全庁的なコミュニケーション基盤の中核に

チャットも含めたテレワーク支援で DX 推進の基盤として採用された Zoom

全庁的なコミュニケーション基盤の中核に
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県庁所在地:

埼玉県さいたま市浦和区高砂 3 丁目 15 − 1

業界:

自治体

課題:

庁内コミュニケーションの活性化が議論されるなか、ペーパーレス化やテレワークによる働き方改革などを推し進めるべく、新たなコミュニケーション環境への移行が急務に。

導入成果:

1 万 2000 人ほどの全職員が利用するコミュニケーション基盤として Zoom Meetings 、Zoom Team Chat を活用し、テレワークの推進など DX 化に向けた環境整備を実現。意思決定の迅速化はもちろん、旅費や会場使用料の大幅削減にも貢献。知事室にはZoom Rooms を導入、いつでも情報発信できる環境を整えることにも成功している。

導入パートナー:

NECネッツエスアイ株式会社

導入ソリューション

関東および中部の各自治体と隣接し、海岸線を持たない内陸県の 1 つとして都道府県別では全国 5 位の人口を誇っている埼玉県。首都圏を構成する自治体の 1 つでありながら、荒川・利根川の二大河川や長瀞といった清流など水辺空間に恵まれ、首都圏有数のアリーナや鉄道博物館、東武動物公園など観光スポットが数多く点在しています。また、四季折々の色彩豊かな自然に恵まれ、“彩の国”という愛称を持っています。“彩”は、いろどりや美しさを表す言葉で、産業、文化、学術などさまざまな分野で発展する多彩な国、埼玉県を表現しています。

 

そんな埼玉県では、政府が進める世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画に基づいた ICT 戦略として、行政手続のオンライン化など県民や事業者のサービス向上を図るとともに、行政のデジタル化を実現するべく「埼玉県デジタルトランスフォーメーション推進計画」を令和3年3月に策定し、取組を進めています。庁内だけでなく、地域を含めたデジタル化を推進することで住民や県内事業者が恩恵を得られるような施策を推進。なかでも、行政事務のペーパーレス化やAI ・ RPAの活用 などデジタルを切り口とした行政改革を主導しているのが企画財政部 行政・デジタル改革課です。

 

特に、デジタル技術を活用したコミュニケーション環境整備の重要性については、少ない費用で大きな効果を上げる「費用対効果」を徹底的に追及し、「最小・最強の県庁」を目指した「埼玉県行財政改革プログラム 2017 – 2019 」にて議論され、Web 会議ソリューションを含めたさまざまなトライアルを行ってきた経緯があります。その後 COVID-19 を経験する過程で庁内のコミュニケーション基盤の整備が急務となり、新たにZoom Meetings や Zoom Webinars、Zoom Rooms をはじめとした Zoom ソリューションが採用されています。

クラウド活用を前提に、働き方改革に資するコミュニケーション環境の整備が急務に

2016 年に議論が進められた庁内コミュニケーションの活性化施策のなかで、ICT 技術を活用して時間や場所にとらわれないリアルタイムコミュニケーションが重要とされ、フリーアドレス環境の整備や Web 会議ソリューションおよびチャットツールの導入などが検討されてきました。その後、COVID-19 の影響でDX化推進の動きが加速、行政事務のデジタル化に向けてペーパーレス化やテレワーク推進に向けた具体的な要件の 1 つとして Web 会議ソリューションの導入が計画されたのです。

 

元々埼玉県では、円滑な行政業務推進に向けて、クラウドバイデフォルトの原則に基づき柔軟にクラウドを活用できる環境整備を進めてきました。結果として、三層分離におけるβ’モデルで運用されることとなったその環境を生かしたうえで、費用や環境整備、運用面はもちろん、最新機能が利用できるクラウドのメリットを最大限享受すべく、外部とのコミュニ―ションが円滑に実施できるWeb会議やチャット、ウェビナー環境も含めたソリューションを検討することになったのです。

 

「チャットを含めた機能要件はもちろん、エンドツーエンドの暗号化や利便性を高める IDaaS 連携など、セキュリティ要件を重視したうえで、使い勝手のいいものが求められました。それらを調達要件として、総合評価による入札を実施したのです」と語るのは、企画財政部 行政・デジタル改革課 DX 推進担当 上田 真臣氏です。

 

複数企業が応札するなかで、総合評価の高かったのが Zoom ソリューションでした。

そこで、ペーパーレス化やテレワークなど働き方改革の促進や新たな価値創造につながるデジタル施策の一環として、DocuWorks や Box によるペーパーレス化や Okta による認証基盤の強化に向けた IDaaS 導入とともに、庁内全体のコミュニケーション基盤としてZoom ソリューションが導入されることになりました

全職員 1 万 2000 人のコミュニケーションを支える Zoom、Zoom Team Chat も積極的に利用

現在は、非常勤を含めた職員を中心に 1 万 2000 人ほどが日常的に利用するコミュニケーション基盤となっています。県がホストとして会議を主催する場合には外部との接続を許可するなど、権限制御できる環境で利用できるようセキュアな運用にも配慮しています。また、新たなコミュニケーション手段として Zoom Team Chat を活用しており、Zoom Team Chat 内のステータス状態をきちんと更新することで、相手の状況に合わせたコミュニケーションを心掛けるようにするなど、チャットが業務に欠かせないツールとして運用が浸透しつつある状況です。

 

「職員一人ずつにアカウントを配布しているからこそ、チャットを使って気軽なコミュニケーションが実現しています。絶対知っておいてほしい情報については、チャットのアナウンス機能を使うことで、メンテナンス情報などが一斉通知可能です。メールに比べて確実に周知徹底できることも大きな魅力です。」(上田氏)

 

具体的な活用については、日々行われてている日常的な部門内の打ち合わせはもちろん、同じプロジェクトを進めている庁内の担当者同士が行うミーティングやオフィシャルな会議、市町村との会議や民間企業をはじめとした外部パートナーとの打ち合わせなど、さまざまな用途に Zoom Meetings が活用されています。また、事業者や県民に対しての各種説明会を実施する際には Zoom Webinars を活用している状況です。定期的に実施される埼玉県新型感染症専門家会議など時流に合わせた用途をはじめ、オンラインで開催する知事の記者会見の中継などにも Zoom が活用されています。職員向けの研修や市町村担当者向けの説明会などでは、500 名を超える人数が Zoom に参加することもあるほどです。

 

今回のプロジェクトとは別に、知事室には Zoom Rooms が設置されており、スマート知事室として会議参加や情報発信の環境として Zoom が活用されています。

 

「以前から知事がリモートで執務できるよう、会議室設置型の Zoom Rooms が導入されていました。全庁的な環境として同じ基盤のなかで管理できているため助かっています。」(上田氏)

 

IDaaS 連携により、シングルサインオンの実現はもちろんのこと、組織・職員の情報を管理するLDAPサーバーと連携し、職員の人事異動時にもZoomのアカウント管理を自動化するなど、Zoom 管理機能もうまく活用しながら円滑なコミュニケーション環境の整備に余念がありません。

 

新たな環境を整備したことで、テレワークやペーパーレス化の土台がしっかりと構築でき、DX 推進に向けた環境が整ったことになると説明します。

 

「テレワークの推進は、Zoom なしでは語れません。もともと対面でやっていたことが Zoom にスムーズに置き換わり、在宅勤務であってもそん色なく業務が継続できているのは Zoom のおかげといっても過言ではありません。昔に比べてよくなった方向しかない。」(上田氏)

 

また、緊密な意思疎通により意思決定が早くなり、住民サービスも含めて迅速な対応が可能になったと評価します。

基本的な導入運用支援はパートナーが実施しているものの、ライセンスの使用状況など全体を把握したうえでパートナーとともに支援を続けた ZVC JAPAN に対しても高評価です。「何かあればインテグレータに対応いただけていますが、日本に拠点があることで直接改善について相談することも。しっかり我々の環境を支えていただいて感謝しています」と上田氏は評価します。

Zoom にて管理負担の軽減を進めながら、Zoomの更なる活用を模索

今後については、業務用メールアドレスで個別に Zoom を登録していたユーザーに対し埼玉県が管理するテナントへの参加を促す、セキュリティ設定を一元化する関連ドメイン機能や Zoom のユーザーグループとチャットグループを統合していく IM 管理の機能など、 Zoom が新たに実装してきた機能を利用して管理効率を高めていくことを計画しています。

 

「事業者に対する相談窓口となる外部の予約システムがあるのですが、このシステムと Zoom を API で連携させることで、予約段階で自動的に会議 URL を払い出すような仕組みも検討しています。できる限り手作業による処理を自動化させていくことで、業務の効率化を更に進めていきたい」。外部サービスとZoomが連携できる部分は積極的に進めていくことで、住民サービス向けの DX にもしっかり取り組んでいきたいと語ります。

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