Zoom Workplace

「オンライン Zoom ストア」でオンライン接客を実施し、新規ファン作りを加速させた今治タオルの IKEUCHI ORGANIC

今治のタオルメーカー、IKEUCHI ORGANIC株式会社では、新型コロナによる緊急事態宣言を機に、「オンラインZoomストア」を実施しています。今回は、Zoomを使用したオンライン接客とコミュニケーションの実践、ファン・ベース形成について、同企画に関わる3名の方々にお話をおうかがいしました。

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更新日 August 30, 2021

公開日 August 30, 2021

今治のタオルメーカー、IKEUCHI ORGANIC株式会社では、新型コロナによる緊急事態宣言を機に、「オンラインZoomストア」を実施しています。今回は、Zoomを使用したオンライン接客とコミュニケーションの実践、ファン・ベース形成について、同企画に関わる3名の方々にお話をおうかがいしました。
Moe Ishihara
Moe Ishihara

今治のタオルメーカー、IKEUCHI ORGANIC株式会社では、新型コロナによる緊急事態宣言を機に、「オンラインZoomストア」を実施しています。今回は、Zoomを使用したオンライン接客とコミュニケーションの実践、ファン・ベース形成について、同企画に関わる3名の方々にお話をおうかがいしました。 

回答者:

IKEUCHI ORGANIC株式会社 

代表 池内計司様

オンラインZoomストアスタッフ/ストアマネージャー 益田晴子様

広報/営業部部長 牟田口武志様

Q. 企画発案の背景と、企画内容を教えてください。

(益田氏)新型コロナパンデミックに伴う緊急事態宣言の一回目が発表された2020年の春先に、東京、京都、福岡の全てのストアを一時閉めることになりました。京都店も1ヶ月半ほど閉めることになり、「お店に立つ私たちができること、やりたいことはなんだろう?」と考え、結局私たちは「お客様に会いたいんだ」と気付きました。コロナ禍であろうが、お店が閉まっていようが、赤ちゃんは生まれてきます。弊社は、ベビー向け製品も多く、みなさん安心してお使いいただいているので、そういった方のお声に応えたい、お客様に会いたいと思いました。

もともと、京都、東京、今治本社を繋ぐために、Zoomで朝会は行なっていたので、Zoomの利用に抵抗はありませんでした。4月12日に京都のストアをクローズしましたが、その直前に代表の池内に、「Zoomを使ってお客様とお会いしたり、商品をご紹介したりできると良いのではないか」と相談しました。実行するのであれば、可能性のありそうな取り組みですし、きちんと社外に向けてご案内しましょうということで、プレスリリースも打ち出し、短期間のうちに準備をして、4月25日にはじめてオンラインZoom ストアをオープンしました。

初めの頃は手探り状態で、スケジュールを詰めるだけ詰めていました。1組につき1時間と考え、その中でお客様に商品をご説明し、お買い物を楽しんでいただくことを40分、その後 20分休憩してというスケジュールで、一日 5 組ぐらいからはじめました。初日は、いつも応援してくださっているリピーターさんに、「新しい取り組みをするので、練習用のセッションに入って欲しい」とお願いして、実施しました。

 

オンラインZoomストアスタッフ/ストアマネージャー 益田氏
オンラインZoomストアスタッフ/ストアマネージャー 益田氏

 

Q. 一回の接客で40分というとかなり長い印象ですが、実際の店舗での接客もその程度の時間で実施されているのでしょうか?

(益田氏)はい。初めてのお客様は1時間〜 2時間ぐらい滞在なさる方も。色々な品番のタオルを比べたり、試していただいたりということをしていますし、弊社のものづくりへの思いをお話ししていたりすると1時間ぐらい経ってしまいます。オンラインZoom ストアの時は、私がメインで、代表の池内がアシスタントとして入ります。池内は、ものづくりの目線からお話をし、私は全てのタオルを使用していますので、使用感や使用シーンのご提案をするということで、二人でタッグを組んでやっています。

Q. これまでの実施回数は?昨年4月25日から初めて、今まで継続していますか?

(益田氏)オンラインZoomストアは、常にオープンし、継続はしていますが、リアルなお店が開くと時間が限られてしまいますので、開催可能な時間を公表して実施しています。例えば、ゴールデンウィークなどステイホームが厳しくなりつつある時期に、オンラインストアでお買い物いただけますよということで、意識的に告知しています。

これまで、全国や海外からのお客様を含めて、160組ほどご参加いただきました。面白かったのは、先日、リピーターのお客様がお店にいらっしゃって、「これからここで友人に、Zoomを繋いでも良い?」とおっしゃって、Zoomを繋いだ先が、カリフォルニアの方でした。その方は、IKEUCHIの商品に興味があったが、オンラインストアでは商品を選ぶことができなかったということでした。 そこで、店頭のお客様と協力しスマホのカメラなども活用しながらZoomを通じて商品をご案内したところ、最終的にはタオルケットをご購入いただけました。 Zoomストアとしてきっちり予約を取って実施する場合以外にも、このような形で突発的に行うこともあります。また、来店されたお客様が、お母様にタオルケットをプレゼントしたいが、お母様とどの色が良いか相談したいということだったので、Zoomを繋いで実際にお見せし、選んでもらったこともありました。こうした、これまでは難しかったことをZoomを通じて実現できることが、新たな接客の可能性を広げるのはないかと社内では話題になっています。

Q. オンラインでの開催において工夫した点はありますか?

(益田氏)Zoomで参加される方はタオルを実際に触ることができないので、その点を工夫するように心掛けています。具体的にはタオルの柔らかさなどを、Zoomを通して画面越しにお見せしたり、メインのPCと別にスマートフォンからも繋いで、それぞれ商品の特徴をお見せしたりしています。画面を通しても、伝わることは多いと思います。あとは、私が手触りを画面でお見せしている間に、池内がものづくりの視点から説明をすることもあります。 店頭にいらっしゃるお客様はタオルを触っていただくことができますが、Zoomではもちろん出来ない為、「触りたい」と思っていただけるような伝え方を工夫しています。最初のうちは、お客様の反応を探ったり、テレビ通販をみたりしながら研究していました。スマホのカメラを使った工夫の一つとして、実際にお店に来店しているような臨場感を演出するため、お客様視点で入店してから店内を見ていただける撮影方法を行なっていました。

 

スマホのカメラも使い商品の特徴を説明
スマホのカメラも使い商品の特徴を説明

 

Q. オンライン開催でのトラブルは何かありましたか?一方で、オンラインならではの利点はありますか?

(池内氏)オンラインZoom ストアでのトラブルは特にありませんでした。買って違和感があったというお客様もいらっしゃらないようです。

(益田氏)返品率は、ゼロなんです。お店で触っていただいていないので、届くまでにワクワク感が増して、届いた時の感動がむしろ上回っているという状況もあるのかもしれません。「どんなものが届くんだろう」という気持ちで。また、コロナ前ですと、全国からみなさん京都店にいらっしゃっていましたが、コロナ禍で、遠方のお客様が移動できない時にお会いできるというのは利点です。色々な地域にいらっしゃるお客様が、家族やお友達同士で Zoomオンラインストアに繋いでくださるケースもあります。離れている家族が一緒に繋いでくださったり、お友達同士ですと、例えば友人のご出産祝いを3人で繋いで選んだり。

Q. お客様からの反応は?

(益田氏)オンラインZoom ストアを第一回の緊急事態宣言時に開催した際、ゴールデンウィークも重なっていましたので、ステイホームの方が多くご利用くださいました。参加後に、ツイッター等のSNSやnoteで、みなさん感想をたくさん書いてくださいました。中でも、あるお客様がいまだに読まれているnoteの投稿をしてくださって。結婚10周年のお祝いを、ダイヤモンドではなく、オンラインZoomストアを通じてタオルケットを選んでいただいたというものでした。本当に嬉しかったです。Zoomでも、IKEUCH ORGANICのメッセージや、私たちの製品に対する想いが十分に伝わっていると感じました。はじめたころは、毎回終わった後に代表と二人で、「どうやったらもっと上手く伝わっただろうか」とトライアンドエラーを繰り返して、反省をしていて。そんなふうに「楽しかった」と皆さんが言ってくださることが勇気になりました。

また、オンラインZoom ストアに参加された方々は、98 %が新規のお客様でした。初期は、ちょうどZoom飲み会が話題になり、Zoomに初めて触れられる方も多く、「一回試しにやってみようか」と、SNSを見て申し込んでくださるお客様も多かったように思います。

Q. オンラインZoomストア開始からこれまでの間に、内容をアップデートしましたか?

(益田氏)オンラインZoomストアを前提にお店を設計していたわけではないので、店内の一部にWi-Fiが届かないところがあったり、PCが古かったりと様々な課題がありました。まずはそういった部分を整えていき、その他も都度アップデートするようにしています。

Q 新しいことに挑戦するカルチャーがIKEUCHIにある?

(益田氏)「新しいことを思いついて口に出したら、その人がやってみよう」ということを、代表がいつも言っています。

(池内氏)やりながら、考えてるんです。

(益田氏)そうですね。やりながら考えています。あとは代表が、「やってみないとできるかどうかはわからないんだから、やってみよう」とよく言います。

 

代表 池内氏
代表 池内氏

 

(牟田口氏)代表からは他社がやっていることをやるなと言われます。「他社はこうだから」というと、よく怒られています。競合他社を見るのではなく、お客様がどのようなことを考え、行動しているかということを普段から店舗担当者含めて考えるように意識しています。 Zoomを活用した接客も、初期の段階で行いましたし、Zoomを活用したオンライン工場見学も今治では初開催でしたし、綿花を生産するタンザニアの農家のオンラインツアーも開催しました。それはなかなか他社ではできないことだと思います。コロナ前までは、工場見学を年に一回お客様向けに行なっていました。しかし、コロナ禍では、今治に来るのが難しくなってしまったため、それであればZoomでお客様を繋いで、実際に工場でのものづくりを見ていただきたいということで開催しました。トラブル等もありましたが、それを乗り越えてたくさんのことをお客様へお届けできたと考えています。

(益田氏)当日はZoomから他の配信サービスに繋ぎ、お客様へ配信しようとしていましたが、他の配信サービスにトラブルがあり困り果てていました。そんな時に、IKEUCHI ORGANICのファンが運営しているコミュニティ「IKEUCHI ORGANIC部」の方から、私たちの配信サービスを使ってくださいと連絡があり、なんとか配信することができました。こうしたファンの方が多くいらっしゃるのも弊社の特徴の一つです。

 

タンザニアオンラインツアーも開催
タンザニアオンラインツアーも開催

 

Q. そもそも、お客様が自主的にIKEUCHI ORGANIC部を作っていらっしゃることもすごいですね。

(池内氏)そうなんです。どこのストアも1ヶ月半に一度ぐらいイベントを実施しているのですが、コロナ禍で開催できなくなったので、その代わりにというような形で。一般のお客様向けにZoomを使って交流を始めた時に、IKEUCHI ORGANIC部の方からも私たち向けにもっと濃い内容のものをやってほしい!という声もあがっていました。

(益田氏)店舗では、月に一回程度、オーガニックなどのトピックについてお話ししています。お店に50人ぐらい入ることができますので、コロナの前は様々なゲストの方をお呼びして開催していました。現在はオフライン開催が困難なので、Zoomでイベントを行っています。オンラインでも、トークイベントの後には、お買い物タイムも設けています。これまでリアルにお会いしていた方は、そのような形でコミュニケーションを継続していますし、今までオフラインのお客様のつながりだったのが、オンラインでZoomを使うことによって、さらに交流できるようになりました。今までは京都ストアだったら京都にいらっしゃるお客様だけの参加でしたが、オンラインのイベントでは全国のお客様が交流できますので。お客様のZoom飲み会にお邪魔するようなこともあります。一つのコミュニティの集まりで、IKEUCHIの製品や会社についての話を聞きたいからということで、お呼びいただいて、そこに集まっているみなさんがそれぞれお買い物を楽しんでいただくようなケースもあります。

Q. 飲み会に呼ばれるほど、お客様の懐に入り込んでいる秘密はなんでしょう?

(池内氏)私たちの場合、元々お客様との距離が近いブランドだと言えると思います。コロナ禍であってもやはり近くにいたいという気持ちが伝わり、オンライン上でも近くにいるように感じてくださっているのではないでしょうか。

(益田氏)「すぐに会える感じ」、ですね。オンラインZoom ストア以外でも、京都店に実際にお客様が来店された際にもZoomを使って代表に繋いだりしています。そうするとお客様も今治が近くなるんですよね。そしてとても喜んでくださいます。

( 牟田口氏)様々な会社がZoomを活用していると思いますが、私たちの場合、もともとお店があってそこにファンの方がいらっしゃったということが大きいのかなと思います。さらに、誰でもオンライン接客ができるのかというとそうではなく、益田もそうですが、私たちは今治タオル工業組合が定めた「タオルソムリエ資格」を持ったスタッフが40分でも1時間でもタオルについて説明できる商品知識を持っていますし、お客様の視点で考えるカルチャーがあったからこそ、Zoomを活用してお客様との接点作りができたのではないかと思います。実は、このオンライン接客を実施する前は、オンラインではお客さんとの接点作りは難しいと思っていたんです。リアルの接客には敵わないと思っていましたが、オンラインオフライン関係なく、お客様と真摯に向き合ってコミュニケーションを取ることによって関係作りができることを強く学びました。

(益田氏)コロナ禍でお客様に会えない時の辛さが、Zoomによって本当に救われたので、感謝しかないです。初めの頃、Zoomでのお客様への接客に慣れてない時は、一日終わる度に、「画面を通してどこまで伝わっているのだろう?どうやって伝えたら良いのだろう?」の繰り返しでした。Zoomオンラインストア終了後に、Zoom飲み会の画面などを見ると、もう疲れてしまったりして。でも今は、自分の心が1年間でどんどん変化して、体験してくださるお客様とも「店頭と同様にコミュニケーションが取れるツール」という認識に変わってきていると思っています。リアルと変わらないくらいコミュニケーションが取れるツールになっていて、ありがたいです。

 

タオルについて1時間は説明できる豊富な知識を持つ
タオルについて1時間は説明できる豊富な知識を持つ

 

Q. 今後の予定は?

(池内氏)これまでのオンラインZoom ストアで、今治本社側は代表の私が話すだけでしたが、お客様から「動いている織機が見たい」、「職人さんの声が聞きたい」など、どんどんご要望をいただきますので、対応できるようにしたいと思います。お店はスマホで撮影できますが、本社側はそういうわけには行かないので、 工場内にビデオカメラを設置し12月ぐらいには面白いコンテンツをお見せしたいと思っています。

昨年は新たなチャレンジとして、オーガニックコットンを生産しているタンザニアとお客様を繋ぐイベントをZoomを使って行いました。実施タイミングが既に綿を取った後だったので、次回は綿を摘んでいる時に繋げないかを模索しています。こうした製品生産の工程の中に携わってくださっている方やその作業をリアルタイムでお客様に見ていただけるような取り組みも考えていきたいと思います。

(牟田口氏 )今後の展望としてグローバル対応はしていきたいです。まず、英語対応で多くの国で見ていただけるので。今でも、海外との取引は10カ国以上行っていますが、 Zoomを活用して新たなチャレンジや様々な取り組みを行い、海外の方にももっとIKEUCHI ORGANICを知っていただけるような活動をしていきたいと思います。

 

タオル工場をつないだコンテンツにも期待
タオル工場をつないだコンテンツにも期待

 

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