「あずきバー」井村屋が語る、進化を続けるZoom Workplaceの今とこれから

日々の業務がZoomアプリで完結、メール作成も会議要約もAIにおまかせ

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設立 :

1896年

本社所在地 :

三重県津市高茶屋七丁目1番1号

業界:

食品製造業

課題:

国内外の事業者や取引先とのコミュニケーションのため、コロナ前からオンラインツールの充実には力を入れていたおり、Zoom Meetings、Zoom Phoneは導入済み。いずれも日常的に利用していたが、メールとカレンダーは別ツールを使わざるを得ず、複数ツールのアカウント管理の煩雑さや、比較検討するコスト、生成AI時代を見据えたデータの集約・課題の面で課題を感じていた。

導入成果:

Zoom MailとZoom Calendarを導入したことにより、業務のほとんどをZoomアプリ上で完結できるように。IT部門はアカウント管理が楽になり、現場社員にとっても迷わず、効率よく使えるようになった。生成AI「Zoom AI Companion」がデフォルトで導入されており、Web会議の議事録・要約の自動生成やメールの下書きなども追加のセットアップをせず利用できるため、一人ひとりが自然に生成AIの活用を模索するカルチャーも広がっている。Web会議やチャット、メールのやりとりの音声・テキストデータの保存や分析もしやすくなり、今後の活用可能性を検討中。

導入ソリューション

1896年に和菓子店として創業し、「あずきバー」「やわもちアイス」などの人気アイスクリーム、肉まん、あんまんなどの点心まで、私たちに身近な食品を幅広く展開している井村屋グループ。実は、いち早く積極的にDXに取り組んできた企業としても知られています。

 

そんな井村屋グループが2025年春、全社のメールとカレンダーのシステムをZoom MailZoom Calendarに移行し、社内のコミュニケーション基盤をZoom Workplaceと呼ばれるプラットフォームに集約しました。Zoomアプリの中でWeb会議、メールやチャット、電話、カレンダーなど、業務に必要なアプリケーションをワンストップで利用できるようになりました。

 

DX先進企業である井村屋は、なぜZoomをパートナーに選んだのでしょうか? 多様な機能を長く活用してきたからこそ知る、Zoom Workplaceの魅力を聞きました。

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メールも電話もカレンダーも Zoomプラットフォームに一元化

同社とZoomとの出会いは遡ること2017年。国外だけでも複数の事業所があり、海外にも拠点や取引先を持つため、オンラインコミュニケーションをより充実させるツールを探していたといいます。日本ではまだ知られていなかったZoom Meetingsに着目し、問い合わせたことがきっかけでした。

 

井村屋グループのデジタル戦略室長を務める岡田孝平氏は「シンプルかつ手軽なSaaSでありながら、世界中とつながれる点に可能性を感じました」と当時のことを振り返ります。

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Meetingsを一部の支店でテスト導入したところ、その使いやすさからすぐに現場に定着。2022年には、クラウドPBXサービスとしてリリースされたばかりのZoom Phoneをいち早く導入し、社外との商談も、社内の多拠点との内線電話も、Zoomアプリ内でシームレスに実施できるようになりました。

 

1つのアプリに機能を増やしていける拡張性の高さ、アカウント管理のしやすさ、「使いやすい」「わかりやすい」という現場からのポジティブな反応などを受け、社内外とのコミュニケーションツールをZoomプラットフォームに一元化していく方向をさらに進めていった同社。現在ではZoom Workplaceの各機能をフル活用しており、グローバル拠点を含む全従業員約800人がZoomを利用しています。

 

そして2025年春、井村屋グループはZoom MailとZoom Calendarを日本国内で初めて本格導入しました。デジタル戦略室課長代理の辻󠄀雅隆氏は、「Zoomの担当者にメールとカレンダーも開発中と聞いた時から、『早く使えるようにならないかな』と楽しみにしていた」と語ります。

 

日々の仕事をできるだけZoom上で完結させたい、そのためにはこの2つの機能はぜひほしい、と一ユーザーとして期待していたと言います。

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「これまでは日々の業務の中でメール、カレンダー、チャットと、その都度別のツールを使い分けていましたが、ウインドウやタブを切り替えるたびにクリックを繰り返す時間や労力というコストがありました。当たり前すぎて気にならない程度の些細なものであっても、グループ全体で見れば相当な量。Zoom MailとZoom Calendarの導入は、一人ひとりが使いやすくなるのはもちろん、組織全体としての生産性アップにも寄与すると考えています」

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他社ツールとの連携も強み 組織のニーズに合わせて拡張

同一アプリ内での使いやすさを追求しつつ、同時に各社のSaaSとの連携がしやすいのもZoomの特徴です。GoogleやMicrosoftのアプリケーションやSalesforceをはじめとしたCRMなど、企業や組織のニーズに合わせてカスタマイズできます。

 

井村屋グループの場合は、オンラインストレージとして利用しているBoxと連携。今後、取引先の情報や、受発注のシステムなどとの連携も模索しています。

 

また、すべての機能にAI Companionが付随しており、Zoom内でなされたコミュニケーションや送信された資料を横断して検索することも可能です。例えば、Web会議の音声をAIが自動で文字起こしし、議事録と要約をテキストデータとして保存。メールやチャットでなされた会話や資料も合わせて整理・検索できるため、「この話、どこで誰とした?」と迷うこともなくなります。

 

Zoomプラットフォームへの統一は、管理とコストの面でも大きな効果をもたらしました。アカウントが1つあれば、Zoom Workplaceの機能が包括的に利用できるので、個別に契約やユーザー管理をする必要はありません。

 

管理画面からは、各機能の詳細な利用状況(AI要約の利用回数、利用中のユーザーなど)や、音声・ビデオの品質などがリアルタイムに確認でき、効率化と安心感につながったと辻󠄀氏は実感を語ります。

 

セキュリティ面においては、利用ツールが分散しないことで情報漏洩リスクが軽減したと評価。メールフィルターなどのセキュリティ機能も継続的に強化されており、オンプレミス環境と比較しても、長期的な安心感があると期待を寄せます。

工場でも不可欠なZoom:生産効率を高め、言葉の壁を乗り越える

便利なツールを用意したところで、使われなければ成果を出せないのがDXの常。Zoom Workplaceは、機能を組み合わせることで部署のニーズに合わせて活用法を模索できます。井村屋グループの場合は、オフィスワークの社員だけでなく、工場で働くスタッフたちにとってもZoomは欠かせない存在になっています。

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同社の生産工場は「点心・デリ工場」「アイス」「菓子」「あずきファクトリー」などがあり、「点心・デリ工場」だけでも製造工程は9つのプロセスに分かれています。

 

広大な工場の中で、細分化された工程に分かれ、さらに早番・遅番のシフト制で24時間稼働を続けるため、当日のスケジュールや申し送り事項をタイムリーに共有するうえで、チャットは最重要ツールになっていると点心・デリ工場 工場長代理 上嶋健人氏は話します。

 

「常に忙しい工場内で相手の作業を止めたくないので、チャットを使うことが多いです。テキストで説明しにくいことは写真や動画を添付できますし、シフトの交代時に状況をキャッチアップするにも重宝しています」

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衛生面から備品の持ち込みが制限される食品工場内で、社用スマホ1台で遜色なく機能を使えるのもメリットです。

 

「材料や備品の発注の確認・承認もチャットで完結できるようにワークフローを整えました。急ぎの場合は電話を使いますが、Zoomのアプリから、そのままビデオ会議や電話ができるのも便利です」

 

情報共有においては、Zoom Roomsのデジタルサイネージ機能(※)も活用。工場内の計4か所に設置したモニターに、作業内容や手順、注意点などを動画で解説し、映し出しています。

 

※ 指定した画面にあらかじめ設定したコンテンツや情報を表示できる機能。会議室や待合室に設置したモニターに、スライドショーや動画を流すような使用が想定されている。

 

「弊社の工場では、ブラジルやフィリピン、ベトナムなどの海外にルーツを持つ従業員も多く働いています。いかに言語の壁を越え、正確に情報共有するかは常に大きな課題。言葉やジェスチャーだけではわかりにくいところを母語の字幕をつけて伝えられる、作業しながらその場で実際の映像で確認してもらえるので、本当に重宝しています」

 

サイネージで動画を流す案は、現場の従業員が提案したもの。日々Zoomに親しんでいるからこそ「Zoom Roomsの機能を使えばできるのでは?」というアイデアが出てきたと言います。

 

コンテンツの差し替えや追加も簡単で、IT担当者に頼ることなく、上嶋氏の手元のPCでできるのも日々状況が変わる工場ではメリット。「今日必要な情報を、すぐに伝えることができています」と現場目線でDXの成果を語ります。

海外とも円滑に情報共有:Zoomがあるからこそ高まる「対面」の価値

看板商品「あずきバー」をはじめ、海外展開も積極的に進めている同社。北米や中国、マレーシアに拠点を持ち、駐在員や現地社員、関連会社とのコミュニケーションでも日々Zoomを利用しています。

 

「実は、自分は対面派」と笑う海外貿易室長 井村慎氏は、それでもZoomに助けられているシーンは多いと実感を語ります。

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国外にいることも多い井村氏が重宝している機能の1つが、プレゼンス状態の表示。オンライン/オフライン、ミーティング/通話/外出中などのステータスが表示されるため、自分の状態を同僚に理解してもらいやすく、時差のある地域とのスケジューリングもしやすくなったと言います。

 

今は、オンラインだけでなく対面の会議・打ち合わせの際にあえてZoomを立ち上げていることも多いそう。AI Companionで商談のサマリーを出力したり、リアルタイム翻訳機能を使って字幕を表示したり、「いつのまにか、オフラインを含むミーティングに欠かせないツールになりつつある」と話します。

Zoom MailとZoom Calendarへの移行に関しては「いい意味で、大きな変化はない」と語る井村氏。

 

「すべての機能が以前からあったかのように自然に使えて、さらにそれがシームレスにつながっていることにこそ、Zoomプラットフォームの価値があると考えています」

 

取引先や現地のスタッフと接する機会も多い井村氏はZoomが当たり前になったことによってコミュニケーションのコントラストが強まり、リアルの価値も上がったのでは、と持論を語ります。

 

「情報を伝えるだけであればZoomで済むところを、海を越えてわざわざ会いに行くことで対面の価値も上がっている、と近年強く感じています。オンラインと対面、それぞれのメリットをうまく組み合わせていくことで質と量の両方を高めることができるはず」

AIが日々の業務をサポート 個々人が自由な発想で効率化

DX戦略の一環として、生産性向上や働き方改革による効率化、「コストイノベーション」を掲げる井村屋グループは、Zoomの各ツールに設定されているAI Companionも積極的に活用しています。

 

デジタル戦略室長の岡田氏が特に愛用しているのは、メールの下書き生成。受信したメールをもとに、適切な返信内容をAIが自動で生成してくれます。

 

「メールの返信はまずAI Companionに頼んで、必要な箇所を修正して送るというパターンが増えました。新規にメールを書く場合も、AI Companionと対話する形式で作成できますから大幅な時短になっています。伝えたいことをしっかり整理して伝えられるので、むしろわかりやすくなっている気すらしますね」

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Web会議や電話の内容をまとめるAI要約機能も各部門ですっかり定着。ミーティングの内容をサマリーにまとめさせ、そのまま議事録として使用することも当たり前になっています。例えばデジタル戦略室では、社内から寄せられるITに関する問い合わせ内容の確認・要約にも活用しており、過去の似たような問い合わせから回答をサジェストするなどで効率化を進めているそうです。

 

今後特に活用していきたいと話すのは、AI Companionによる要約を生かした「Zoomタスク」機能。ミーティングの内容から「どの出席者が」「どんなタスクを負ったか」をAI Companionが判断し、アクションアイテム(タスク)を自動で生成してメンバー間に共有するというものです。

 

「会議を録音して文字起こしをして、それぞれにタスクを割り振っていた時代と比べれば、かかる時間や手間には雲泥の差があります。AI CompanionはZoomの有料ライセンスに付随しているため、社員一人ひとりが自由に活用法を模索できるのがメリット。どんどんアップデートされるので、画像生成や集計機能、さらにはAIエージェントなどさらなる進化を期待しつつ、さらなる活用を図っていきたいと思います」(デジタル戦略室 辻󠄀氏)

顧客の声が最優先 ともに製品を「育てる」Zoomカルチャー

Zoom MailとZoom Calendarの導入にあたっては、日本語の入力・表示の改善をはじめ、これまで以上にローンチまでの課題があったと振り返る辻󠄀氏。同時に、過去に多くのZoomプロダクトの導入を担当してきた時と同じく「Zoom社のアジャイル感、スピード感に助けられた」といいます。

 

「移行プロセスの中で、バグ修正や改善のお願いをすることも多数ありましたが、Zoom社は営業、開発、CSM(カスタマーサクセスマネージャー)などが部署の垣根を越えて、時にはUS本社の力も借りて、ワンチームで対応してくれる印象を持っています。ユーザーが求めるもののために厭わず動いてくれる姿勢と、機動力の高さはとても信頼できるもの。“顧客とともに、プロダクトをよりよく育てていく”そのカルチャーに、個人的にも惚れ込んでいる部分はあります」

Zoom Workplaceの各機能を今後さらに深く理解し、活用していく姿勢を見せる同社。生成AI時代にどう進化していくべきなのか――Web会議、電話、メール、カレンダー、チャットなどを組み合わせ、よりよい業務改善と事業成長につなげていきたいと岡田氏は意気込みます。

 

「Zoomプラットフォームに一元化することで、従業員も使いやすく、データ蓄積や連携も一層進む。このサイクルを生かしていけるよう、社内で多様な利用を推進していきたいですね」(岡田氏)

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取材協力:デジタル戦略室 赤塚昌平氏、山崎光一氏、岡田孝平氏、速水翼氏(左から)

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