〈みずほ〉はDX推進体制の強化に向け、グループ内に散在していた機能を2023年4月にCDO(最高デジタル責任者)のもとに集約。DX共通基盤の整備やビジネス・業務のDX化に向けたグループ横断での取り組みが加速する中、みずほ証券も現場に根ざした取り組みを進めています。
DXを全社で進めるには、AIをはじめとした先端テクノロジーの活用に加え、それらを活かせる人材の育成が不可欠です。「今もっとも力を入れているのはDX人材の育成」と話すのは、みずほ証券でITインフラおよびITプラットフォームに係るシステムの開発・保守などを担う、 ITサービス・プラットフォーム部で部長を務める小林弘明氏です。
「DXの推進には、技術だけでなく、実際のビジネスの流れや顧客ニーズを把握できる人材が欠かせません。ITはあくまでもものづくりの手段にすぎず、業務を理解していなければ力を発揮できないからです。そのため、IT部門“だけ”がDXを進めるのではなく、ビジネス部門と連携しながら、よりよいあり方を試行錯誤できる体制が必要だと考えています」
グループのブランドスローガン「ともに挑む。ともに実る。」を体現すべく、IT部門はビジネス部門との対話を重ねながら変革を着実に進めているといいます。

こうした顧客中心の実践的アプローチから生まれた取り組みの一つが、Zoomソリューションをコミュニケーションの主軸に据えることでした。
同社とZoomの関わりは、2019年のコロナ禍初期に遡ります。導入当時の経緯を説明するのは、ITインフラの構築や維持を担当している、ITサービス・プラットフォーム部の山本寿雄氏です。
「社外とのコミュニケーションは、もともと別のWeb会議ツールを社内標準としていました。『Zoomで対応してほしい』というお客さま側からの要望を受け、一部の部署で利用が広がっていきました」
多くの金融機関同様、同社も災害対策や障害時に備えて複数のコミュニケーションツールを併用しています。社内でのやりとりはMicrosoft Teams、社外向けには他社のWeb会議システムを社内標準としながら、Zoom Meetingsも選択肢として以前から用意していました。
シンプルな使い勝手や、世間一般への認知度、利用者側の心理的ハードルの低さなどから、社外に対してはZoom Meetingsを案内する場面が徐々に増えていったそうです。
コロナ禍を乗り越え、個人・法人を問わず、顧客への提案や取引先との打ち合わせもWeb面談で行うのが日常的になった一方で、同社の顧客にはシニア層も多く、従来どおりの電話や対面での対応を希望される声も根強いといいます。
変わらぬコミュニケーションを尊重しつつも、「今後、店舗のあり方が変化していくことも見据え、社内外の誰もが使いやすいツールを整えておくことが、現場の働き方やサービスの質を左右する」と山本氏は展望を話します。
