
AI が顧客サービスのやり取りにおける収益と効率性の向上を支援する仕組み
顧客体験における AI の革新的なインパクトを実証する、専門家のインサイトやデータをご確認いただき、エンゲージメントを強化して、企業の収益を高めましょう。
顧客体験における AI 連携を成功させるための、段階的な CX リーダー向けガイドです。
更新日 March 31, 2025
公開日 March 06, 2025
CX AI のハウツー シリーズ第 2 弾では、この新時代における AI の導入とエージェントのスキルアップを軌道に乗せるための主な方法をいくつか見ていきます。
2024 年が終わりを告げ、新たな年も AI の荒波は続きそうです。コンタクト センターにおける生成 AI の導入が始まったばかりだと思っていたら、すでに次なる AI の波、AI エージェントが登場です。今は、一度基本に立ち返り、次の AI の冒険に出かける前に土台を固める絶好の機会です。AI をすばやく実装するようプレッシャーがかかる中で、計画を立てている暇などないと思うのも無理はありませんが、その考えは裏目に出る恐れがあります。欲求不満のエージェントや経営幹部からの厳しい言葉は、とりあえず脇に置いておきましょう。今後に向けて私たちがサポートします。
今回はまず生成 AI と AI エージェントの違いを確認するところから始めます。次に、ビジネスにおける AI の導入とスキルアップに関する実用的なステップをご紹介します。結局のところリーダーシップやエージェントからの賛同を得られなければ、AI 導入プロセスは軌道に乗りません。さらに AI を導入することでエージェントのロールは否が応でも変化します。そのためエージェントのスキル向上と、期待される高品質なサービス提供を実現するための励ましと必要なリソースの提供が重要になります。
生成 AI(GenAI)と AI エージェントは、2 つの異なる人工知能のタイプです。それぞれ独自の特徴と応用分野があり、主なテスト向けスペースとして CX は最適です。
生成 AI の主な仕事はコンテンツ作成です。テキストや画像、音楽を、入力プロンプトに基づいて作成します。幅広いデータセットから抽出することで、人間の創造性を再現することを目的に、膨大な量の出力結果を生成します。CX の世界での活用事例としては、顧客とのやりとりの自動要約、通話メモの生成、ナレッジ管理システムからの重要な情報の取得があります。生成 AI がうまく機能するかどうかは、人間の入力とプロンプトの品質に大きく左右されます。
一方 AIエージェントは、人間の介入を最小限に抑えながら具体的な目標を達成するための、自律的な意思決定と行動のために構築されています。AIエージェントは先見性とインテリジェンスを備えており、計画、推論、動的な環境への適応が可能です。過去から学習し、人間の発達に似た自律的な成長を促進できます。AIエージェントは、いくつかの理由からCX環境に波紋を広げています。
いくつか例をあげると、AI エージェントはプロアクティブなオムニチャネル顧客体験を向上させる可能性を秘めており、チャネル全体の顧客ニーズを予想して、エスカレーションが必要になる前に対処します。自律的に学習し実行する能力があるため、バーチャル エージェントはよりパーソナライズされた「常時接続」サービスを提供する可能性もあります。AI エージェントは導入後の人間の介入がほとんど必要なく、リアルタイム データやフィードバックを基に意思決定を行います。
AI エージェントの時代に向けて Zoom がどのように準備を整えているか、詳細をご覧ください。
AI の効果的な導入に向けて CX リーダーがとるべきステップについて、最近の Zoom 働き方改革サミットで、Zoom のグローバル コンタクト センター ソリューション エンジニアリング責任者である Amy Roberge がセッションを主催し、AI インテリジェンスと自動化の専門家である Pascal Bornet 氏と PwC の CEO アドバイザー兼ワークフォース トランスフォーメーション プラクティス リーダーの Anthony Abbatiello 氏にお話を伺いました。その内容をご覧ください。
AI に限らず、新しいテクノロジーが時代を超えて生き残るには、経営幹部の賛同が不可欠です。ほとんどの企業で、このような大規模プロジェクトの成功を左右する要因になるのが、経営幹部が関与する度合いです。
まずは、会社の経営幹部が AI 投資の資金調達をサポートしていることを確認します。次に、社内チームの AI イニシアチブを支持してくれるよう依頼します。経営幹部自身も日々のロールの中で AI を使用し、模範を示してもらえるのが理想です。最後に、AI がビジネスにもたらす可能性のある価値と影響を、明確に伝えるよう依頼します。このコミュニケーションで大事なのは AI を単なるテクノロジー ツールではなく、組織のアセットとして捉えることです。
経営幹部の賛同を確約するという 1 つの行動を起こすことで、AI の導入が長い目で見て非常に楽になります。ビジネスに新しいテクノロジーを導入する際に生じることのある障害を乗り越えるためには、こうした経営幹部のサポートが役立ちます。そして第 2 のステップへの足がかりになります。
経営幹部の賛同を得ることに関連して、AI に関して従業員との信頼の文化を醸成することも重要です。つまり従業員が持っているであろう懸念事項に対処するということです。従業員が不安に感じるのはデータのセキュリティやプライバシーに関してだけではありません。AI が自分の仕事を奪うのではないかというリアルな不安が多くの従業員を襲っています。
従業員から信頼と安心を寄せられなければ、AI の導入など単なる夢物語になってしまいます。AI は仕事を奪うものではなく、AI があることでどれほど生活が楽になるかを伝えることが鍵になります。AI 導入の目的は、従業員を業務から追いやることではなく、従業員の業務効率を向上させ、最善を尽くすサポートをすることです。
リーダーや AI 導入チームのメンバーは、ガバナンス、コントロール、責任ある AI フレームワークに関する透明性を提供し、AI の役割は業務効率化ツールであることを実証する必要があります。そのために必要な信頼を得るには、AI 導入の初期段階からあらゆる業務や役職に就いている従業員を関与させるのがよい方法です。その際に AI が生み出す新しいスキルや成果を提示し、AI 主導のワークフローが従業員全員にとってどれほど役に立つかを紹介することを含めます。さらに定期的なトレーニングを実施すれば、従業員の不安を払拭するのに役立ちます。それが第 3 のステップにつながります。
AI トレーニングに関しては、1 回限りでは役に立ちません。AI が常に進化しているように、社内の AI トレーニング プログラムも進化が必要です。そのため、AI がもたらすすべての利点をチームが十分把握できるような、継続的で魅力的なトレーニング プログラムを作成することで、組織に AI が根付くチャンスを高めることができます。土台が固まったら、AI の学習は、すぐに陳腐化してしまうであろう具体的なテクノロジー機能に焦点を当てるのではなく、適応型の成長マインドセットを中心に行うべきです。
現代人は TikTok 世代なので、トレーニングの形式も短くてサクサク進む、シンプルなものがより効果的です。従業員が本当に理解しやすいことが重要です。実社会での活用事例を見せるのも、チームが AI のさまざまな活用方法を把握して適応するためには有益です。今いる場所で学習できるようにし、概念教育と実験のためのアプリケーション環境を組み合わせます。また、PWC の CEO アドバイザーである Anthony Abbatiello 氏の本の内容を手本に、ビジネスで「プロンプト パーティー」を始めるのもよいでしょう。Abbatiello 氏が Zoom のセッションで以下のように共有してくださった内容です。
PWC では、AI 学習を充実させるために「プロンプト パーティー」とよばれる集いがあります。ビジネス全体のさまざまなプロフェッショナルが集まり、学習内容について、クライアントと何を使用したか、社内で何を使用したか、自分の業務で何を使用したかなどを話し合います。これによってさまざまな学習環境が生まれます。
AI が効果的に機能するためには、適切に AI が導入されるよう引き続き舞台裏で人間が介入する必要があります。そこで最後の第 4 のステップに進みましょう。
CX AI の導入プロセスを通して重要なのは、自動化と人間のインタラクションの適切なバランスを見つけることです。カスタマーケア業務にあたるうえで人間らしさはやはり欠かせません。実際、Zoom が Morning Consult に委託した最近の調査によると、アンケート参加者の 85% はエージェントの対応が丁寧であることに期待し、82% はエージェントに専門性があることに期待しています。つまり AI を導入したからといって人間らしさをなくすのではなく、エージェントに AI サポートツールを提供して業務効率を高めることが重要なのだということがわかります。
最初のステップとしては、通話後の作業など反復的なタスクを自動要約や自動文字起こしを使って自動化することが AI のロールだということを強調するのがよいでしょう。これにより時間が生まれ、従業員とエージェントは差別化された体験に集中できます。適切なバランスをとるため、エージェントはより複雑な問い合わせに対応するための知識だけでなく、耳を傾け、応答するスキルも備えていることを確認する必要があります。
AI 自動化のエキスパートである Pascal Bornet 氏は、Starbucks が人間らしさによって差別化を図っているよい例を共有してくださいました。
コーヒーの提供を自動化できることは誰もが知っています。ですが Starbucks では、お客様一人ひとりのためにコーヒーを淹れることでビジネスを築き上げてきました。コーヒーを手で注ぎ、お客様の名前をカップに書いています。こうした関係性が基本的に Starbucks の差別化要因です。コーヒーの味ではなく、関係性です。誰もがこぞって足を運ぶのは、それが理由です。
この Starbucks の事例は、タスクの自動化が重要だとしても、タスクによってはクライアントへのコアバリューを提供しており、そこは自動化すべきでないことを示しています。AI が当たり前になる将来、企業が際立つために大切なのは、いかにしてカスタマー サービスにおけるテクノロジーと人間らしさとのバランスをとるかです。
新しいテクノロジーの導入は大変に感じるかもしれませんが、これまでと同じ使い慣れたプラットフォームを誰もが使えるとなれば、話しは簡単です。AI ファーストの Zoom CX ソリューションは、お客様のニーズに基づいて馴染み深く使いやすい Zoom Workplace プラットフォームに構築されています。AI 導入プロセスに着手したばかりでも、軌道に乗ってきている場合でも、Zoom CX はさまざまなタッチポイントでシームレスにビジネスをつなげ、エージェントを強化して、顧客向けの統合体験を提供します。
組織全体に AI Companion を導入する方法の詳細は、段階的に案内する AI 導入ガイドをご覧ください。
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