクセスできるため、これらのサードパーティアプリケーションと直接対話し、タスクを実行できます。

実行中に、API呼び出しが失敗したり予約サイトがダウンしたりしても、AIエージェントシステムにはエラー処理が組み込まれています。つまり、プロセスを終了する代わりに、エラーを分析します。エラーが一時的なものであれば、2分後に再試行します。一時的なエラーでない場合、AIは自己修正を行い、次善の策を探します。

ほとんどの企業はこの段階でガードレールを導入します。エージェントが不透明なブラックボックス環境で通信するため、何が起きているかを誰も正確に把握できないからです。

そこで、全員の利益を守るために、エージェントが独立して行動できる範囲と、人間の承認を待つ必要がある範囲を指定する境界を設定します。

たとえば、予約ウェブサイトをクリックしてお支払いページに移動したのに、取引を手動で承認するように求められることがあります。

6。学習とメモリー

エージェント学習こそが最大の差別化要因です。生成AIは明示的にプロンプトされるまで変わらないのに対し、AIエージェントは過去のインタラクションや経験から学習します。

そのために、AIはエピソード記憶に依存しています。過去の行動、インタラクション、フィードバックをメモリーデータベースに保存します。新しい情報が入るたびに、AIは手続き型メモリを更新します。次に同じようなタスクやクエリが出てきたときには、AIはより効率的に処理できるようになります。

ただし、メモリコンポーネントはデフォルトでは有効になっておらず、ベクトルストアまたはデータベースを通じて追加する必要があります。

AIエージェントの実用例

AIエージェントはすでに多くの業界で利用されています。中小企業(SMB)は日常のワークフローに活用し、一方でエンタープライズはスケールアップとスピード向上のために採用しています。2026年のAIエージェントの実例をいくつか見てみましょう。

人事

Gartnerの調査によると、大規模に人材を採用する初期の採用活動が、2026年にはAIファーストへと移行する見込みです。主な要因は2つあり、AI自動化への期待の高まりと、コスト削減の圧力です。どちらもAIシステムを導入することで対処できます。

UnileverはAIエージェントを使用して、アプリケーションから評価、ビデオ面接までのエンドツーエンドのプロセスを自動化することで、キャンパス採用を迅速化しています。その結果、採用時間は75%削減され、コスト削減は100万ポンドを超えました。

採用分野におけるAIエージェントは、候補者情報の整理により一貫性をもたせ、採用の初期段階における非効率な手作業を削減するのに役立ちます。

旅行

約90%のコンシューマーは、旅程計画やエンドツーエンドの旅行予約など、将来の旅行でAIを利用したいと考えています。

たとえば、Booking.comは、エージェントツールを用いて顧客やパートナーの意思決定や紛争解決を支援しています。AIは宿泊先の予約、フライトやヴィラの比較、さらにはタクシーのレンタルも可能です。

エンドツーエンドの旅行自動化の例としては、NorthBayがエージェントを使って、人間の介入なしにリアルタイムで旅程の作成、予約、再予約を行うことが挙げられます。その結果、予約コンバージョン数が20~30%増加し、サポートコストが最大40%削減されました。

物流

小売業や配送業務では、主に在庫管理、注文の優先順位付け、ルート最適化のためにエージェントシステムに依存しています。

  • Walmartは、AIエージェントを使用して需要を予測し、4,700以上の店舗の在庫レベルを調整しています。
  • DHLにはAI搭載のエージェントが配置されており、配送を監視し、遅延が発生した場合に代替ルートを提案しています。
  • MaerskのAI駆動型の船舶ルーティングシステムは、燃料使用量、寄港のタイミング、ルーティングを継続的に最適化し、ネットワーク上で自律的な意思決定者として機能します。

カスタマーサポート

CXにおいて、AIを活用したコンタクトセンターソフトウェアの導入はかつてないほど喫緊の課題となっています。その好例を2つご紹介します。

  • Bank of Americaは、AI搭載型のバーチャル財務アシスタントであるEricaを導入し、AIの活用で顧客のセルフサービスを支援し、エスカレーションなしで日常的な銀行業務に関する問い合わせを解決しています。これにより、迅速で信頼性の高いサポートを提供しながら、ライブエージェントへの負荷を軽減します。
  • AIエージェントの新時代を迎えるにあたり、ZoomのAIファーストのコンタクトセンターソリューションは、顧客との会話を行動に変えるのに役立ちます。パーソナライズされた装飾ブランドのCricutは、Zoom AI Companion 3.0Zoom Virtual Agentを使用して、顧客にセルフサービスを提供し、音声からビデオへの即時エスカレーションを可能にすることで初回通話の解決率を向上させています。同社は顧客の待ち時間を90%近く短縮し、セルフサービスの自己解決率50%を達成しました。

AIエージェントを使用するためのベストプラクティス

AIエージェントシステムを実装することは、デジタルワーカーのチームが完全な自律性を持ってタスクを実行することを意味します。しかし、これは物事が軌道から外れたり、無限ループに陥ったりするリスクを高めることにもなります。

ここでは、従うべきベストプラクティスを6つご紹介します。

  • 明確な目標を事前に定義する: システムにシンプルで明確な目標を与え、タスクを効率的に学習できるようにします。インタラクションから学習し、システムが無関係なタスクや経験に迷い込むのを防ぎます。
  • 簡単なタスクから始めてスケーリングする: チーム間の操作に移行する前に、2つまたは3つのステップのワークフローを使用しましょう。ゆっくり始めることで、システムの動作を理解するのに役立ちます。
  • AIの判断を定期的にモニタリングする: AIはハルシネーション(もっともらしい誤情報の生成)を起こす可能性があるため、自律的に動かす前にまず検証しましょう。オブザーバビリティ(可観測性)ツール、チェックポイント、または人によるレビューの関門をくぐって、スケーリングの前に問題を検知します。
  • マルチエージェントコラボレーションを活用する: 単一の包括的なモデルではなく、ZoomのSLMのような、複数の専門エージェントを組み合わせたモジュール型システムを使用してください。これにより、耐障害性が向上し、リソース使用量を抑えることができます。
  • 継続的にコンテキストとデータを供給する: AIシステムの能力は、トレーニングに使用されるデータの質にかかっています。エージェントに必要なリアルタイムコンテキストを提供するために、高品質なデータパイプラインと適切にインデックス化されたリポジトリを維持しましょう。
  • ワークフローを反復し、改善する: リアルタイムのインタラクションから得られたパフォーマンスデータを確認して、ワークフローを微調整し、システムがニーズに合わせて成熟するよう徹底します。

お役立ちヒント:自分だけのカスタムAIエージェントをZoom AI Studioを通じて作成・展開できます。

ZoomでAIファーストのワークプレイスを構築

Zoom Virtual AgentZoom AI Companionなどのツールを活用することで、チームはチャネルをまたぐワークフローを実行し、会話を記憶し、複数のエージェントを連携させて顧客からの複雑な問い合わせに対応できます。

中小企業にとっては、人員数を増やさずにより多くのサポート依頼に対応することを意味します。また、エンタープライズにとっては、より明確な境界線を引きながら複雑なワークフローを管理することを意味します。ZoomのAIファーストアプローチは、ビジネスがAIエージェントを活用して複雑なタスクを迅速に実行し、大規模に顧客とつながるのを支援します。

AIエージェントに関するよくあるご質問

AIエージェントはなぜ重要なのですか?

AIエージェントが重要なのは、ユーザーに代わって計画を立て、推論し、行動に移せるからです。これにより、人間の担当者は反復的で時間のかかるタスクを削減し、より価値の高い作業に集中できます。

AIエージェントシステムには何か課題がありますか?

はい。チームはガバナンスを管理し、ツールの誤用を防ぎ、システムの自律性が高まるにつれて予期しない動作を積極的に監視する必要があります。

AIエージェントにはどのような種類がありますか?

AIエージェントは通常、そのアーキテクチャに基づいて5つのタイプに分類されます。

  • 単純な反射エージェントは、事前に定義されたルールに基づいて現在の知覚に応じて行動します。
  • モデルベースのエージェントは、変化を追跡するために内部状態を維持します。
  • 目標ベースのエージェントは、定義された目的を達成するために具体的なアクションを実行します。
  • ユーティリティベースのエージェントは、もっとも「望ましい」成果を最適化します。
  • 学習エージェントは、経験を通じて経時的にパフォーマンスを向上させます。

ChatGPTはAIエージェントですか?

はい。OpenAIは現在、独立して推論と行動を実行できるChatGPTエージェントを提供しています。

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