“電話のプロ集団”光通信が選んだZoom Phone 通話コスト3億円から6000万円への劇的削減

「セールス活動における革命」営業×生成AIの可能性を広げるパートナーに

株式会社光通信(株式会社 M Plants Consulting)
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設立 :

1988年

本社所在地 :

東京都豊島区西池袋1-4-10 光ウエストゲートビル

業界:

情報通信、販売

課題:

全国のコールセンターを起点に日々電話営業を行う同グループでは、年間約3億円にのぼる膨大な通話コストが発生。電子帳簿保存法対応のための通話データ保管料も負担になっていた。保存している音声の適切な分析や利活用ができておらず、営業スタッフの教育・評価などは評価者の主観頼り。通話内容にトップセールスのノウハウが蓄積されているにもかかわらず、ブラックボックス化している課題もあった。

導入成果:

Zoom Phoneの導入により、年間3億円かかっていた通話関連費用を約6000万円まで削減できる見込み。通話録音データを追加費用なしで永久保存可能になり、自動文字起こしとテキスト検索機能でデータ活用が飛躍的に向上。Zoom Revenue Acceleratorにより、営業トークを客観的にスコアリングし、教育効率もアップ。通話後の顧客メモなどのアフターコールワークもほぼゼロになり、大幅な業務効率化を達成。Zoomの機能を自社開発のAIプロダクトと連携させるなど、将来の事業成長に向けた重要な基盤にもなりつつある。

導入ソリューション

OA機器や電話機の販売・リースから始まり、現在では電気やガス、通信、宅配水、保険など多岐にわたる事業を展開する光通信グループ。営業力に定評がある同グループは、現在も電話営業が重要な手段となっており、全国約2000席のコールセンターから日々電話を通じて営業活動を行っています。

 

そんな光通信グループが2025年、クラウドPBX「Zoom Phone」の本格導入を開始。既存の電話システムからの切り替えにより、これまで年間約3億円かかっていた通話関連コストを約6000万円まで削減できる見込みで、2億4000万円という大幅なコスト減を見込んでいます。

 

自社への導入にとどまらず、Zoomと販売店契約を結び、販売パートナーとしてZoom Phoneを販売するほか、Zoomの機能を使った製品開発にも取り組んでいます。

 

セキュリティ上の理由で業務利用できるツールを絞っており、Zoom Meetingsもある時期まで使用禁止だったという同社。方針を180度転換し、生成AI時代に重要なプラットフォーム、重要な事業パートナーと位置づけようとしています。

 

“電話のプロ集団”である光通信は、なぜZoom Phoneを選んだのでしょうか? 長年にわたり、法人向け電話を多く販売してきた光通信だからこそ強く感じるZoom Phoneの可能性と魅力を聞きました。

「かけ放題かつデータ保管無料」の衝撃

光通信グループには現在130を超える連結子会社があり、セールススタッフやセールスパートナーを含めて約2万4000人が在籍しています。電力やガス、宅配水など多様な商材ごとに、営業用やカスタマーサポート用など複数の番号を用意しているため、保有する電話番号の数は全体で約1万。当然ながら、毎年膨大な通話料が発生しており、管理にも多大な手間がかかっていました。

 

また、電子帳簿保存法に基づき、コールセンター業務における通話内容のログは最低7年間保存する必要があります。通話料に加え、音声データの保管も避けられないコストでした。

 

光通信の和田英明代表取締役社長は、Zoom Phoneの存在を知った時、そのサービス内容に大きな衝撃を受けたといいます。

 

「電話かけ放題で定額、しかも録音データの保存が追加コストなしで永久保存? 最初は半信半疑でした。なぜ今まで知らなかったのだろうとすぐに部下へ詳細を問い合わせるよう指示しました」

“個の力”の最大化がDXの出発点

この指示を受けたのが、光通信の社員であり、グループ会社の業務改善を担うM Plants Consulting(以下、MPC)の代表取締役も務める増形真希氏です。

 

「自社では使用禁止のイメージが強かったので、和田に指示された時は『Zoomって、あのZoomですか?』と驚きました。もちろんWeb会議サービスは知っていましたが、電話のプロダクトがあることはその時まで知らず、まずは製品概要から調べるところから始めたのを覚えています」

 

営業担当者にコンタクトしたのち、詳細を聞いてすぐに「これはぜひ導入したい」と具体的な検討に。類似サービスとも比較したものの、「Zoom Phoneが最適という結論に至るまで時間はかからなかったと思います」(増形氏)。

 

Zoom Phoneは、世界的に利用されているWeb会議ツール「Zoom」の技術を使ったクラウドベースの法人向け電話サービス。ネットワーク環境に左右されにくい高い音声品質が特徴です。

 

独自の生成AI「Zoom AI Companion」が標準機能として搭載されており、通話データの文字起こしや議事録の作成・要約などをワンストップで出力できます。

同社にとって最大のメリットとなったのはコスト面。電話営業に注力する中では避けられず積み上がっていく通話料を定額で抑えられるうえ、音声データを保管するストレージサービスが追加料金なしで容量無制限、かつ、永年保管できるZoom Phoneのエンタープライズ向けプランは大きな魅力だったと言います。

「何度も心が折れそうに」社内からの不安の声に寄り添って

導入の意思決定まではスピーディに進んだものの、電話という使い慣れた手段のリプレイスだからこそ現場からの心理的な抵抗も大きく、「何度も心が折れそうになった」と増形氏は当時を振り返ります。

 

導入の実務を担当したのは、MPCのサブマネージャー奥村仁翔氏。導入が決まってからは、毎日のようにZoom側の担当者とやりとりを重ねてきました。

 

「社内では『わざわざZoomに切り替えなくてもいいのでは』『操作性が変わるのは不安』という声が多かったです。特に年配の社員にはクラウド型のサービスの概念がなかなか伝わりませんでした。

トップダウンで無理やり変えても反発されるだけだ――そんな思いから、社内向けのZoom Phone説明会を何度も開催し、試用期間を設けるなど、最初のステップを丁寧にフォロー。責任者クラスには費用対効果の面からも導入の意義を説得しました。

 

「コスト削減という観点では明らかにメリットがあるので、まずはそこを理解してもらうように努力しました。そのうえで、現場目線で部署内での理解を得てもらうステップで進めていきました」(奥村氏)

 

「使い方がわからない」という声にすぐ応えるべく、奥村氏自ら短期間で社内向けオリジナルチャットボットを開発。FAQページも整備し、基本的な問い合わせには自動応答で対応できる体制を構築しました。

 

心理的ハードルを乗り越えた後は、社員それぞれのスマートフォンやPCにZoomアプリをインストールし、IDを発行するだけ。従来型PBXのように機器の設置や保守も必要なく、ユーザーの増減や、電話番号の発行などもクラウド上で対応できるようになり、管理の手間も減ったといいます。

 

過去の通話音声のデータも、同じくWeb上の管理ポータルから確認できるように。日にちや時間で整理されているほか、音声データは自動で文字起こしされるため、テキストでの検索も可能です。

 

「これまでは毎日通話データがただ蓄積されているだけで、必要な情報がどこにあるのかわからない状態でした。トラブルなどで実際の音声を聞いて内容を確認したい時も『確かこの日のこれくらいの時間だったはず』とあたりをつけて1件ずつ聞いて確認するしかなく、心理的にも負担でした」(奥村氏)

あなたの営業トーク、何点? AIと共にデータで改善

Zoom Phoneと同時に、営業担当向けインテリジェンス機能「Zoom Revenue Accelerator」(以下、ZRA)も導入しました。打ち合わせや商談の内容を通常のAI Companionよりさらに詳細に分析できる機能で、次回に向けたタスクの抽出や、個々人のセールストークの項目別スコアリングも可能になります。

 

「営業スタッフ向けの教育やOJTの従来のやり方と言えば、ロールプレイングをしたり、一緒に商談に出て指摘したり。全件対応するには限界があるうえに、結局は評価者側の主観になりがちでした」(増形氏)

 

ZRAを使えば、商材別に評価基準を設定でき、「お客様の発言をしっかり聞けているか」「必要なキーワードを発しているか」「コストメリットをしっかり説明できているか」など具体的な要素にわけて評価できます。

 

「ファクトをもとに話せることで、上司と部下のコミュニケーションも納得度が高まるはず」と増形氏は期待を寄せます。

 

「どこの会社でもそうだと思うのですが、『売り上げがいい営業スタッフは何をしているのか』は実はブラックボックスになりがち。録画データから特に重要な箇所だけ抜き出して聞いたり、各項目のスコアを参考にしたりできるので、全体の営業スキルの向上にもつなげていけるのでは」(増形氏)

通話を終えるとすぐに要約が表示されるため、アフターコールワーク(通話内容の記録)も簡単に。1件1件の入力は数分でも、1日に何十件も積み重なると負担になるこの作業をほぼゼロにでれば、大幅な業務効率化につながります。

 

「Zoomプロダクトはカスタマイズ性が高いのも魅力。取引先企業を管理するCRMや社内の別ツールとの連携をさらに進め、もっと便利に使えるようにしていきたいです。販売代理店としても、私たちが活用する中で感じたメリットを、光通信グループの他の企業やクライアント様にしっかりと伝えていければ」(増形氏)

 

業務効率化につながるツールは他にも豊富に用意されており、社内外との会議が多い増形氏が特に気に入っていると話すのは「Zoom Scheduler」です。

 

打ち合わせやWeb会議の調整用のURLを送ると、自身の最新のカレンダーの空き枠を自動で表示し、相手はそこから都合のいい時間を選ぶだけ。

「私にとっては革命的で、生産性が劇的に向上しました。日程調整のためのメールのやりとりが少なくとも2、3往復は発生していたところ、URLを送るだけで済むように。カレンダーにも自動で入力されて当日のURLも発行されるので、複数人での調整もスムーズ。採用関連の面接もこの機能を使っています」

 

ビジネスフォンを売ってきたからわかる、Zoom Phoneのすごさ

光通信グループは2025年6月、Zoom Phoneのプロダクトとしての品質と信頼性の高さ、多機能性を評価し、Zoomと販売店契約を締結しました。「クラウドPBXへの流れは今後ますます加速する」(増形氏)と確信し、企業やコールセンターなどへの販売を見込んでいます。

 

「我々はこれまでビジネスフォンを日本トップクラスで売ってきた自負があります。働き方の多様化が進む中、今後はクラウドPBXへの移行が最適なソリューションとなるケースが増えてくるはずです。長年にわたりビジネスフォンをご利用いただいたお客様にも、クラウドPBXという新たな選択肢を提案できるようにしたいと考え、代理店販売契約を結びました」(増形氏)

2025年4月には、これまで使ってきた0ABJ番号(03や06など市外局番で始まるもの)や、トールフリー番号(0120などで始まる通話料無料のもの)をそのままZoom Phoneでも利用できる「番号ポータビリティ」も可能になり、さらに導入のハードルは下がったのではと奥村氏は話します。

 

「コールセンターにとって、長年使っていた番号が変わってしまうのは当然抵抗が大きい。弊社もそのハードルをどう越えるか迷っていたところ(※当時は対応前だったため)、Zoom側の改修が予想以上のスピードで進みました」(奥村氏)

 

結果的には従来番号あるいは新規発番で移行することができ、顧客側の大きな混乱はなかったと言う。

 

「番号は変わらず、便利な機能が増え、コストも削減できる――ますます自信を持って勧められるソリューションになったと思います」(奥村氏)

 

光通信の和田社長自身も、同年7月「Zoom Experience Day Summer」に登壇し、Zoom Phoneというプロダクトに対する思いを以下のように話しています。

 

「昭和の時代から営業電話は人力で頑張るものとされてきましたが、それがZoom Phoneによって劇的な発展を遂げるでしょう。AIの活用も含めてこの変革は“社会的な革命”と言っていいと思います。この変化の恩恵をできるだけたくさんの人に受けてもらいたいという思いから、半ば社会貢献のような思いでパートナー契約を決めました」

営業×生成AIの可能性を広げるパートナーに

営業会社のイメージが強い光通信グループですが、近年は自社サービスの開発にも力を入れています。Zoom Phoneの機能を活用して生まれたコールセンター向けの最新プロダクトが「Talk Monitor」です。

 

コールセンターのトーク内容を生成AIが自動で文字起こしし、内容をチェック。言い間違いや伝え忘れなどを察知して、緊急性が高いものを部署の責任者に通知します。お客様からクレームや指摘が入る前にフォローコールが可能になり、深刻なトラブルを未然に防ぐという機能です。

 

音声認識と自然言語処理を組み合わせ、オペレーターをAIエージェントが肩代わりする「AIコールセンター」も、人間と間違えるほどの自然な会話が可能になってきたといいます。このシステムとZoom Phoneを組み合わせることで、自動的に営業や督促の電話がかけられるようになる未来を目指していきたい、と和田社長と増形氏は未来を見据えます。

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