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つながりの選択肢「Zoomで手話」。当たり前に手話言語を使える社会に。

全日本ろうあ連盟の「コミュニケーションバリアフリー」な共生社会の実現に向けた取り組みについてお話をうかがいました。
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更新日 February 21, 2022

公開日 February 21, 2022

Zoom
Moe Ishihara
Moe Ishihara

百年に一度というパンデミックにみまわれる中、ろう、難聴者の方はどのように困難に対処なさっているのでしょうか。全日本ろうあ連盟の「コミュニケーションバリアフリー」な共生社会の実現に向けた取り組みについてお話をうかがいました。

回答者:一般財団法人 全日本ろうあ連盟 本部事務所所長 倉野直紀様

Zoom によるコミュニケーションが役立った事例がありましたらお聞かせください。

全日本ろうあ連盟(以下「連盟」と称する)はいくつかの全国大会のイベントを毎年行っており、6 月の全国ろうあ者大会には 3 〜 5 千人、8 月の全国手話通訳問題研究会と共催のサマーフォーラムには 1 〜 2 千人が集まります。その他にも青年部、女性部、高齢部がそれぞれの全国大会を開催しています。ところが 2020 年度からコロナのためにほぼすべてのイベントが中止される状況となりました。また現在はオミクロンが流行っており、今年 6 月の全国大会の開催も危ぶまれているところです。手話は見る言語ですので対面が一番理想的なわけですが、それがままならないことに困りました。

しかし連盟の 1 年間の総括や会計報告、今後の活動方針などを決定する重要な評議員会の開催は必須です。昨年は Zoom で全国 47 の加盟団体それぞれの都道府県に評議員が集まってオンラインで開催しました。一昨年は、全国 4 箇所に分かれて同じくオンラインで開催しました。その他にも連盟の理事会、また加盟団体の役員会もオンラインで開催する事がありました。Zoom のおかげで本当に助かっています。

重要な会議をオンラインで開催できたとのこと。その際対面と比較して逆によかった点などはありましたか?

 これまで基本的に対面で行ってきたわけですが、実は地方など遠隔にいらっしゃる方が参加できない、また参加するにあたっての交通費負担などの問題がありました。最近は Zoom を利用することで、例えば担当者が集まる委員会に全国の仲間も気軽にオンラインで参加できるようになり、全国の仲間とのコミュニケーションのパイプが太くなったと感じています。

コロナ渦中、病院や自治体に連絡をとる必要がある場合など、お困りになっていることはありませんか?

 例えばコロナ感染の疑いがある場合、病院の予約や保健所に電話をする必要があると思うのですが、きこえない人は電話ができないので困っています。幸い昨年 電話リレーサービスが開始されましたので、以前に比べれば一歩前進したと感じています。また病院に手話通訳者が同行する際は、手話通訳者が 2 次感染にさらされるリスクもありますので、オンラインで手話通訳を利用するという選択肢もあります。

手話通訳者の遠隔サポートが可能な場合、病院側の体制は実際いかがですか?

 今のところ病院側の遠隔手話に対する理解は十分とは言えません。昨年連盟から日本医師会に対し遠隔手話通訳について理解を求める要望を出しました。病院内部で Wifi が使えればよいのですが基本的には一般に開放されていません。通信状態によって遠隔手話通訳の画面が不安定になってしまうリスクが課題となっています。

きこえない人ときこえる人をつなぐ手話通訳の現状について少し詳しくお聞かせ下さい。

現在手話通訳派遣は障害者総合支援法の中の福祉制度を利用することになっています。つまり事前に手話通訳者の派遣を依頼する必要があります。通常は日時を指定し依頼すると役所のコーディネーターが調整し決定、連絡がありますが、どなたが担当するかは分かりません。

緊急時や法律的な案件など重要な内容の場合通訳技術、安心感から普段から付き合いのある通訳者を指名をすることもありますが、通訳者の都合に合わせなければならなくなることもあります。また、感染リスク等で同行していただけない場合は遠隔手話通訳をお願いすることになりますが、やはり事前予約制になります。

また、行政の窓口で手話通訳が必要な場合は、行政によっては合理的配慮により民間企業の遠隔手話サービスを利用して対応するところもあります。

企業の民間サービスに関して、すでに公布され 3 年以内施行予定の障害者差別解消法改正に向けて企業は改善に取り組んでいると思いますが、具体的なご要望はありますか?

現時点で改正内容が決定していないのではっきりしたことは言えませんが、企業の合理的配慮は努力義務から法的義務に変わります。これが大きなポイントで、企業の中で働くきこえない人に対して、例えば会議や研修などで手話通訳をつけていただかなくてはならなくなります。現在コロナ渦中テレワークやオンライン会議が増え、十分な情報保障がないときこえない人が働くことが困難になります。手話通訳や要約筆記のサポートが必要で、このあたり企業にご配慮いただきたいと思っています。

店舗やレストランなどでも手話で対応してくれる機会が増えていると思いますが、いかがですか?

確かに手話が使えるレストランは増えてきています。しかしお店の方はマスクをしているので口元が見えず感情も読み取りにくく、コミュニケーションが難しいことがあります。やはりマスクを外した対面のコミュニケーションが理想的ですね。 

コロナ渦を機にオフィス業務、教育現場、行政サービスなどでオンライン化が加速しました。Zoom を初め、社会生活上コミュニケーション手段の選択肢が増えたことは想定外のメリットでもありましたが、特にどのような点で変化を感じていらっしゃいますか?

一つは、イベントや会議において地域バリアがなくなったことです。実際昨夏のサマーフォーラムはオンライン初開催となり懸念もあったのですが、過去最高の参加者数を記録しました。交通費も不要で、高齢の方や身体の不調がある方もどなたかに同行を頼む必要もなく、逆にそういう方こそバリアなくオンラインで参加しやすかったようです。コロナ過中身近な人とさえなかなか会えないものですが、遠隔の地域から Zoom で参加できることにより、遠隔の方の存在をより身近に感じることができました。

二つめは、企業からのヒアリングの依頼です。連盟は、以前は少なかったのですが、オンライン化をきっかけに様々な企業から取材の依頼を受けるようになり、オンライン会議の機会が増えました。Zoom を利用して企業と気軽に繋がることができるようになったと感じています。

倉野様ご自身がプライベートで Zoom を利用なさることはありますか?

今まではスカイプがありました。しかしスカイプは 1 対 1 で話すもので、相手もスカイプのアカウントを持っている必要があります。Zoomの場合、相手がアカウントを持っていなくともリンクを送ってそれをクリックしてもらうだけで済む、つまり、相手が IT に苦手意識を持っていても混乱することなく繋がることができます。そういった点で以前より簡単に連絡を取り合うことができるようになっていると思います。

「デフリンピック2025」日本初開催誘致活動中とのこと。その様子や開催に向けた展望、もしくは懸念事項などありましたらお聞かせください。

今年 5 月にデフリンピックがブラジルで開催されます。その閉会式で日本に引き継ぎをするイベントが組み込まれる予定です。しかしコロナの状況があり、どのタイミングで公表できるのか、そこを懸念しています。

国際大会となると国際手話通訳が必要になると思うのですが、通訳者が非常に少ないとうかがいました。その点何か対策はありますか?

現在国際手話通訳者の養成を始めていますが、ご指摘のとおりまだまだ人数は少ない状況です。実際ブラジル(カシアス・ド・スル)デフリンピックではブラジル国内の国際手話通訳者の養成に一生懸命取り組んでいると聞いています。

対策としては、2017 年トルコ(サムスン)デフリンピックでは各競技会場にビデオ電話を利用したオンライン国際手話通訳のシステムがありましたので、2025 年のデフリンピックでも外国人が泊まる選手村や各競技場をオンラインでつなぐ国際手話通訳のシステムが構築できればと思っています。

オンラインで国際手話通訳者につなぐというのは具体的にどのような方法でしょうか?

日本国内の国際手話通訳者は少ないので、選手村や各競技場に通訳をその都度派遣するのは難しい状況です。そこで例えば本部に国際手話通訳センターのようなものを設置し、本部と選手村、各競技場をオンラインでつなぐという方法になると思います。本部に国際手話通訳者が待機しているということです。

その際は Zoom をお使いになる予定でしょうか?

まずはデフリンピック日本開催の正式決定を確認しなければなりませんが(笑)、開催に向けてぜひオフィシャルにご支援いただけるとありがたいです。

最後に Zoom への今後の期待がございましたら忌憚なくお聞かせください。

個人的に感じていることですが、ほとんどのオンライン会議システムが障害者に使いやすい仕様にはなっているとは思えないのです。それでも中では Zoom が一番リーダー的な存在かと思いますので、今後もさらに企業努力を重ねていただきたいと思っています。また例えば災害の時、避難所ではメンタル的な支援が求められることがあります。そういう時こそ Zoom にサポートいただけることが大いにあると思っており、そこに期待しています。

技術的なことについては大きく分けて 2 点あります。まず遠隔手話に関して、連盟の情報コミュニケーション委員会から発表しているガイドラインというものがあります。「遠隔手話通訳」、これは厚生労働省の総合支援法に絡んだ制度となります。それとは別に民間の「遠隔手話サービス」があります。これらははっきり分けて考えなければなりません。連盟のホームページに掲載されていますのでご覧ください。また TTC(日本情報通信技術委員会)という組織が、システムによってサービスが異なると困るので、遠隔手話通訳について細かく規定しています。その規定が今後普及していけばよいと思っています。2 点目は Zoom に対する期待ですが、IT が苦手な人を連盟でもサポートしようとしています。「誰でも使える!」と思うような、心理的拒絶感を持たれないような雰囲気を作っていただければよいかと思います。そうすれば今後もっと普及していくのではないかと思います。またマイクのミュート機能ですが、そのオン、オフ、ハウリングなどはきこえない人には分かりません。きこえない人が使う時には不要ですので初めからそのように設定できる機能があればよいかと思います。最後に、発言者の表示についてです。連盟では会議のルールとして発言者は必ず手をあげ開始し、終了も明確に伝えることになっています。今 Zoom では音声に反応して話者が黄色い枠で表示されると思いますが、手話でも誰が発言をしているか分かるような機能がつくとよいかと思います。

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