ツールの使い分けについては利用者に一任しており、社内メンバーや客先の状況に応じて自由に選択できます。「会議を主催する人が選択している傾向にありますが、会議室に Zoom Rooms が入っているため、会議室も交えた場合は Zoom Meetings 利用が多い。コロナを経験して Face To Face の重要性が再認識されており、オフィスに出社してディスカッションする機会も増えるはず。共創の場としてオフィスを変革していく意味では、今後も Zoom RoomsとZoom Meetings は広く利用されていくのでは」と本泉氏は見ています。ユーザーの立場としては、「チャットの延長で利用する場合は Teams 使うこともありますが、やはり音声品質は Zoom が優れている。双方のいいところをうまく合わせて、環境に応じて最適なものを選択しています」とデジタルプラットフォーム事業部 エキスパート 青木 規至氏は語ります。
特にリモートワーク環境も含めた働き方改革では、日常的に業務で利用する ICT の使い勝手がエンゲージメントスコアにも大きく影響します。今では、大きな数値の改善 につながっており、Zoom をはじめとしたコミュニケーション環境の整備がその一端を担っていると言えます。働き方改革の進捗度合いを従業員にアンケートした結果では、2018 年当初に比べて働き方がスマートになったと回答した人は 3 倍ほどに増えている状況です。「特定の部屋を予約する必要がある専用端末と異なり、会議室に限らずさまざまな場所で会議が開催できるため、会議開催までの手間が大幅に削減できています。その結果、ビジネスのスピードアップにも役立っています」と長年経営システム本部にてコミュニケーション基盤の構築に関わってきた NEC ソリューションイノベータ株式会社 主任 植松 和也氏は評価します。
生体認証との連携や言語の壁を越えた基盤づくりを目指す
すでにコミュニケーション基盤の一部として NEC グループ全体に定着している Zoom ですが、同社が強みの 1 つとしてソリューション展開している生体認証(顔認証や耳音響認証など)と連携させることで、これまで以上にスムーズに Zoom にアクセスできるようになるため、その連携に期待する声が社内外で高まっています。「会議に参加する際には、セキュリティの観点から会議 ID やパスワードをその都度入力する必要があります。さらに複数のソリューションを組み合わせた場合は認証情報を何度も入力しなければなりません。そこで、NEC のヒアラブルデバイスを用いた耳音響認証を通じ、本人認証や他のソリューションとのデータ連携を行えば、スムーズな会議参加が可能です」と青木氏。例えばスマートフォンから会議に参加する場合、ヒアラブルデバイスを用いれば Zoom の認証画面から会議 ID やパスワードを入力することなく、自動的に Zoom 会議に参加することが可能です。音声だけの参加であれば、カバンからスマートフォンを取り出す必要もありません。もちろん PC の場合は、カメラを用いた顔認証でも同様のユーザー体験が提供できるため、会議参加の手間を省くことにもつながります。
また、現在は距離を越えてコミュニケーション可能な環境を整備していますが、今後は言語の壁を越えていきたいと本泉氏は力説します。「グローバルに展開している NEC グループだけに、言語によってコミュニケーションが低下してしまう部分を、IT の力で越えていきたい。Zoom で実装が予定されているリアルタイム翻訳機能も活用しながら、真にグローバルで活躍できるインフラに育てていきたい」。
特にクラウド環境は利便性が高いものの、ユーザーとして制御できない領域が必ず出てきます。「制御できない環境をどう担保するのかという答えとして、我々は 2 つの環境を用意しているわけで、その意義は大きなものがあります。コミュニケーション基盤はビジネス継続において欠かせないインフラであり、今後も積極的に投資を続けていきたい」と最後に語っていただきました。