Zoomと「ともに挑む」 みずほ証券のDX 顧客の信頼に応える、新たなコミュニケーション基盤を

大手金融機関がZoomを社外コミュニケーションの中核に。Zoom Workplace導入によって一元管理が実現

Zoomと「ともに挑む
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設立 :

1917年

本社所在地:

東京都千代田区大手町1-5-1 大手町ファーストスクエア

業界:

金融

課題:

社外向けのWeb会議ツールが複数利用されていたため、それぞれでライセンスの発注・付与が必要になり、IT部門の管理業務が煩雑だった。加えて、標準ツールとして主に利用していたものは使い方に迷う人も多く、社内外からの問い合わせ対応にも時間が割かれていた。

導入成果:

標準ツールをZoom Meetingsに切り替えたことで、画質・音質が高いクオリティで安定。個別のライセンス管理ではなく利用したユーザー数に応じて課金される「アクティブホスト」型を採用し、IT部門側の管理工数も大幅に削減。ツールが集約されたことに加え、シンプルでわかりやすいUIのZoomを標準にしたことでシニア層をはじめとした顧客にも馴染みやすく、結果的に問い合わせ数も減少した。

導入ソリューション

デジタル技術の進展にともない、非対面の顧客対応が当たり前になりつつある金融業界。

 

みずほフィナンシャルグループ(以下、〈みずほ〉)の総合力を活かし、幅広い金融サービスを提供するみずほ証券も、グループ全体のDX戦略と連動しながら、顧客接点の高度化や業務の効率化に取り組んでいます。

 

その一環として基盤整備を進めている同社は、他社のWeb会議ツールと併用していたZoomを、2024年秋に社外コミュニケーションの中核へと位置づけ直しました。

 

この運用を支えているのは、現場の声を起点に試行錯誤を続ける、若手を中心としたIT・システムグループのメンバーたち。Zoomソリューションを実践的な変革パートナーとして選んだ、みずほ証券のコミュニケーション基盤改革の取り組みを紹介します。

「ともに挑む。ともに実る。」を体現する、ユーザー起点のDX

〈みずほ〉はDX推進体制の強化に向け、グループ内に散在していた機能を2023年4月にCDO(最高デジタル責任者)のもとに集約。DX共通基盤の整備やビジネス・業務のDX化に向けたグループ横断での取り組みが加速する中、みずほ証券も現場に根ざした取り組みを進めています。

 

DXを全社で進めるには、AIをはじめとした先端テクノロジーの活用に加え、それらを活かせる人材の育成が不可欠です。「今もっとも力を入れているのはDX人材の育成」と話すのは、みずほ証券でITインフラおよびITプラットフォームに係るシステムの開発・保守などを担う、 ITサービス・プラットフォーム部で部長を務める小林弘明氏です。

 

「DXの推進には、技術だけでなく、実際のビジネスの流れや顧客ニーズを把握できる人材が欠かせません。ITはあくまでもものづくりの手段にすぎず、業務を理解していなければ力を発揮できないからです。そのため、IT部門“だけ”がDXを進めるのではなく、ビジネス部門と連携しながら、よりよいあり方を試行錯誤できる体制が必要だと考えています」

 

グループのブランドスローガン「ともに挑む。ともに実る。」を体現すべく、IT部門はビジネス部門との対話を重ねながら変革を着実に進めているといいます。

ともに実る。」を体現する、ユーザー起点のDX

こうした顧客中心の実践的アプローチから生まれた取り組みの一つが、Zoomソリューションをコミュニケーションの主軸に据えることでした。

 

同社とZoomの関わりは、2019年のコロナ禍初期に遡ります。導入当時の経緯を説明するのは、ITインフラの構築や維持を担当している、ITサービス・プラットフォーム部の山本寿雄氏です。

 

「社外とのコミュニケーションは、もともと別のWeb会議ツールを社内標準としていました。『Zoomで対応してほしい』というお客さま側からの要望を受け、一部の部署で利用が広がっていきました」

 

多くの金融機関同様、同社も災害対策や障害時に備えて複数のコミュニケーションツールを併用しています。社内でのやりとりはMicrosoft Teams、社外向けには他社のWeb会議システムを社内標準としながら、Zoom Meetingsも選択肢として以前から用意していました。

 

シンプルな使い勝手や、世間一般への認知度、利用者側の心理的ハードルの低さなどから、社外に対してはZoom Meetingsを案内する場面が徐々に増えていったそうです。

 

コロナ禍を乗り越え、個人・法人を問わず、顧客への提案や取引先との打ち合わせもWeb面談で行うのが日常的になった一方で、同社の顧客にはシニア層も多く、従来どおりの電話や対面での対応を希望される声も根強いといいます。

 

変わらぬコミュニケーションを尊重しつつも、「今後、店舗のあり方が変化していくことも見据え、社内外の誰もが使いやすいツールを整えておくことが、現場の働き方やサービスの質を左右する」と山本氏は展望を話します。

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アクティブホスト契約で管理工数を削減 新たな挑戦ができる余地に

顧客の多様なニーズと将来の変化に対応するため、同社はコミュニケーション基盤の見直しに着手。全社でより柔軟に活用できるよう、これまで状況に応じて個別に発行していたライセンス運用を改め、2024年の秋にエンタープライズ向けの包括プラン「Zoom Workplace Enterprise Essential」へと切り替えを行いました。

 

2023年秋頃に立ち上げられたこのプロジェクトの中心となったのは、当時中途入社して間もなかった宮下比那子氏。「まずはやってみよう」と任せてもらえる〈みずほ〉の風土が後押しになったと話します。

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「入社後、社内で利用されているツールの運用や管理に携わる中で、アカウント管理の煩雑さ、使い方や不具合に関する問い合わせの多さは大きな改善ポイントだと感じました。利用実態をもとにチームメンバーやZoomの担当者と検討を重ねた結果、メインツールをZoomに切り替え、アクティブホスト型の契約にするメリットは大きいと判断しました」

 

アクティブホストとは、社員全員に有償ライセンスを配りつつ、実際に機能を利用しているユーザー数に応じて課金が発生するプランです。IT管理者側が個別にライセンスを付与する必要がない、利用実態に合わせてコストを抑えられるなどのメリットがあります。

 

みずほ証券の場合は、最大5000のアカウントが有償利用できる契約となっており、うち3700ほどが利用されています。従来メインに据えていたシステムと比べても、運用コスト削減に成功しました。

 

「これまではZoomの利用を希望する社員に対して都度ライセンスを発行し、不要になったタイミングで棚卸や回収を行っていました。年3〜4回のライセンス発注に加え、日々の利用申請への対応など、管理の負担は決して小さくありませんでした」

 

今回の契約により、必要なユーザーに対してスピーディかつ柔軟にライセンスを割り当てられるように。煩雑な発注管理のリードタイムがなくなり、「営業担当からの急な依頼にも応えやすくなった」と宮下氏は変化を語ります。

Enterprise Essentialへのプラン切り替えによって、Webミーティングの自動翻訳機能、他社製端末と接続できるCRC(Cloud Room Connector)など、Zoom Workplaceが提供する多彩な機能も標準搭載のオプションとして使えるようになりました。

 

同社が以前から利用していた会議室用常設システム「Zoom Rooms」も、25アカウントごとに1ライセンスが無償でバンドルされており、「それぞれ別に契約するよりもコストパフォーマンスが高くなった」と評価。

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すでに多くの会議で日常的に利用されており、「マイクから離れた出席者の音量も自動で調整されるうえ、音声がクリアで安定していて参加者のストレスが少ない」など、快適さと使い勝手の良さを実感しているといいます。

 

また、同プランのミーティングの最大参加者数は500人。社内研修や説明会を頻繁に開催する人事部やシステム系の部署では、かなりの頻度で活用されています。

 

従来は別々のツールを利用していたこれらの機能がZoom内に集約されたことで、複数のシステムを横断する必要がなくなり、「運用がかなり楽になった」と笑顔を見せる宮下氏。その効果は、数字にもしっかり表れています。

 

「社外コミュニケーションをZoomに切り替えてから、使い方や不具合に関する問い合わせが従来の3分の1にまで減り、期待以上の成果に驚きました。そのおかげで生まれた時間を、新機能の検証や他ツールとの連携検討など、今後に必要な作業に充てられています」

DXの一歩は「現場に便利さを実感してもらうこと」

一方で、既存のWeb会議ツールが浸透していた環境から、Zoomを主軸とする運用への切り替えには一定のハードルもありました。お客さまと直接向き合うビジネス部門にどう伝え、浸透させるかが鍵となります。

 

山本氏や宮下氏とともに移行準備を進めた平野竜彦氏は、成功の鍵をこう振り返ります。

 

「変更点を整理した説明資料を準備し、現場への伝え方も工夫しました。宮下さんが前面に立ち、機能の優位性よりも『負担は増えない』といった利用者目線でのメリットを中心に説明。部門ごとの実情に合わせて丁寧に伝えたため、大きな混乱もなく移行できてほっとしました」

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ITツールの導入や業務のデジタル化は、「DX」や「業務改革」といった言葉ばかりに注目が集まりがちです。しかし、移行プロジェクトをリードした山本氏は「現場にとって本当に重要なのは、まず自分の仕事がどう変わるかを実感できること」だと強調します。

 

「ツールを使うことと業務を変えることは、実は似て非なるもの。いきなり後者を目指すのではなく、『使えば便利になる』と感じてもらう体験が、DXの最初の一歩だと思うんです。その点、ZoomのUIは実感につながりやすい。まずは触ってもらえる環境を整え、現場の成功体験をともにつくっていく。そんな伴走も、私たちIT部門の大切な役割だと考えています」

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「次は生成AIの現場定着」Zoomと築くコミュニケーションの未来

DXへの取り組みを通して現場との相互理解を深めてきたことで、最近では「この生成AIを使ってみたい」「こういうことができるITツールはない?」などの要望や質問をよく受けるようになったと話す山本氏。IT部門とビジネス部門が、DXに「ともに挑む」関係へと変化しつつあるのを実感しています。

 

「以前は、リクエストに対して『できません』と断る場面も正直多かったのですが、今は『まず一緒に試してみよう』という姿勢を大切にしています。小さくても効果を実感できる体験を重ねるうちに、ある種の“わがまま”を言ってもらえる関係になったのがうれしいですね」

 

こうした前向きな取り組みを支えているのが、Zoomの柔軟なサポート体制と高い拡張性です。

 

導入時はもちろん、運用中のトラブルや設定に関する相談にも迅速に対応。必要に応じてZoom本社のエンジニアがサポートに入るなど、「ツールでありながら、人による支援を含めた手厚い体制と、改善のスピード感には大きな安心感がある」と山本氏たちは評価します。

 

加えて、Zoom AI Companionへの期待も高まっているといいます。現在は議事録の自動生成や要約といった基本機能の活用が一部の部署で始まっており、「現場が使いやすい形で業務に組み込めるよう、今後も検証を進めていきたい」と意気込みます。

 

機密性の高いデータの管理体制を整備しつつ、将来的には営業支援や情報管理などへの応用も視野に、Zoomの活用をさらに広げていく考えです。

 

ツールを導入して終わりではなく、日々の業務に根ざした活用と進化を続けていく——みずほ証券のDXは現場の声とともに、その歩みを確かなものにしています。

みずほ証券でのZoom Workplace 活用方法など詳細な情報が必要な場合は下記レポートをダウンロードください。

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