レポート

働き方改革をリードする 4 社が”未来の働き方を考える”調査を実施

完全テレワークになったら住みたい都道府県 1 位は「東京都」ワーケーションで行ってみたい都道府県 1 位は「北海道」という結果に!

初の緊急事態宣言発令から 2 年が経ったことを契機に、全国の 20 ~ 60 代のフルタイムで働く就業者 2,000 名を対象に「これからの働き方を考える」というテーマで、4 社合同(アステリア株式会社、サイボウズ株式会社、レノボ・ジャパン合同会社、ZVC JAPAN株式会社)の調査(以下 本調査)を実施しました。

本調査では、多くの人がこの 2 年間のテレワークの体験から自由な働き方ができる未来を描くようになっていることが判明すると共に、いくつかの課題も顕在化しました。また、リモートワーク、ワーケーションにあたって人気がある都道府県も調査し、地域経済活性化の手段として期待されるリモートワークが現時点でどの地域と相性が良いかを可視化しました。

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更新日 April 08, 2022

公開日 April 06, 2022

働き方改革をリードする 4 社が”未来の働き方を考える”調査を実施

テレワーク制度のない会社の社員ほどテレワークに懐疑的な傾向が。

まず本調査に参加した全国の 2,000 名に、テレワークの実施状況を聴取しました。新型コロナ流行前は、テレワーク実施率 は 7.1% であったのに対し、 2020 ~ 2021年の新型コロナ禍の緊急事態宣言中には 29.5% と上昇しました。2022 年現在では緊急事態宣言中に比べると、やや減少傾向が見られるものの、全国の就業者の約 4 分の 1 がテレワークで働いています。【グラフ1】

2022 年現在では緊急事態宣言中に比べると、やや減少傾向が見られるものの、全国の就業者の約 4 分の 1 がテレワークで働いています

テレワークの意向について聴取したところ、本調査に参加した全国の 2,000 名のうち 41.7% が”テレワークを選択できる働き方をしたい”と回答しています。その内訳をみると、テレワークできる職種で、「テレワーク経験がある人」では実に7割以上が“テレワークを選択できる働き方をしたい”と回答しています。一方で、「これまでにテレワーク経験がない人」の回答は 32.5% で、テレワーク経験の有無でテレワークへの意向に大きな差が見られました。【グラフ2】

一方で、「これまでにテレワーク経験がない人」の回答は 32.5% で、テレワーク経験の有無でテレワークへの意向に大きな差が見られました

一方で 2022 年現在、「テレワークできる職種だが、テレワークは導入されていない」と回答した方が 8.9% いるという結果も明らかになっています。【グラフ3】
テレワークを利用しにくい、または利用できない理由としては、”職場以外だと部屋・机・椅子など物理的環境が整っていない”、”職場がテレワーク環境に設備投資できていない”という「ハード面」と、”社内・社外関係者とコミュニケーションがとりにくい”、”テレワークの業務ルールが整っていない”という「ソフト面」の 2 軸において、課題が存在していることがわかります。【グラフ4】

一方で 2022 年現在、「テレワークできる職種だが、テレワークは導入されていない」と回答した方が 8.9% いるという結果も明らかになっています

社外関係者とコミュニケーションがとりにくい”、”テレワークの業務ルールが整っていない”という「ソフト面」の 2 軸において、課題が存在していることがわかります

また、2022 年現在のテレワーク実施率を企業規模別にみてみると、従業員数 300 名未満の企業(17.5%)、300~2,999 名の企業(29.1%)、3,000名以上の企業(44.2%)と、企業規模が大きくなるにつれて、テレワークが実施されている現状が明らかになりました。【グラフ5】

一方で、テレワークできる職場に好感を持つ人は、従業員数 300 名未満の企業(36.6%)、300 ~ 2,999 名の企業(44.3%)、3,000 名以上の企業(53.1%)と、こちらも企業規模が大きくなるにつれて、テレワークができる職場への好意が上がっていることがわかりました。これらのことから、テレワークの実施率が低いとテレワークに懐疑的な意見が増える傾向が読み取れます。【グラフ6】

また、2022 年現在のテレワーク実施率※を企業規模別にみてみると、従業員数 300 名未満の企業(17.5%)、300~2,999 名の企業(29.1%)、3,000名以上の企業(44.2%)と、企業規模が大きくなるにつれて、テレワークが実施されている現状が明らかになりました

これらのことから、テレワークの実施率が低いとテレワークに懐疑的な意見が増える傾向が読み取れます

新型コロナを契機に、大企業を中心にテレワーク実施率が着実に増えている一方で、ハード面・ソフト面の障壁から「テレワークできる職種なのに導入されていない」という中小企業も多いです。

テレワーク定着には、経営トップによる「できるところからテレワークをやってみよう」というコミットメントや、ツール・制度・風土を整えることが大切です。特に、テレワークに向けてデジタルツールを導入・活用することで、今まで以上に情報共有が進み、生産性の向上に期待できます。また、テレワーク定着による働く場所の制限がなくなることで、採用の幅も広がります。

今の日本の中小企業には「テレワークリテラシー」の向上が求められます。サイボウズも、その助けになるようなサービスやノウハウの提供に努めてまいります。

サイボウズ 代表取締役社長 青野慶久

調査結果から見直す“オフィスの存在価値”。

テレワークにおける社内コミュニケーションの課題をクリアにするのはオフィスではない?

テレワークの普及に合わせて“オフィスの存在価値”についても、この2年間で見直されました。調査対象となる会社員・団体職員 1,435 名に対し、テレワークも選択できる働き方ができる場合の「働く場所」について尋ねたところ、約 6 割が“今後もオフィスはあった方が良い”と回答しています。また、年代別にみてみると、“今後もオフィスはあった方が良い”と回答した 20 代が 55.9% なのに対し、60 代は 69.6% と、13.7 ポイントの差が見られました。“若者のオフィス離れ”の傾向が、調査結果からは読み取ることができます。【グラフ7】

“若者のオフィス離れ”の傾向が、調査結果からは読み取ることができます

今後もオフィスがあった方がいいと思う理由として、”業務に使用する機器がある”、”資料やデータを保管する”などが上位にあがっており、自宅や外部にはない事務効率を高めるためのシステムや機能がオフィスの存在価値を維持していることがわかりました。【グラフ8】

自宅や外部にはない事務効率を高めるためのシステムや機能がオフィスの存在価値を維持していることがわかりました

一方で、テレワークによって業務成果への悪影響があると回答した 529 名に「テレワークで働くことによって、仕事の成果が悪くなる理由」について尋ねたところ“社内関係者とコミュニケーションがとりにくい(30.4%)”が、最多回答としてあげられました。【グラフ9】 しかし、グラフ 8 をみるとテレワーク下でのオフィスの魅力としては、”職場の仲間が集まる場所がある”や”会って議論をすることで業務効率が上がる”といった社内コミュニケーションに関する要素は上位にあげられておらず、現状のオフィスをテレワーク制度下での「社内コミュニケーション活性化の場」として活用できている例はまだまだ少ないと推察できます。

現状のオフィスをテレワーク制度下での「社内コミュニケーション活性化の場」として活用できている例はまだまだ少ないと推察できます

「理想のオフィス」の条件を尋ねたところ、最も多く挙げられたのは”無料の社内食堂・カフェ”で約 4 割。続いて”心身共に癒される空間”、“業務に集中できる小会議室がある”が続いています。オフィスデザインを重視した「オシャレな空間」については、20 代の約 2 割が選択していますが、30 代以上の支持が少ないという結果も見られました。【グラフ10】

オフィスデザインを重視した「オシャレな空間」については、20 代の約 2 割が選択していますが、30 代以上の支持が少ないという結果も見られました

テレワークの実施率は、2020 年以前の 7.1% から 2020 – 2021 年の緊急事態宣言中には 29.5% と上昇したが、その利用は、一部のオフィスワーカーに限られています。

また、テレワークで働くことで、「社内関係者とのコミュニケーションが取りにくくなる」という懸念を抱える方が多く、オフィスが必要な理由も、「職場の仲間が集まる場所がいる」や「会って議論をすることで業務効率が上がる」という理由が、「資料やデータを保管する」という理由に次いで多いことから、社員のエンゲージメントの改善が求められていると読み取れます。

これらのことを踏まえた上で、これまでテレワークに必要な IT の技術を享受できなかったフロントラインワーカーへのコミュニケーション技術の導入や、社員のエンゲージメントを高めるためのコミュニケーション技術のブレークスルーを考えていく必要があると考えています。

ZVC JAPAN(Zoom)  社長 佐賀文宣

社員の働き方意向には企業文化・風土が影響している?

20 代、若い会社に勤めている人は特に、ワーケーションや移住など、大きく働き方を変えたい傾向が。

テレワークが導入されている企業・団体に勤める 624 名に、「テレワークで働くか・出社して働くか、あなた自身で決めることができるか」という質問をしたところ、管理職・経営者・役員の 75.5% が“自分で決めることができる”と回答した一方で、一般社員では 47.7% という結果が出ており、役職によって 27.8 ポイントも差がありました。【グラフ11】

一般社員では 47.7% という結果が出ており、役職によって 27.8 ポイントも差がありました

また、「テレワークを利用していない理由」として、「社内関係者とコミュニケーションがとりにくい」という回答を役職別にみると、一般社員では 24.9% という結果だったのに対し、管理職・経営者・役員では 39.3% と、実に4割近くが社内コミュニケーションをテレワークの課題として挙げています。役職によって希望する働き方には差があり、管理職・経営者・役員の希望だけで全社的に出社ルールを統一することは、一般社員には望まれていないことがわかります。【グラフ12】

役職によって希望する働き方には差があり、管理職・経営者・役員の希望だけで全社的に出社ルールを統一することは、一般社員には望まれていないことがわかります

また、本調査に参加した 2,000 名に、「働く場所を選ばない職種・働き方になったら、どのようなことをしたいか」を質問したところ、“住まいを変えたい(23.6%)”、”ワーケーションがしたい(21.8%)”、“移住(海外移住、地方移住、Uターン)をしたい(21.7%)”、“多拠点居住・二拠点生活がしたい(20.5%)”と、現在の生活から大きくライフスタイルを変化させたいと思っている人が約 5 人に 1 人以上がいることが分かりました。さらに、年代別でみてみると、住み替えやワーケーション、移住、多拠点居住のすべての項目においても、20 代が 6.9 ポイントほど、平均より高く、若い人ほど、働き方の変化を望んでいることが明らかになりました。【グラフ13】

20 代が 6.9 ポイントほど、平均より高く、若い人ほど、働き方の変化を望んでいることが明らかになりました

また、創業年数が古い企業ほどテレワークにより社内関係者とコミュニケーションがとりにくくなると回答している傾向がみられることからは、伝統ある会社ほどテレワークによるコミュニケーション不足を懸念していることがわかりました。【グラフ14】

私は、ジャマイカ生まれのカナダ国籍で、レノボの社長になるまでは AMD というアメリカの半導体企業に勤めていた生粋の“外国人社長”として、日本の企業文化に触れてきました。働き方改革が進むにつれて、“テレワークのバリア”になる文化もあります。会議の多さ、「ハンコ文化」はまさにそうです。

今回の調査結果で特に興味深かったのは、20 代を中心に若手社員がより海外的な、自由な働き方を希望していることにシフトしている点です。また創業が新しい会社はオンラインでのコミュニケーションの課題を克服しているようです。伝統ある企業の経営者は、優秀な若手人材の確保のために新しい文化を取り入れ、新しい働き方の価値観に順応していくことが求められるでしょう。

レノボ 代表取締役社長 デビット・ベネット

完全テレワークになった場合住みたい県は、1 位「東京都」、2 位「神奈川県」、3 位「北海道」

人気なワーケーション先は、1 位「北海道」、2 位「沖縄県」、3 位「東京都」という結果に!

本調査に参加した全国の 2,000 名に、「今後出社がなく全てテレワークで働くことになり、住むところを自由に選べるとしたら、どこで暮らしたいか」という質問をしたところ、第 1 位は”東京都(27.3%)”、次いで”神奈川県(19.1%)”、”北海道(16.6%)”という結果になりました。【グラフ15】

どこで暮らしたいか」という質問をしたところ、第 1 位は”東京都(27.3%)”、次いで”神奈川県(19.1%)”、”北海道(16.6%)”という結果になりました

東京都や神奈川県を選んだ理由として、両者とも”交通の便が良いから(東京都:54.4%/神奈川県:42.5%)”、”買い物やショッピングに困らない(東京都:50.7%/神奈川県:40.9%)”、”いざとなったら職場に通える距離(東京都:26.7%/神奈川県:25.5%)”が上位にあがっています。“東京都”を選択した人の内訳をみてみると、東京都在住が 30.9% と最も多く、続いて神奈川県在住が 15.2%、千葉県在住が 10.7% となっていて、大都市に隣接している県の在住者は、完全テレワークの場合でも大きな移動を好まない傾向があることが明らかになりました。【グラフ16】

大都市に隣接している県の在住者は、完全テレワークの場合でも大きな移動を好まない傾向があることが明らかになりました

また、「今後ワーケーションで働くことができるようになり、自由にワーケーション先を選べるとしたら、どこに行きたいか」という質問に対しては、第 1 位は”北海道(27.0%)”、次いで”沖縄県(23.1%)”、”東京都(15.6%)”という結果が明らかになりました。【グラフ17】

第 1 位は”北海道(27.0%)”、次いで”沖縄県(23.1%)”、”東京都(15.6%)”という結果が明らかになりました


”北海道”を選んだ理由としては、”(温泉、食事などで)リラックスしながら仕事ができそう(50.4%)”、”自然の近くで働けそう(41.1%)”で、”沖縄県”を選んだ理由としては、”気候がよさそう(41.8%)”、”(スポーツ、アクティビティなどで)リフレッシュしながら仕事ができそう(37.9%)”が上位にあがってきました。また、第3位の“東京都”は、” ワークスペースやネット環境が整ってそう(25.7%)”、” 自分の家から行きやすい(20.6%)”など、都心ならではの魅力も理由として挙げられています。テレワークの場合は、現在のライフスタイルを基準に、より現実的な場所を選択している一方で、ワーケーションに関しては特に観光地に求める要素を重視していることがわかりました。【グラフ18】

テレワークの場合は、現在のライフスタイルを基準に、より現実的な場所を選択している一方で、ワーケーションに関しては特に観光地に求める要素を重視していることがわかりました

ワーケーションはテレワーク環境が整っていないと実施が難しいですが、実施したいという声は一定数あり、潜在的な意欲が高いことが読み取れます。コロナ禍の影響によって、地方でもデジタル化が加速しており、今後の環境整備は間違いなく進むでしょう。

調査では、ワーケーション先として「北海道(1位)」「沖縄県(2位)」など観光地がトップに挙がっており、ワーケーションがまだ黎明期で「より生産性の高い働き方」への考察が低いことが読み取れます。今後は、設備の充実度や「緑視率」など生産性を上げる指標に着目することで、観光地ではない地方も魅力度を上げていくことができるでしょう。

一方で、ワーケーション先として「東京都(3位)」「神奈川県(4位)」が挙がる背景には、「いざとなったら職場に通える距離」という意識が読み取れます。つまり、テレワーク前提であっても、潜在的な意識は依然としてオフィスに縛られているのです。

今後は、オフィスでの執務を「主」ではなく多様な働き方の「選択肢」とするなど、オフィスの役割を再定義する必要が生じるでしょう。そうすることで、テレワークやワーケーションが特別なものではなく、生産性を上げる手段と変わっていきます。

アステリアは、働き方の多様化に寄与するため、どこにいても必要なデータや業務アプリにアクセスでき、快適に業務遂行が出来る「つなぐ」仕組みの提供に努めてまいります。

アステリア 代表取締役社長/CEO 平野洋一郎

<調査概要>
・調査地域:全国
・調査対象:20 ~ 60 代のフルタイム勤務の就業者 2,000 名
・調査時期:2022 年 3 月 9 日(水)~3 月 11 日(金)
・調査方法:インターネット調査
・調査機関:株式会社クロス・マーケティング
・調査企画:サイボウズ株式会社、アステリア株式会社、レノボ・ジャパン合同会社、ZVC JAPAN株式会社(Zoom)

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