教育機関

Zoom は 学習の個別最適化の重要なインフラ。最先端の教育環境でドルトンプランの実現へ。

コロナ禍をきっかけに Zoom でフルオンライン授業に切り替え、学びを保障。その後も Zoom と共に進化を続け、今や ICT 活用で教育界の最先端を走るドルトン東京学園中等部・高等部に話を聞いた。
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更新日 April 19, 2023

公開日 March 09, 2022

Dalton Tokyo

【ヒアリング協力】ドルトン東京学園校長 荒木貴之様、副校長・入試広報部長 安居長敏様

 

 教育メソッドであるドルトンプランは約 100 年前にアメリカで生まれ、数年後には大正自由教育運動の真っ盛りの日本にも導入。自由と協働を掲げ、当時からすでに学習の個別最適化を提唱していた。そのドルトンプランを現代の日本で実現すべく 2019 年に開校されたのが、ドルトン東京学園中等部・高等部である。

コロナ禍をきっかけに Zoom でフルオンライン授業に切り替え、学びを保障。その後も Zoom と共に進化を続け、今や ICT 活用で教育界の最先端を走るドルトン東京学園中等部・高等部に話を聞いた。その後も Zoom と共に進化を続け、今や ICT 活用で教育界の最先端を走るドルトン東京学園中等部・高等部に話を聞いた

学校教育は、時代の最先端を意識しなければならない

BYOD (Bring Your Own Device) で生徒は自由にデバイスを持ち込み、授業は Zoom、学習の進捗管理は クラウドのLMS (Learning Management System) を活用。教員が行った生徒への対応についてはチャットツールで即座に教員全体へ共有することで、一人の生徒を全員でカバーをする。その結果、組織全体としての判断も非常に早くなる。そのような話を聞くと、学校というよりむしろ外資IT企業やスタートアップ企業の話を聞いているような印象さえ受ける。

生徒たちが社会に出るとき、テクノロジーは今よりずっと発展しているという前提から、生徒達の将来を保証するため最先端の ICT を教育現場に取り入れていると話すのはドルトン東京学園中等部・高等部 校長 荒木貴之氏。新しい手法やツールを積極的に取り入れ、個別最適化された学びを生徒は体験する必要があると考え、学校運営においても固定観念を持たずに、常に変化する姿勢を持ち続けているという。

様々な場面で活用される Zoom のサービス

2020 年 4 月コロナ禍での緊急事態宣言を機に Zoom によるフルオンライン授業を実施し、生徒に学びを止めない環境を提供開始。現在(2022 年 3 月時点)は通常の対面授業に戻っているが、自然災害や交通機関の不具合、あるいは体調などによる理由で生徒が教室まで来られない場合、生徒の主体的な判断でオンラインでも授業に参加できるようハイブリッド型の授業を実施、引き続き Zoom による配信体制は整えているという。

授業以外では、毎朝の教員ミーティングは Zoom Meetings 、保護者会は Zoom Webinars を利用。入試前の学校説明会では、体験授業についても Zoom で実施。

「理科の教材を事前に参加者の自宅に配送し、実際にオンラインで授業を受けてもらったのですが、カメラを増設した教師の手元もよく見え好評で、入試広報的にも Zoom を活用できました。」

副校長・入試広報部長 安居長敏氏

また、帰国生入試での面接、保護者主催による 米国ニューヨークのドルトン校保護者との勉強会でもZoomを活用。2022年2月に生徒主導によって開催された「Dalton Expo 2021」では、探究学習の成果発表や講演会をすべてZoomで配信した。続く3月に実施された中等部修了式ではアイルランドやアメリカなど、海外に留学中の生徒も、Zoomで修了式に参加した。このようにドルトン東京学園では生徒、教員、保護者が同じレベルで広くZoomを使いこなしているという。

新しい取組を導入することで教員・生徒間でお互いに学び合う関係性が強化

コミュニケーションインフラとしてZoomが採用される以前には当然、他の同様のクラウドサービスと比較検証がなされたが、「操作性の良さ、サービスへの接続性、画質、音質において Zoom が一番安定していた」(安居副校長)ことで全校利用することにつながったと話す。

使い始めのころは、Zoomの操作に教員達も慣れていないこともあり、教員同士で教え合ったり、時には生徒から教えてもらったりしていたとのこと。これにより、図らずも教員・生徒間で互いに学び合う関係性が強化されることになったという。

また、実際にオンライン授業を実施・運用するにあたり、生徒からリアルタイムで評価されている感があるため、生徒の反応を確認しながら教員側も試行錯誤をしていたと荒木校長は振り返る。そこで、荒木校長からは、通常 45 分の授業を15〜20分の内容に集約し、残りは質問対応、協働作業に当て、ネット上の優良なコンテンツも使って良いと教員へ指示。実践した教員達からは、授業内容は 2、 3 に焦点化できるとわかったと貴重なフィードバックがあった。

そして、フルオンライン化後すぐに Zoom 授業について保護者にアンケートをとった際にも、 93% が満足との回答も得られ、結果的にオンライン授業はドルトン東京学園の目指している学習の個別最適化にとって追い風となった。

生徒側においても、授業を受けるのはデバイスさえあればどこからでも可能となったことで、状況に応じてリアルとオンライン授業を主体的に選択しながら学びを止めることがなくなった。学外に目を向ければ、海外の学校との教科の枠を超えたコラボ授業、他校の生徒会との交流、生徒企画の英語のプレゼンコンテストなど、学びとコミュニケーションの場はより一層広がってきている。

オンライン授業への「壁」を越えるには

オンライン授業に関して、まだ法整備が整っていないという声もあるが、ではこの点ドルトン東京学園ではどのように対応しているのだろうか。

「教員がオンライン授業をする場合、文部科学省の規定に準じた「授業」を成立させるためには、同じ教科の他の教員が教室にいなければなりません。生徒が授業を遠隔で受講するのは問題ないのですが、教師が教室にいなければならないという点は今後法整備が求められます」(荒木校長)

また、全日制高校では基本的に通信制の授業は単位認定を受けられない。しかし留学やオンライン講義など学外の学びに関しては、校長の裁量で高校の卒業に必要な 74 単位のうち 36 単位までは認定される。

「例えば、学習の進捗状況が著しく良い生徒が大学の講義を受けたら単位認定することも可能です。『できる』生徒を先に進ませる、そのために遠隔でも参加できるオンライン授業は必要不可欠です。そのような距離と時間を超える教育への可能性を秘めているのがまさに Zoom だと思っています」

ドルトン東京学園中等部・高等部 校長 荒木貴之氏

より進化した授業と学校運営における具体的な効果

一時期コロナウイルスの感染状況が落ち着き分散登校になった際、英語科よりオンラインでの授業継続の要望があったという。オンライン授業の場合、各生徒が全員最前列にいるかのように認識でき、マスクも不要のため口の動きもしっかり確認ができ、ブレイクアウトルームではピア・ラーニング(学習者同士が互いに協力しながら学び合う学習手法)もできるというメリットからだった。ここでの発見は、オンライン授業は対面授業の代替ではなく、ベテランの教員にとっても授業の幅を広げられる有効な、進化の手段であること。

また対面授業では消極的な生徒がオンラインではチャット で発言するようになるなど、Zoom の機能も授業に応用できるとわかった。
「今や動画、音声を AI で分析できます。Zoom 上の授業であればリアルタイムで分析できるため、将来的にはデータを蓄積しアルゴリズムの解析をすることによって学びの精度を上げられると考えています。本校では授業分析においてさらなる進化に取り組む予定です」(安居副校長)


また、コロナ禍でも Zoom で学びの保障をいち早くできたことにより、受験者数も如実に増えているとのこと。
「外部の教育関係者向けのセミナーなどでは学校の事例をオンラインで広く発信できるようになりました。また、個人として文部科学省から委嘱を受けているICT 活用教育アドバイザーの立場としても、GIGA スクール構想の実践への参考として全国から多くの問い合わせをいただいています」(荒木校長)と、外部からのドルトン東京学園への評価も確実に高まっている。

100年かけて実現する「学習の個別最適化」、そして新学習指導要領に向けて

GIGAスクール構想により学習者用端末の整備が進み、教員免許取得には ICTや教育データを利活用する能力が必要となるなど、全国の教育機関の現場では環境が激変していく中で試行錯誤が続いているが、ドルトン東京学園としてはこの先、何を見据えているのか。

「本校は 新設校として新しい取り組みを率先して行うべきだと自覚しており、ICT 活用においても先端を走り、他校の参考になればと常に考えています。そのなかでZoom は重要なインフラと捉えています。例えば過疎化、少子高齢化が進む地域の学校は都心の学校と一緒にオンラインで学べます。そのためには学校間でアライアンスを組み単位交換を認め合う必要がありますが、近い将来、どの学校を出たかではなく、どのような学びをしたかが評価されるシステムになると思っています。教員も特定の学校に固定化されず、自分のスキルを活かしていけるようになるでしょう。」(荒木校長)

文部科学省が新しい学習指導要領で実現すべき教育の姿として描いた「個別最適な学び」は、ドルトンプランが目指してきたことそのもの。ドルトン東京学園の実践は公立の中学校・高等学校においても十分に参考となるはず。

荒木校長はこう続けます。「100 年前の日本の 70 人学級ではうまく実践できなかったプランが、現代のドルトン東京学園の25 人学級で、 ICT で個別の学習進捗状況を関係者全員で把握しながら、ようやく実現ができるようになったと感じています。正直 Zoom がなければここまでたどり着かなかったでしょう。またOECD による教員研修についての調査によると、日本は教員研修のオンライン化が進んでいないそうです。今後実際に研修で Zoom を使い、良い授業は公開し、学校間で共同研修を進めることに意義があると思っています」

今後の構想について

ドルトン東京学園では現在、多様な省CO2技術を採用した環境配慮型の新校舎として、2022年9月竣工予定でZEB(Net Zero Energy Building)・STEAM校舎を建設中。この新校舎でもZoomは活用されることになるが、STEAM教育を実践するクリエイティブな学習空間を生徒に提供するうえで、大型モニター・タッチパネル一体型デバイスのZoom Rooms を活用することも構想しているとのこと。

最先端の環境で学び続ける生徒たち、そして探究心溢れる教職員によるドルトンプラン実現への挑戦を今後も注目していきたい。最先端の環境で学び続ける生徒たち、そして探究心溢れる教職員によるドルトンプラン実現への挑戦を今後も注目していきたい

関連リンク:教育機関向け Zoom ソリューションについて

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