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マルチモーダルAIとは?仕組みや導入するメリット、業界別の活用例を紹介

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公開日 2026年8月17日

マルチモーダルAIとは?仕組みや導入するメリット、業界別の活用例を紹介

テキストのみを扱うAIでは、会議の音声に含まれる声のトーンや資料に描かれたグラフが示す意味合いなどを十分に汲み取ることは困難です。

近年、テキストや画像、音声など複数の情報(モダリティ)を同時に処理するマルチモーダルAIが登場し、より多面的な情報を踏まえたAI活用が可能になっています。

この記事では、マルチモーダルAIの仕組みや導入のメリット、業界別の活用例、導入前に押さえておきたい注意点などを詳しく解説します。

マルチモーダルAIとは?

マルチモーダルAIとは、テキストや画像、音声、映像など複数の種類の情報(モダリティ)を組み合わせて処理する人工知能のことです。ここでは、基本的な仕組みと、従来型のAIとの違いを解説します。

参考:マルチモーダルAIとは?|産総研マガジン

 

マルチモーダルAIの基本的な仕組み

マルチモーダルAIは、複数の情報源から得たデータをAIの内部で組み合わせ、ひとつの判断へまとめ上げる仕組みで動いています。

例えば、カメラ映像から得た視覚情報と、マイク音声から得た聴覚情報をそれぞれ解析したうえで、両者を組み合わせて状況を判断します。人間が複数の感覚から得た情報をもとに状況を把握するように、AIも複数のデータを組み合わせることで、単一の情報だけでは得られなかった分析や応答を実現できます。

このような仕組みは、近年のAI技術の進化を象徴するものとしても注目されています。総務省の令和7年版情報通信白書でも、マルチモーダルAIは大規模言語モデル(LLM)の進化によってAIがより複雑なタスクをこなせるようになった代表例のひとつとして取り上げられています。

参考:令和7年版情報通信白書|総務省

 

シングルモーダルAIとの違い

シングルモーダルAIとはテキストのみ、あるいは画像のみといった、扱う情報が単一の種類に限られるAIのことです。

例えば、初期のチャットボットは入力されたテキストに対してテキストのみで応答する仕組みでした。相手の表情や声のトーンなどの付随情報は考慮されず、文面だけで意図を読み取る必要があります。

一方、マルチモーダルAIは複数種類のデータを組み合わせて処理できます。そのため、画像や音声などを含む複雑な状況でも、より多角的な分析や応答が可能になります。

マルチモーダルAIで実現できること

続いて、マルチモーダルAIを導入するとどのようなタスクが可能になるのか、代表的な3つの機能を紹介します。

 

テキストと画像からの情報抽出

マルチモーダルAIを活用すると、テキストと画像を組み合わせた情報抽出が可能になります。

例えば、手書きのメモや複雑なグラフが描かれた資料を画像として読み込ませると、資料の内容を文脈込みで解釈し、テキストとして要約・整理できます。単純な文字認識(OCR)とは異なり、図表の意味や数値の関係性まで踏まえたうえで出力する点が特徴です。

紙やスキャンデータの資料も、検索や再利用がしやすいテキスト情報へ変換しやすくなります。

 

音声と映像をかけ合わせた分析

音声(声のトーンや言葉)と映像(表情や動作)を同時に処理できる点も、マルチモーダルAIならではの機能です。

例えば、オンライン会議中の発言内容や映像情報を組み合わせて分析することで、テキストだけでは把握しにくい補足情報を取得できます。発言内容と非言語情報を組み合わせることで、会議内容の整理や要約の精度向上につながる可能性があります。

 

より自然で文脈に沿った対話の生成

複数の情報を組み合わせて判断できるようになると、AIとの対話もより人間に近く、自然な形に近づきます。

ユーザーが画像をアップロードしながら音声で質問すると、AIはアップロードされた画像の内容と音声の意図を汲み取り、テキストや音声で的確に回答することが可能です。テキストだけのやり取りでは伝えきれなかった文脈も、複数のモダリティを介するためAIへ正確に伝わりやすくなります。

マルチモーダルAIの導入で得られる3つのメリット

マルチモーダルAIをビジネスへ導入すると、企業にどのようなメリットがあるのか、さらに詳しく見ていきましょう。

 

複数データを跨ぐ複雑な業務の自動化

マルチモーダルAIを導入すると、複数データを跨ぐ複雑な業務を自動化しやすくなります。

従来は、動画マニュアルを確認しながら内容をテキストの手順書へ書き起こす作業に、多くの手間がかかっていました。データ形式が異なる情報を扱うため、人による作業が必要だったためです。

マルチモーダルAIであれば、動画とテキストを横断するやり取りをまとめて処理できるため、業務を丸ごと代行させやすく、従業員の工数削減や生産性向上につなげやすくなります。

 

高精度な情報処理によるミスの削減

高精度な情報処理によってミスを減らせる点も、マルチモーダルAIのメリットです。

テキストだけでなく、画像や音声など複数のデータを参照することで、単一の情報だけでは判断が難しい内容でも、多角的な分析が可能になります。文脈の取り違いやハルシネーション(AIが事実に基づかない情報をもっともらしく出力してしまう現象)が起こるリスクを抑えられ、より安全で確実な情報処理につながるでしょう。

例えば、テキストの指示だけでは判断しにくい内容も、添付された画像や音声のニュアンスとあわせて確認すると、AIが誤った解釈をする余地を減らせます。業務中のヒューマンエラーの削減にも貢献する分野です。

ただし、マルチモーダルAIでも誤った情報を生成する可能性はあるため、重要な判断では人による確認が必要です。

 

人間に近い対応による顧客体験の向上

カスタマーサポートのような対顧客業務では、人間に近い柔軟な対応が顧客体験(CX)の向上につながります。

例えば、顧客がスマートフォンのカメラで撮影した製品の状況を見せ、AIが音声で的確な解決策を提示できれば、電話だけのやり取りより状況を正確に伝えやすくなります。文字だけでは説明しにくい不具合も、画像と音声を組み合わせると解決までのスピードが上がるでしょう。

CX向上に向けた取り組み全般については、以下の記事をご覧ください。

>>CX(顧客体験)向上に必要なこととは?重要性から具体的な改善ステップ・成功事例まで徹底解説

業界別に見るマルチモーダルAIの活用例

マルチモーダルAIは、すでにさまざまな業界で実践的な活用が進んでいます。ここでは、代表的な4つの業界の活用例をご紹介します。

 

医療現場を支える音声記録の自動化と画像診断AIの進化

医療業界では、マルチモーダルAIを活用した先進的な取り組みが進んでいます。

医師と患者の診察中の会話を音声認識で記録し、AIが電子カルテの下書きを自動作成する技術は、すでに複数の医療機関で活用されています。カルテ入力にかかる医師の負担が軽減され、診察により多くの時間を割けるようになるのがメリットです。

また、画像データと他の情報を組み合わせて診断精度を高める研究も進められています。例えば、心電図とレントゲン画像を統合的に解析するマルチモーダルAIの開発が進んでおり、心不全の早期発見などへの応用が見込まれる状況です。

今後は、診察室での会話や患者の表情といった情報もあわせて活用することで、より精度の高い診断支援やカルテ作成につながることが期待されるでしょう。

参考:戦略的イノベーション創造プログラム(SIP) 統合型ヘルスケアシステムの構築 社会実装に向けた戦略及び研究開発計画|内閣府

 

製造業における品質管理と異常検知

製造業の工場ラインでは、製品の画像とあわせて機械の稼働音や温度センサーの数値を同時に処理する活用例があります。

画像だけの検査では見抜きにくい微細な不良や設備の故障につながる兆候も、音や温度など別のデータと突き合わせると早期に検知しやすくなります。

複数のセンサー情報を統合して異常を検知する考え方は「センサーフュージョン」とも呼ばれ、単一のセンサーだけに頼るよりも誤検知を減らしやすい手法です。

 

小売業の顧客体験を向上する無人決済

小売・流通業界では、店内カメラの映像データや購買履歴、店内での問い合わせ音声などを組み合わせて解析する取り組みが進んでいます。

映像データや購買履歴、問い合わせ音声を統合すると、レジでの会計を省略した無人決済の仕組みや、来店客の行動に合わせた商品提案がしやすくなります。省人化と顧客満足度の両立を狙う小売業にとって有効な活用法です。

 

オフィスワークのコミュニケーション改革

一般的な企業のWeb会議や社内コラボレーションツールでも、マルチモーダルAIの活用は広がっています。

参加者の映像(表情やジェスチャー)や音声(発言内容)、共有された資料(画像やテキスト)をAIが総合的に読み取ることで、議事録やタスクより精緻に自動生成できるようになりました。

画面共有中のスライド番号と発言内容を紐づけておくと、要約を読んだときに「どの資料のどの部分で決まった話なのか」をあとから把握しやすくなります。会議のたびに発生していた記録作業の負担を、マルチモーダルAIの活用によって軽減できる企業も増えてきました。

マルチモーダルAIを導入する前に知っておくべき課題と注意点

マルチモーダルAIには多くのメリットがある一方で、導入前に理解しておきたい課題もあります。ここでは3つの課題と注意点を解説します。

 

膨大なデータ処理によるコストの増加

画像や動画などの重いデータを同時に処理するには、相応の計算リソース(サーバーやGPU)が必要になります。

扱うデータの種類が増えるほど、導入コストや運用コストは大きくなりやすい傾向があります。自社の目的に対して、十分な費用対効果(ROI)が見込めるかどうかを事前に見極めることが大切です。

 

複数データの統合にともなう技術的ハードル

テキストと動画のように、異なるフォーマットのデータを高精度に同期・統合してAIへ学習させる工程には、専門的な技術が必要です。

自社でゼロからマルチモーダルAIの環境を開発・運用しようとすると、高度な技術力を持つエンジニアの確保が欠かせません。社内リソースだけで対応しようとすると、技術力の確保という点で高いハードルに直面しやすい領域だといえます。

 

情報漏えいやプライバシー保護の徹底

マルチモーダルAIは、従業員の顔や声(生体情報)など機微なデータを扱う場面も多く、情報漏えいやプライバシー侵害のリスクはテキストのみのAIより高まりやすい傾向があります。

データの利用目的や保存期間を明確にしたガイドラインを社内で策定し、強固なセキュリティを持つシステムを選定することが重要です。

参考:AI 事業者ガイドライン(第 1.1 版)|総務省 経済産業省

複数データを成果に変えるZoomのAI機能

Web会議は、映像・音声・テキストが同時に交差する場であり、マルチモーダルAIとの相性がよい環境のひとつです。

Zoom Workplaceに搭載されたAI機能では、会議中の音声やチャット、共有された情報などを活用し、文字起こしや要約、議論内容の整理を支援できます。

複数の情報を組み合わせて分析することで、会議内容を効率的に把握し、参加者間の認識合わせや情報共有をスムーズに行える点が特徴です。

Zoom Workplaceの詳細は、以下のリンクよりご確認ください。

>>詳細はこちら

 

さらに、会議で得られた情報を次の業務アクションにつなげる仕組みとして、ZoomMateがあります。

ZoomMateは、会話や業務の文脈をもとに、必要な情報の検索や資料作成、タスク管理などを支援するAIプラットフォームです。

例えば、会議で決定した内容をもとに、関連する情報を整理したり、成果物作成を支援したりすることで、会議後に発生する業務プロセスの効率化に貢献します。

単なる会議記録にとどまらず、得られた情報を実際の業務につなげたい企業にとって、有効な選択肢の一つです。

ZoomMateの詳細は、以下のリンクよりご確認いただけます。

>>詳細はこちら

まとめ

マルチモーダルAIは、テキストや画像、音声、映像などの複数の情報を組み合わせて処理し、単一の情報だけでは実現できなかった判断や対話を可能にする技術です。

情報抽出や感情分析、自然な対話の生成など、活用の幅は業務の自動化や顧客体験の向上へと広がっています。一方で、データ処理コストや技術的なハードル、プライバシー保護などの課題への対応も欠かせません。

自社の業務のどこにマルチモーダルAIを取り入れられそうか、まずは身近な業務から検討してみましょう。会議の記録から成果物の作成までを一貫して支援するZoomMateもぜひご検討ください。

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