Zoom Phoneオーディオ品質レポート2025
どんな通話でも、一番大切なのはオーディオ品質です。オーディオがはっきりしなかったり、遅れたり、全く聞こえなくなったりすると、ユーザーの満足度が低下し、フラストレーションにつながります。Zoom Phoneが他の主要なクラウドテレフォニーソリューションと比較してどう優れているかを理解するため、ZoomはTestDevLabに独立評価の実施を委託しました。テストシナリオには、デスクトップおよびモバイルプラットフォーム全体のクリーンなネットワークや障害のあるネットワーク、輻輳イベント、パケットロス、ノイズの多い環境が含まれ、以下のプロバイダーが評価の対象となりました。
- Zoom Phone
- Microsoft Teams電話
- Cisco Webex Calling
- RingCentral RingEX
- 8x8 Business Phone
- Dialpad Connect
このレポートの調査結果は、2025年7月にTestDevLabが実施したテストの結果を反映したものです。
TestDevLabの概要
TestDevLab(TDL)は、モバイル、ウェブ、デスクトップアプリケーション向けのソフトウェアテストおよび品質保証サービスを提供し、カスタムテストツール開発も行なっています。ソフトウェアテストと品質保証を専門とする同社は、モバイルアプリのセキュリティ、バッテリー、およびデータ使用テストを目的とした高度なカスタムソリューションを開発しています。また、VoIPに加え、自動バックエンドAPI用の通信アプリと製品のビデオとオーディオに対する品質評価のほか、ウェブの負荷とパフォーマンスのテストも行っています。
TestDevLabチームは、ソフトウェアのテストと開発に重点的に取り組む、500人以上の経験豊富なエンジニアで構成されています。同社のテストエンジニアの大半は、国際ソフトウェアテスト資格認定委員会(ISTQB)の認定を取得しており、業界標準やサービス品質に従ったソフトウェアテストに関する高度な専門知識を提供しています。
- プラットフォーム:
- macOS Sequoia 15.5 (MacBook Pro M1 2020)
- Android 16(Pixel 6a、Pixel 7)
- iOS 18.5(iPhone 14、iPhone 14 Pro Max)
- テストしたアプリケーション: Zoom Phone、Microsoft Teams Phone、Cisco Webex Calling、RingCentral RingEX、8x8 Business Phone、Dialpad Connect
- 繰り返し: 各シナリオにつき5回のテスト
- 総セッション数: 600件の通話を記録および分析
収集された指標
通話品質を総合的に確認できるようにするため、TestDevLab(TDL)は、オーディオパフォーマンスとネットワーク使用率を対象とした、さまざまな指標を収集しました。各通話中に継続してサンプリングされたデータポイントは、分析目的で中央データセットに集約されました。
オーディオパフォーマンス指標
- POLQA(Perceptual Objective Listening Quality Analysis): 客観的な音声品質に関するITU標準で、音声サービスのベンチマークとして広く使用されています。
- ViSQOL(Virtual Speech Quality Objective Listener): MLベースの音声知覚品質評価指標で、送信されたオーディオを基準信号と比較します。
- オーディオ遅延: オーディオ伝送におけるエンドツーエンドの遅延で、ミリ秒単位で測定されます。
ネットワーク指標
- 送信ビットレート: 1秒あたりに送信されるオーディオデータの量。
- 受信ビットレート: 1秒あたりに受信するオーディオデータの量。
データ収集方法
- オーディオ指標(POLQA、ViSQOLなど)は12秒に1回記録されました。
- 他のすべての指標(DNSMOS、遅延、ビットレート)は、1秒あたり1データポイントというレートで取得されたため、時間の経過に伴う通話動作をきめ細かく追跡できました。
すべてのプラットフォームにおいて、すべての指標をキャプチャできたわけではありません。たとえば、macOSではCPUとメモリのデータを収集できましたが、モバイルクライアントでは収集できませんでした。TDLは、ベンダー間の比較可能性を確保しつつ、プラットフォームごとに収集された一連の指標を最大化しました。
Zoom Phoneのパフォーマンスを他のクラウドテレフォニーソリューションと比較し、総合的に確認できるようにするため、TestDevLab(TDL)は、代表的なデスクトップデバイスとモバイルデバイスを使用して、最も一般的な通話シナリオにわたるテストを実施しました。各テストは最新バージョンのアプリケーションで実行され、プラットフォームがさまざまな条件にどのように適応するかを測定するために意図的な障害が導入されました。
テスト条件 – オーディオパフォーマンス
オーディオパフォーマンスを評価するため、実環境を再現するよう設計された、さまざまな制御されたネットワーク条件下で通話が行われました。
- ベースライン
ノイズや障害がない、安定した、制約のないブロードバンド(約30Mbps)。 - パケットロスの変動
8分間のテストでは、パケットロスが次第に悪化しました。- 1分経過: 0%
- 2分経過: 10%
- …8分まで10%ずつ増加して70%
このシナリオでは、ネットワークの信頼性低下をシミュレーションし、各プラットフォームが持続的な障害にどのように適応するかを測定しました。
- 輻輳ネットワーク
デバイスのネットワークは10 Mbpsに制限され、意図的な輻輳状態を生成する第2のデバイスと共有されていました。このスクリプトでは、10人の同時ユーザーをシミュレーション。それぞれ1Mbpsを消費し、バーストの持続時間が長くなります。- 00:10に、10×1Mbpsのバーストが5秒間
- 01:10に、10×1Mbpsのバーストが10秒間
- 02:10に、10×1Mbpsバーストが20秒間
オーディオサンプル
- 各条件において、一貫性を確保するために参照用オーディオサンプルが繰り返し再生されました。
- 各シナリオでは15回テストを繰り返しますが、パケットロスの変動テストにおいては、各損失レベルでのパフォーマンスを捉えるために40回の繰り返しテストを含みます。
テストのセットアップとデータの取得プロセス
すべてのシナリオにわたって再現性を確保するため、テストは標準化されたプロセスに従って行われました。
テストの手順
- シナリオで必要な場合は、ネットワーク制限を適用します。
- カンファレンスアプリケーションを開きます。
- 送信デバイスから受信デバイスへの通話を開始します。
- 受信者はマイクをミュートにして送信者のオーディオを分離します。
- テストシーケンスを開始します。
- ネットワーク障害を開始し、スクリプトを実行します。
- テストシーケンスを終了します。
- 両ユーザーが通話を切断します。
データキャプチャ
- テストデバイスからのネットワークトラフィックが、別のモニタリングネットワークでキャプチャされました。
- オーディオ出力は、外部のスクリプトベースのキャプチャデバイスを使用して記録されました。
- テスト後、録音されたオーディオが元のソースオーディオと比較され、品質が評価されました。
Zoomは、すべてのプラットフォームとシナリオにおいて、一貫して優れたオーディオパフォーマンスを提供し、ネットワークが過剰な負荷や異常な条件下に置かれている状況でも明確な優位性を示しています。この調査における重要なポイントは以下のとおりです。
- クリーンなネットワークで優れた性能を発揮
- Zoomは安定したネットワークにおいて最高のMOSスコアとVISQOLスコアを獲得。総合的に見て最高のオーディオ品質を提供します。これらのシナリオではすべてのプラットフォームが4.0以上のスコアを獲得し、良好なオーディオ品質を提供しています。
- Zoomは、テストされたすべてのアプリケーションの中で、エンドツーエンドのオーディオ遅延が最も少ないプラットフォームとなりました。



- パケットロス下でも耐障害性のあるオーディオ
- Zoomでは、パケットロスが増加しても高いオーディオ品質が維持され、ロスが50%を超えた場合にのみ顕著な劣化が見られます。
- パケットロスが70パーセントの状況下でも、Zoomはすべての競合他社を上回り、MOSスコア3.3を維持。パケットロス時に帯域幅を動的に調整し、通話品質を維持します。

3. 輻輳状態でも安定した品質
-
- ネットワークが混雑しているときも、Zoomは遅延を抑えながら一貫したオーディオ品質を維持します。
- Zoomは、調査で評価されたすべてのプラットフォームで競合他社を上回り、ネットワーク負荷が高い場合でも明瞭さと速度のバランスを保っています。


オーディオパフォーマンス
ベースライン
macOS
すべてのアプリケーションが、安定したネットワーク条件下で優れたオーディオ品質を示しました。Zoomはオーディオの遅れが最も少なく、macOSユーザーにとって最も応答性の高いプラットフォームの一つとなりました。VISQOLの結果は概ねPOLQAと一致しましたが、WebexではVISQOLスコアがわずかに低くなりました。アプリ間のネットワーク使用量は、わずかな違いはあるものの、ほぼ一貫していました。8x8とDialpadでは送信側で使用する帯域幅がわずかに少なくなり、Webexではわずかに多くなりしました。
Android
ZoomもWebexも優れたオーディオ品質を維持しましたが、どちらもmacOSよりもオーディオの遅延が大きくなりました。Zoomは引き続きトップパフォーマーの1つであり、VISQOLの結果はPOLQAの傾向にほぼ追随しました。ネットワーク消費パターンはmacOSで見られるものと一致しました。
iOS
ここでもZoomは遅延が最も少ない優れたオーディオ品質を実証し、テストに使用されたAppleデバイス間で一貫したパフォーマンスが確認されました。他のアプリのパフォーマンスも良好で、ネットワーク使用量は他のプラットフォームと同様でした。



パケットロスの変動
macOS
パケットロスが増加する間も、Zoomの素晴らしいオーディオ品質は確保され、ネットワーク状況が悪化するにつれてオーディオの遅延がわずかに大きくなるだけでした。MS Teamsでは10%のパケットロスでバッファリングが導入され、エンドツーエンドの遅延が大幅に増加しました。VISQOLの結果はPOLQAと相関しており、Zoomが優れたパフォーマンスを維持する傾向を裏付けています。
Android
Zoomはシナリオ全体を通じて高いオーディオ品質を維持しました。オーディオの遅延が少ないアプリもあったものの、その代償としてオーディオ品質が著しく低下しました。Zoomは、パケットロスが高い場合に受信側のネットワーク使用量を動的に増加させ、安定した通話パフォーマンスを維持しました。
iOS
Zoomは全体を通して最高のパフォーマンスがを維持しました。パケットロスの増加に伴い、オーディオの遅延はわずかに大きくなりましたが、MS Teamsなどの他のアプリでは、VISQOL指標に表れないものの、サンプルギャップが発生しました。



ネットワーク輻輳
macOS
Zoomは、ネットワークが混雑しているときでも安定したオーディオ品質を維持し、遅延を抑えることに優れていました。Webexと8x8が最も大きな影響を受け、品質が著しく低下しましたが、他のプラットフォームは安定したパフォーマンスを維持しました。
Android
ここでもZoomは、輻輳状態における通話品質を維持しました。WebexとRingCentralではオーディオ品質が低下しましたが、オーディオ遅延の急増はすべてのアプリで同様でした。
iOS
Zoomのオーディオ品質は保たれましたが、WebexとRingCentralが最も影響を受けました。全体として、Zoomは混雑した状況下において、競合他社の中でエンドツーエンドのオーディオ遅延が最も少ないプラットフォームとなりました。



テストされたすべてのプラットフォームとシナリオにおいて、Zoomは一貫して素晴らしいオーディオパフォーマンスと信頼性の高い通話品質を実証しました。ベースライン条件下では、優れたPOLQAおよびVISQOLスコアを維持しながら、エンドツーエンドのオーディオ遅延を最低レベルまで抑えました。パケットロスの増加やネットワークの混雑など、困難なネットワーク状況下においても、Zoomはオーディオ品質を維持し、遅延を最小限に抑え、ネットワーク障害を効率的に処理することで、調査対象となった競合他社よりも優れたパフォーマンスを発揮しました。
全体的に、Zoomのパフォーマンスにおいては、その安定したオーディオ品質、低遅延、ネットワークと環境の課題に対する強靭な処理能力の組み合わせが強調されています。
主な強み:
- プラットフォーム全体で一貫してオーディオの遅延が少なく、特にベースライン条件下および混雑したネットワーク条件下でこの強みが顕著に現れます。
- パケットロスシナリオにおいても、優れたオーディオ品質を維持します。
Zoomのパフォーマンスは、ネットワーク条件が悪化しても質の高いオーディオをスムーズに提供する能力を実証しており、専門職や企業のコミュニケーションに最適なオプションとなっています。